葉山透のレビュー一覧
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0能者ミナトシリーズ1作目。
タイトルにある「0能者」とは零能者。
つまり能力をまったく持たない者、という意味だ。
怪異を討つためにミナトは能力以外のものを使う。
科学の知識に裏付けられた方法だったり、ミナトが0能者として生きてきた経験によって培われた知恵でもある。
毒舌で人を食ったような態度がミナトの通常仕様だ。
実は褒められることが苦手だったり、他者を護ろうとする気持ちが強かったりと、表面からだけではわからない人間性を隠していたりもする。
0能者、九条湊。
御蔭神道の巫女、山神沙耶。
総本山の天才少年、赤羽ユウキ。
他の能力者たちが手に負えない怪異たちに、三人は協力しあい立ち向かう。
主人公であるミナト。
サポートする沙耶とユウキ。
後方支援担当の水谷理彩子と荒田孝元。
登場するキャラクターの人物像が魅力的で、個性豊かに描かれている。
口は悪いけれど憎めない人物のミナト。
純粋で真面目一方の沙耶。
小生意気で口は立つけれどまだまだ子供のユウキ。
三人は言い争いながらも奇想天外な方法で怪異を退治していく。
チームワークの良さも含めて、この物語の読みどころのひとつだ。
次の相手は「鏖」(みなごろし)。
どんな戦い方をするのか、楽しみだ。 -
Posted by ブクログ
怪異に対して、論理的に分析し、科学等の知識を用いて立ち向かっていく異端の怪異退治請負人の活躍を書いたシリーズ。
構造的にミステリーとしての側面が強く、一種の探偵もの的な雰囲気が味わえる。
こういった架空の現象を題材にしている物語は、少し間違えれば設定の破綻を招いてしまうが、このシリーズに限ってはそのような過ちはなく、9巻まで続いている事もその緻密に練られた構成を裏打ちしている。
しかし、このシリーズの魅力はなんといっても主人公であるミナトの魅力にあるだろう。
最弱からの逆転という話は、古き良き王道であり、昨今でもそのような作品が多く人気になっている。
ミナト自身も、霊能力等を持たなず、同業者からは半ば疎まれているような存在だが、本人はどこ吹く風で飄々としているのが心地よく、爽快である。
ずる賢く、ともすれば人格破綻者と言っても良いのだが、どこかチラリと人情深さが垣間見えるような所もあり、そのギャップがより一層「能力0」の彼の渋さを際立たせているように思う。
地味に支持者が多いシリーズであり、今後のメディア展開にも期待が出来る。
是非この機会に追ってみては如何だろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ科学が隆盛を極めるこの時代においても、世の中には「怪異」と呼ばれるものがまだひっそりと存在していた。
それは、異形のものたちで、未だ科学では説明できないような存在のものたちであった。
当然、それを退治するものたちもいる。
「修験者」、「法力僧」……呼ばれ方は様々だったが、そのものたちは、修行と己が持って生まれてきた才能とで怪異と相対する。
ところがその中に、ひと際変わった存在の男がいた。
彼の名前は九条湊。
どこか斜に構えたクセのある青年だが、彼が「異端」とされるのはそこではない。
彼は、怪異を相手にするための、霊力、法力、神通力……その他いろいろな力を一切持っていないのだ。
それにも関わらず、彼は修験者や法力僧が倒せない怪異を倒してしまうという。
果たしてその手腕は、恐るべきものだった……。
最初に読み始めた時は、果たしてどんな展開が待ち受けているのか、一切想像がつきませんでした。
一般的には小説の常識としても、魔法には魔法で立ち向かうものだし、幽霊と呼ばれるものは霊力だとかいろいろな名前で呼ばれるもので立ち向かうものなんですよね。
でもこの話は違う。
読み終わっても、未だによくわかってないんですけど、湊は心理学? 行動分析学? うーん……簡単に言うと「洞察力」という言葉が一番しっくりくるのかしら? それと、物理的な攻撃で持って怪異を倒してしまう。
うん。湊が使うのは科学ですらなくて、本当にもっと単純で純粋なもの。物理。
まあ確かに、この小説の「怪異」だと不可能ではないんですよね。
でもその怪異に対してどういう物理的な攻撃が有効なのかっていうのは多分、「力」がある人は「力」があるが故に考え付かないことなんだろうなあ……と思いました。
なかなかに、小説の「常識」というものを逆手にとった小説で面白かったです。
また港のキャラクターも憎めない感じに設定されているので、その意味でも呼んでて面白かったです。
こういう基本をがっちり抑えてて、その上でお遊び的要素をしっかり乗せてある小説は読んでて読み応えがありますね。