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美しいアルプスの自然を舞台にくりひろげられる、少女ハイジの物語。おじいさんと2人きりで山小屋に住んでいたハイジは、クララという足のわるい少女の遊び相手になるために、フランクフルトへゆくことに。ところが、ハイジは町の生活になじめず、山へもどってきてしまいます。不朽の名作をいきいきとした新訳でお届けします。
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Posted by ブクログ
アルムの美しい自然の中で、アルムじいさんと素朴な生活を送るハイジの喜びが、自分のことのように感じられて満ち足りた気持ちになった。高原や花々が夕陽に照らされて輝く景色を見たハイジの感動が忘れられない。 「岩にね、火がもえて、ばらがいっぱい。それから、青い花や、黄色の花。ほら、わたし、もって帰ったのよ...続きを読む。見て!」(76)とアルムじいさんに興奮して話すハイジが微笑ましい。その「夕方の火」がどこからくるのかをじいさんに尋ねたとき、「あれはお日さまがなさるんだ。山におやすみをいうとき、いちばんきれいな光を送ってこられる。あくる日の朝またのぼってくるまで、忘れられないようにな。」(78)と答えたじいさんもまた素敵だなー。 村の人々には無愛想で恐れられているアルムじいさんが、ハイジとの暮らしの中で見せる優しさにも胸が温まる。ヤギの乳やチーズのご馳走をつくったり、大工仕事をしてハイジの椅子をつくったり、ペーターのおばあさんの小屋を修理してやったり…。アルムじいさんも、ハイジと暮らすようになって、心に灯りが灯ったよう。それだけに、別離の悲しみは大きかった。 舞台は変わって、クララの家。常識のないハイジがさまざまな事件を巻き起こしながら楽しく過ごす様子が愉快だった。 意地の悪いロッテンマイヤーさんにうるさく言われるけど、ハイジ自身があまり気にしていないから深刻にならずに読める。しかも、ゼバスチャンやゼーゼマンさん、そしてクララのおばあさんが、ロッテンマイヤーさんをうまくやり込めてくれるので気持ちがいい。 クララのおばあさんはすばらしい人で、ハイジに本を読む喜びや神様に祈ることの大切さを教えてくれる。下巻では、ハイジがクララおばあさんに教えてもらったことを、アルムじいさんに伝えて、アルムじいさんをも変えていく。 クララがホームシックにかかるあたりから物語に深みが増す。自分によくしてくれるクララ家の人々に「アルムに帰りたい」なんて言うのは恩知らずではと悩み、誰にも打ち明けられないハイジの苦悩。幼い少女でありながら、優しいハイジだからこそ抱く苦しみに共感を抱き、アルムへ帰してあげたい気持ちが湧き上がってきた。 悩むハイジの心に土足で踏み込まず、「だれにもいえない悲しいことやこまったことがあったら、天の神さまに聞いていただくの。」と、誰かに打ち明けなくてもよい方法でハイジを支えようとするクララのおばあさんは本当にすばらしい。 夢遊病とホームシック両方に対する薬は、すぐに家に帰してあげることだと言い切ったお医者さんといい、医者の忠告を聞き入れたゼーゼマンさんといい、ハイジの人間性やロッテンマイヤーさんの振る舞いをすぐに見抜くおばあさんといい、ものわかりがよくて信頼の置ける大人が多くいる。だから、ハイジがつらい状況にいても、どこか安心して読むことができた。 ペーターのおばあさんやアルムじいさんとの再会の場面は本当に感動的で、胸がいっぱいになった。物語の序盤で「読むことができるようになればいいってねえ。あの上の棚にお祈りの本があってね、そのなかにいい歌がいくつもあるんだけど、わたしゃもう長いこと聞いてない。もうおぼえてもいないしねえ。」(99)と嘆くペーターのおばあさんの言葉が布石となっていて、下巻では読むことを学んだハイジがおばあさんに本を読んでやることができる。その本がおばあさんの心に希望を灯していくさまは心を打つ。 キリスト教の神様への信仰をもつことのすばらしさが感じられる。日本の子どもにはなじみがないかもしれないが、信仰をもつ人が、それゆえに前を向いて生きている姿を読めるのは意義深いと感じる。特に、ミッションスクールであるうちの学校の子どもたちには、ぜひ読んでほしい物語だと強く思った。
若い編集者の人にオススメの本を聞いたら 「ハイジ」だという。 ハイジはアニメで見たことがあるような、ないような そんな曖昧な記憶しかなく、手にとってみた。 ハイジが山に帰りたいのだけど うまく言えず、夢遊病になってしまうところ。 なんともせつなく悲しいが、その後の山に戻って 美しい自然と優しい人た...続きを読むちの中で心が戻っていく シーンでまた涙して、本当にステキな物語だった。 心が洗われるようだった。というのはこういう 作品に言うのかと思った。素晴らしかった。
最近では学習塾のCMでも知られている、言わずと知れた児童文学の古典的名作。 何度読み返しても感動し、幸せな気持ちでいっぱいになる。 ストーリーを知っている人も、ぜひ改めて読んでほしい。
アルプスの高原で孤独に暮らす老人のもとに、5歳(推定)の少女ハイジが連れてこられます。 天真爛漫なハイジにとって、山の生活は全てが輝いていました。干し草のベッド、搾りたてのヤギの乳、ヤギの牧草の番、焼き立てのパン、作りたてのチーズ。そして輝く草原に山の向こうから出るおひさま。 頑固なアルムのおじいさ...続きを読むん(アルムは牧草地という意味)、山羊飼いの少年ペーター、ペーターのおばあさん、孤独だった人々はハイジに触れて人生の幸せを知ります。 しかしハイジは、フランクフルトのゼーゼマンさんのお屋敷のお嬢さん、クララの話し相手として都会に引き取られていきます。 何もかも人工的な都会もお硬いお屋敷のしきたりもハイジには馴染めません。とくに女中頭のロッテンマイヤーさんの厳しさといったら!それでも体の弱いクララや、屋敷の使用人たちにとって、ハイジの起こす騒動は愉快なものだったのです。 やがてハイジは心を病み、心配したゼーゼマンさんたちの判断により、アルムに帰されるのでした。 ハイジ5歳から8歳くらいまで。 牧草地の生活がもうキラッキラですね。 出てくる食べ物が美味しそう美味しそう、生活用品が楽しそう楽しそう。 なにもかも楽しい、誰も彼も大好きというハイジの真っ直ぐさが輝いて見えます。 フランクフルトに移ってからも、ハイジは寂しくてしょうがないけれど、読者としてはハイジが持ち込む騒動がかなり楽しい。 まあ大人になると、お屋敷の厳格なロッテンマイヤーさんがどんなに大変かも想像がつくので、ハイジに厳しくしても「…あなたも大変よね…」と思えるし。しかし私がこの屋敷に居たら、ロッテンマイヤーさんの見えないところでハイジの騒動をクスクス笑って歓迎することだろう(笑) 当のハイジは、クララや、クララのおばあさん、お屋敷の使用人セバスチャンたちのことは大好きで仲良くなるけれど、それでもアルムを恋しがり、でもそれを表に出すことは失礼だと言われて心を病んでしまいます。人間は感情を抑えるとどこかで無理が出ることが身に迫るように書かれています。 そしてハイジに神様の言葉を教えたクララのおばあさん。神様にお祈りなさい。必ず見ていてくれます。今は叶わなくても、最後には良いことをしてくださいます。 欧米のキリスト教社会の小説を読むと、人としてのあり方が読み取れますよね。
デーテおばさんに連れられて、ハイジはアルムの山の上のハイジのおじいさんの所に行きました。麓の村ではおじいさんのよくない話ばかり。いい仕事に巡り会えたデーテおばさんはハイジをおじいさんのところに置いて世話をしてもらうことにしたのです。 気難しいおじいさんにも、山羊使いのペーターや山羊たち、そして雄大な...続きを読むアルムの山々の自然にもすぐに打ち解け親しんだハイジ。山での暮らしがすっかり気に入りました。 子どもの頃から大好きなアニメ。原作をやっと読みました。 昔の訳だと少し難しい表現かなと思っていましたが、全くそんなことはなくスイスイ読み進められました。 私が最も感動したことは、アニメで省かれているエピソードがほとんどないということです。 先にアニメを知っているので、読めば読むほどアニメーションのハイジ達が頭に浮かびます。どの場面でも浮かんでくる。それってすごい事だなと感動しました。 原作を読んでもやはり、ハイジのいじらしさやまっすぐさに涙します。私の原点だなぁとしみじみ感じます。
なんとなくアニメのハイジを知ってるだけだった 素晴らしい! ハイジがスイスに帰りたい気持ちを押し殺してるところは泣きそうになる
アニメでざっくりは知っていますが、原作を読むのは初めて。 なんて気持ちのいい少女なのか、ハイジ! そして周りの人々もええ人ばっかり。 なので、ロッテンマイヤーさんの厳しさが際立ってしまいますね。 上巻はハイジがアルムに帰って来るところで終わってます。 下巻が楽しみです。
本棚の奥から出てきたちょっと古めの岩波少年文庫。 その中の1冊にこの本がありました。 ハイジ 上 (2003) 1996年6月第42刷 ハイジ 下 (2004) 1996年6月第38刷 ヨハンナ・スピリ作 竹山道雄訳 思い起こせばハイジの物語に初めて触れたのは小学校入学前、そして小学校低学年...続きを読む・中学年の頃には何度も何度も読み返した物語です。 小学校高学年ぐらいになってからは「よく知っているお話」というカテゴリーに入ってしまったためほとんど手に取ることがなくなってしまいましたが、某TV局で放映されていたアニメ(!)に触発され、大人になってから再度入手したのがこの本です。 因みにあのアニメ、Brunnhilde が中学生の頃に本放送が始まり、その頃は「もうハイジっていう歳でもなし・・・・」と観なかったような気がするのですが、その後の再放送で観たのかなぁ・・・・。 結構大人になってからほぼ全編を観て、思わずこの本を購入することになったような記憶がうすぼんやりとあります。 で、まあ、アニメの話はともかくとして、こんな古典的な物語を再読できることこそこのブログ、この企画を始めた趣旨にぴったりあっているのではないか?・・・そんな風に感じたので、今日はこの本を手にとりました。 久々のハイジの世界ですが、ハイジ、ペーター、アルムおじさん(おじいさん)、デーテおばさん、クララ、ゼーゼマンさん、ロッテンマイアさんという名前が出てくるたびに、あたかも小学校時代は交換日記をつけていたにも関わらず、中学進学、高校進学、大学進学、そして社会人へという人生の過程の中のどこかのタイミングで疎遠になり、その後何年も会っていなかった旧友と再会したかのような思いを抱きました。 現実世界の旧友と大きく異なるところは、現実世界の旧友は時の流れの中で「あれ? こんな考え方をする人だったっけ?」というようなある種の戸惑いを感じることもあるのですが、物語の登場人物に関してはそんなことはなかった・・・・ということでしょうか? もちろん、子供時代には何となく意地悪な存在として認識していたロッテンマイアさんが、決して意地悪なわけではなく、単なる常識人・・・・そして自然児ハイジを相手にオロオロしている融通の利かないおばさんに過ぎない というようなわずかな軌道修正こそ必要ではあったのですが・・・・・(笑) 久々に読んだハイジで何よりも感動したのは、いわゆる情景描写の細やかさです。 モミの木のざわめき、雪が積もった翌朝の輝き、朝日・夕日を浴びた山の姿の何と美しい描写!!! 文章を読んでいるとアルプスの美しい景色が頭の中でどんどん空想でき、同時に山の空気さえ感じられるような気分になっていきました。 実は Brunnhilde は最近群馬県の山の中に終の棲家を持とうとしているのですが、なぜ自分が海よりは山に惹かれるのか、その理由をあまり真剣に考えたことがありませんでした。 でも、この物語を読んでふと思ったのです。 考えてみたら Brunnhilde が大好きな物語の大半は海辺の物語というよりは山の物語、川辺の物語だったなぁ・・・・と。 「夢見る夢子ちゃん」と親からからかわれていた子供時代。 Brunnhilde の空想の世界に海辺や海上の景色はほとんど表れなかったなぁ・・・・と。 この本は山小屋での読書に適した本だったかもしれないなぁ・・・・と。 いずれ山小屋で再読してみようと思います。
宗教描写も多いが、アニメのハイジが吹き飛ぶくらい素敵な本。チーズもパンも、本当に美味しそう。読んで良かった。
有名なアニメでありますがどんな話だったかな?と思い読んでみました。ものすごく小さいころに見ていたそうですが(母談)流石に覚えていなかったので。概ね、こんな話だったかな、と思っているのと同じお話でした。 この前読んだ米原万理さんの本でハイジがヤギのミルクを飲み、こんなおいしいミルク初めて、と言った...続きを読むところからヤギ乳ってどんない美味しいものだろう、と思っていたのに実際飲んでみたらクセが強くて…と言う記述がありました。確かにヤギはクセが強そうですねえ。それにしてもハイジはパンとチーズとヤギの乳で大きくなってるなあ、と感心しました。大自然は良いですよね。自分もイナカ育ちなので都会ではなかなか順応できなそうだなあと思い読みました。それにしても大人になってから読んだのでロッテンマイヤーさんの苦労がしのばれました。いやはや、大変な子が来ちゃったもんだ、と(笑)。
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