メルヴィルのレビュー一覧

  • 白鯨 下

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    ネタバレ

    ラストシーンで思い出したのはジョジョの一部のラスト、あのシーンも棺桶で生かされるというメタファーがとても印象に残っていたのですが、この白鯨もそのような暗喩がありました。
    しかもその棺桶は主人公の親友のクイークェグのもの。
    分厚い三冊の上中下の冒険の物語は、終盤突然白鯨とぶつかり、あっさりと終わってしまいました。
    粗削りな男が書いた男の物語なんだけど、どこかねちっこい感じが離れないなあ、と思っていたのですが、解説でイギリスではエピローグがない白鯨が発売されたと書いてあり、あの二ページのエピローグがなかった場合の事を考えた。
    エイハブの怨念、鯨学、不吉な予兆、水夫たちのやりとり、重みを感じる長いペ

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    2013年09月21日
  • 白鯨 下

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    エイハブは異教の神々を崇拝し、神を冒涜した罪で、また拝火教の神官により生贄として滅ぼされた。様々な人種の異教徒たち、狂った黒人の少年、不気味な拝火教徒、狡猾で悪魔的な白鯨はダゴンや深き者どもを彷彿とさせる。
    モービィ・ディックはレビヤンタンを狩る人間への神の罰でもあるのだろう。運命の輪が回されエイハブと船は終末に向けて突き進んでいく。最期の場面で海上にハンマーを握りしめた突き出した手がトウゾクカモメをマストに打ちつけるのが印象的だった。

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    2011年04月21日
  • 白鯨 上

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    この巻は丸々導入部。主要人物の説明と目的と目標が語られる。
    ボーの影響とシェイクスピアの影響がある。唾棄すべきとか名状し難いなどはラヴクラフトを読んでるよう。主人公と高貴なる野蛮人クゥイークェグの関係はファーマーのリバーワールドにおけるクレメンズとカズのようだ。

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    2011年04月10日
  • 白鯨 上

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    個人的にクイークェグが大好き。自分でも何故かわからない・・・。
    白鯨という人間の手では捕らえきれないものをこの本で感じることができました。

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    2011年01月25日
  • 白鯨 上

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    ・鯨骨の義足をがつがつならして白鯨モービーに気持ち悪いまでの執念を燃やす船長とそんな船長に内心ドン引きしながらもなんとなく逆らえない仲間たちの話。・STARBUCKSCOFEEのスターバックスはこの作中の登場人物、コーヒーだいすき一等航海士スターバック副船長にちなまれている(スタバのマークのモチーフは、船の舳先についているセイレーン像。店内も航海モチーフ)・数ある白鯨の日本語版では、このカバーが雰囲気でてる、すき

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    2009年10月04日
  • 書記バートルビー/漂流船

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    語り手はウォール街の一角で法律事務所を営む年配の男。彼はターキーとニッパーズというあだ名の二人の筆耕と、ジンジャーナットというあだ名の雑用係の少年を雇っていたが、仕事が増えてきたために新たに代書人を雇い入れることにした。募集広告に応じてやってきたのは、バートルビーという名の、品はいいがどこか生気に欠けた青年。彼は、当初は非凡な量の筆耕をこなしていたが、しかしあるとき所長に呼びかけられて、書き写したものの点検のための口述を頼まれると、「せずにすめばありがたいのですが」とだけ言って再三の頼みを拒否する。ウォール街の法律事務所で雇った寡黙な男バートルビーは、決まった仕事以外の用を言いつけると「そうし

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    2025年10月22日
  • ビリー・バッド

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     18世紀末、若きフォアトップマン、ビリー・バッドは、商船ライツ・オブ・マン号から、英国軍艦ベリポテント豪に強制徴用された。強制徴用とは、対ナポレオン戦争の時に、絶対的に水夫が不足していたイギリスが、商船や酒場から、拉致するようにして水夫を集めた、かなり無茶なやり方だった。人材不足が極まった時は、囚人を水夫に採用することもあったそうだ。本意で集められたわけではないため、水夫の反乱も起こっている。文中でもノア湾での反乱について言及されている。つまり、強制徴用した船の船長や、もとからいた乗組員には、強制徴用された水夫達に対して、もとから不信感があった。

     その事を前提にすると、ビリーの行為に対す

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    2025年09月28日
  • 書記バートルビー/漂流船

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    ネタバレ

    著者のメルヴィルさんは、1819年、NYで生まれ、ここに収められた2つの作品は、代表作『白鯨』(1851)のあと、「書記バートルビー」(1853)、漂流船(1955)ー30代前半に、書かれたそうです。

    時代設定が気になるので、解説を少し見てから読む。

    1953年とは、ペリー来航の年だ。アメリカは、建国からどれぐらい発展してたのだろう。

    トクヴィルの本は、出版は1935年だ。リンカーン大統領の奴隷解放宣言は1863年。

    _かくして「漂流船」という作品は、南北戦争直前の時期に出版されていながら、奴隷制の本質をすこしの弛緩もなく描いているだけでなく、一般の白人層には直接的に反発させないだけの

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    2025年05月31日
  • 白鯨 上

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    アッシャー家。旧家。陰鬱な森にある不気味な屋敷。代々、遺伝病。家の娘が不治の病で死亡、死体を地下室に安置。1週間後、嵐の夜、地下室から不気味な物音。見てみると、娘は生きていて、血まみれで立っていた。赤い満月の下、屋敷は崩れ去り、深い沼の中に消えていく。エドガー・アラン・ポーPoe『アッシャー家の崩壊』1839
    〇ロデリック。アッシャー家の当主。
    〇マデリン。ロデリックの妹。

    「私」。黒猫を飼っている。ある日、酒に酔った勢いで、黒猫の片目をえぐりとる。また別の日、黒猫を縛り首にして、木にぶらさげる。その夜、家が火事になり、焼け跡の壁に猫の形の印影が残っていた。しばらくして、別の黒猫を飼い始める

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    2025年11月20日
  • 白鯨 上

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    文学史における本作の存在は大海原を悠然と泳ぐマッコウクジラの如し。英名ホエールの語源に始まりその生態までを記す構成が独特にして導入部からの流れも申し分なき。語り部イシュメールや船長エイハブと共にいざ活字の航海へ立たん

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    2025年02月09日
  • 白鯨 下

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    モービイ・デックが哀れだ。
    何故こんなに漁師達の目の敵にされて、追いかけ回され銛を投げ付けられなければならないのか。
    読み終えて、底なしの虚無感に襲われる。
    激闘が終わって船長エイハブは死に、白鯨モービイ・デックは多くの銛や絡まる綱を引き摺りながら全身に傷を受け、満身創痍で広い大洋のなかを彷徨う。
    怒るモーデイ・ビックの反撃で、エイハブは帰りを待つ若い妻と娘を残してボートと共に海の藻屑と消える。すべてを見届けて語り部となるイシュメール以外、乗組員は皆因縁の死闘に巻き込まれて、それぞれの人生を強制的に遮断される。
    ピークオッド号はナンターケットから半年かけて大西洋やインド洋を通り日本沖で漁を重ね

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    2023年09月26日
  • 白鯨 中

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    中巻では、鯨の蘊蓄がたくさんと、
    捕鯨の冒険譚が語られる。
    鯨漁は、脳内で、映像が流れてきます。勢いがすごい。楽しい。
    下巻も楽しみだ!

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    2022年12月28日
  • 白鯨 上

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    エイハブのセリフに高頻度で神や聖書のノアなどの人物が出てくるし、『白鯨』全体的に観ても文中に聖書の引用が多用されている

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    2022年03月05日
  • 書記バートルビー/漂流船

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    メルヴィルと言えば白鯨。書記バートルビーは初読。
    仕事はできるのに、一切を拒絶するバートルビー。生きることさえ拒絶し餓死する。不条理がおもしろい。

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    2021年12月18日
  • 書記バートルビー/漂流船

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    こんな人いたら嫌だ。でも結構近しい人って仕事してると見かけるし、自分も他人からするとそうかもしれない。
    バートルビーは結局何を求めていたんだろう??

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    2021年12月13日
  • 白鯨 (下)

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    命知らずの船長(エイハブ)と共にする水夫たちの物語です。著者のメルビィルはこの本を通して勇ましい魂の生き様と物語に見える崇高な理念を持って生きる人間の生き様とは?と言うことを旧約聖書に見える言葉を通して訴えているように感じます。この白鯨は大変文学作品としては名作品で名高いものであり人として失敗や過ち、危険を恐れずして突き進む魂の勇壮な生き様とはこの様なものですよ、偉大な魂は不滅だ、と言うことを物語を通して教えているように感じます。

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    2021年11月06日
  • 白鯨 上

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    賞賛や栄光よりも誇りのために、命をかけた海の男たち。かっこいい。命をかけるほど自分は必死に働いた事あるかな。お金のためでなく、誇りのために働く。そんな人達が世の中にどれだけいるのだろうか。

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    2021年09月20日
  • 白鯨 上

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    いままで新潮文庫で挫折、岩波の阿部知二訳で挫折してきたのが、講談社文芸文庫の千石訳では面白く一気に読んだ。岩波で新訳が出て、『白鯨』の研究書も出している八木敏雄訳となれば読まないわけにはいかないだろう、と出た時に購入したのだが、「わたし」という一人称になじみきれず挫折。(千石訳は「おれ」)
    とは言うものの、あきらかに今までの訳よりも厚く、おそらくその理由のひとつであろう注釈の充実を考えるともう一度取り組んでみようと最近思い立って読んでみた。
    「わたし」はいまだになじみきれないが、こういうちょっと冷静なかんじのイシュメールもまぁいいのかも。

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    2021年01月13日
  • 白鯨 上

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    ついに読み始めた。TVで水先案内人とは何かというものをたまたま観ていたので、言及する箇所が現実的に入ってきてよかった。
    鯨について、捕鯨について、人種について、色々素直に入ってくる。
    割と新しい本なんだなあとちょっと驚く。もっと古いものかと思っていた。
    冒頭に登場人物紹介があって顛末も言及しているからその点では先が分かっているんだけど、これは原作も狙って記載してあるのだろうか。
    とりあえずここまでは意外に興味深く読めた。

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    2020年10月04日
  • 書記バートルビー/漂流船

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    ブンガク
    かかった時間 たぶん180分かそれ以上

    さいきん、『文学こそ最高の教養である』という新書を読んでいる。光文社古典新訳文庫の編集者が、各作品の翻訳者と行った対談を書籍化したものだ。

    せっかくなので、その中からいくつか気になるものを買って読んでみることにした。そのひとつが本作品。

    メルヴィル、知らなかったけど、ものすごく謎が多くて、ホラー?サスペンス?だ。あ、ミステリーか?(違いがわからん)

    書記バートルビーは、表面的には今でいうコミュ障の話として読むこともできるが、翻訳者の力で「それだけではない」感が残る。語り手の弁護士自体もそうだが、全体的に奇妙。そして、「お分かりにならない

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    2020年08月15日