メルヴィルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『白鯨』(上巻)を読み終えました。
捕鯨小説というより、旧約聖書や神話、哲学など、さまざまな知が「鯨」という一つのモチーフに集約された巨大な文学作品だと感じました。
私は事前に『ヨブ記』『ヨナ書』を読み、『METAL GEAR SOLID V』もプレイしていたため、エイハブやイシュメール、復讐という構図が後世の作品へ受け継がれていることを実感できました。「これが源流だったのか」と気づく瞬間が何度もあります。
そして何より圧倒されたのは、メルヴィルの執念です。インターネットもAIもない時代に、膨大な文献を調べ上げ、それらを一つの作品へ統合した調査力と構成力には驚かされました。
読み進める -
Posted by ブクログ
ネタバレとりあえず『書記バートルビー』のみ。
読後しばらく「そうしない方がいいと思います」が頭のなかでずっとリフレインすることになる……
前評判で「元気のないときに読まない方がいい」と聞いていたので、起床したての時間に読んだ。夕飯の薬味を刻みながら呆然と考えていたとりとめのない感想を書いてみたい。
バートルビーは、百語につき4セントの写字の仕事をするために語り手の弁護士「私」に雇われている。
歩合制なのだから、それ以外はバートルビーの本来の仕事ではない。
だから「私」が仕事が急を要する時に文書の照合を手伝わせようとしたときに、バートルビーが「そうしないほうがいいと思います」といって断るのは、そこまで -
Posted by ブクログ
ネタバレ「書記バートルビー」
1853年に発表された作品なのに、現代人である我々にも落ち着かない読後感を齎す普遍性を持つ作品。資本主義の価値観と距離を置く読み手にはバートルビーの「そうしない方がいいと思います」という静かな抵抗や、その後の一切の拒絶に、少なからず共感を抱くのではないだろうか。最後にある“配達不能郵便物”というメタファーは、バートルビーが届ける言葉の宛先を失った存在だと示唆しているのと同時に我々自身も世界と切り離された希薄な存在であるということを突き付けてくる。
「漂流船」
アメリカ人のデラーノ船長を視点人物にしてサンタ・マリア島の沖合に漂流してきたスペインの奴隷船「サン・ドミニク号」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
船に乗るまでは語り部として明確にこちらに物語を伝えていたイシュメールの存在(自我というべきか)がいつのまにか消えほとんど三人称の小説のようになっているのに時折思い出したように「わたし」が戻ってくるところなどそれこそまさに浮き上がっては沈む鯨のようで、おそらくはそのような広い意味でも鯨が主人公の小説なのだろうな、と感じた。
序盤の陸上での物語の中のイシュメールとクィークェグの友情(というには描写が濃すぎないかと思ったが、実際同性愛関係として見られている向きもあるらしい)、エイハブの己の狂気を自覚してなお止まらぬ狂気的な復讐心、そしてそれらを全て押し流すように、いとも簡単に何もかもを -
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エイハブ。捕鯨船(ピークオッド号)の船長。58歳。昔、ある白鯨(通称モービィ・ディック)に足を食いちぎられ、片足を失う。義足。復讐のため、その白鯨を執念深く追い続けている。船員スターバック「もの言わぬ獣に復讐してどうなるのですか」、エイハブ「この世界は理が通わない。しかし見ている世界は仮面にすぎない。その仮面の奥には理が通った何かが潜んでいる。白鯨はその仮面だ。仮面の向こうには何もないかもしれない。が、それでも構わない」。ある日、エイハブ船長はついに白鯨を見つけ、死闘の末、船と共に海のもくずと消える。「白一色の大雪原は意味に溢れている。しかしそれはもの言わぬただの空白である」。ハーマン・メルヴ
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Posted by ブクログ
とてもボリュームのある作品。あらすじは比較的単純だが、哲学的思想が散りばめられていて考えさせられる。聖書やギリシア神話からの引用が多い(岩波文庫版は、注が物凄く詳しい)上、くじらに関する専門的な記述も多い。池澤夏樹は、『白鯨』は、データベースであると言っているが、それはあくまでもくじらに関してだけ。この作品の魅力はそんなデータベースにある訳ではない。くじらが好きなので、そのくじらのデータベースも魅力的なのだが。
1851年にアメリカで書かれた文学作品が、現代政治を読み解く装置としても働いている。不思議で奥深い作品だ。サマセット・モームが世界の「十大小説」に選んだことだけのことはある。1851 -
Posted by ブクログ
再読。ちまちま読んでたら3ヶ月もかかったが、この規格外のスケール感を味わうにはそれくらい必要かもしれない。
捕鯨船船長エイハブが宿敵である白鯨を仕留めるため航海に出る、という一応の筋はあるものの、そこに収まることなく脱線に脱線を重ねる。本筋は一向に進まず脱線が主役になるが、その脱線こそが作品の面白さでもある。
鯨の分類に一章を費やし、捕鯨道具の説明が延々と続く。鯨に関わることなら全てを書き記す勢いで、言ってみれば鯨を中心にした、あるいは鯨を通した世界の記述。ここでは世界の中心は鯨であり、鯨を中心に世界は動く。
この世界観の大きさがとにかく尋常でない。物語はともかく、膨大な蘊蓄と雑学と逸話で彩