ユッシ・エーズラ・オールスンのレビュー一覧
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大好きな北欧ミステリ映画の原作を遂に。好きな世界です。面白かった。。
カール!ア、アサド…!?
1番驚いたのがバディの凸凹です。得体の知れない、過去を抱えつつ陽気なシリア人アサドが自由にやってしまうのを寧ろカールがフォローしているだと…?それにアサドは警官じゃなくて、カールが頼んでた人にどうしても仕事が欲しいと付き纏ってた人だったとは。
でもフォローの鬼で有能な片鱗はうかがえます。優しいし。謎パイが気になります。
カールもあまり朴念仁じゃない。有能すぎるのと言葉を選ばないとで敵は多いけど、カールが有能なのはコペンハーゲン警察もよくわかってる…だからこそムカつく、みたいなんかも。カールの皮肉の語彙センスが好きです。イギリス人を思わせられましたがデンマーク人もこんな感じなのかな。。
事件は映画で観ていたとはいえ、あれコンパクトに纏まってたんだなと思うくらい詳細でキツかったです。何年も与圧室に監禁して気圧をじわじわ下げていって体内細胞を変化させていって、一気に気圧上げて……という復讐は心にも身体にもダメージ大きい。それだけ憎悪してるんだろうけど。
「カールの強烈な奥さん出てきますよ!」と言われた通り、強烈な奥さんでした。カールの駐車場でいつもバーベキューしてるご近所さんもなんだか好きです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレカール、いい加減犯人のところに乗り込む時は拳銃持ってくれ。
序盤は犯人の方が一歩先を行っていたが、それを覆すのがチームワークだった。犯人の策略が次々と、一つずつ崩されるところはページをめくる手が止まらなくなるほど。
全て偽名で何もかも準備し、更に別名義で二重の足跡消しをしていた犯人は流石。全てを変えたが「普通が一番目立たない」ことを徹底したところなんかも連続誘拐殺人犯としては称賛されるところかもしれない。ただ、その偽名を身近な人から取ったところは浅はか。余裕がないはずなのに逃げずに後始末を優先したところなんかは、自らの能力の過信と今まで見つからなかった傲慢さのツケを考えていない。
浅はかさを突き崩し、ツケを支払わせるのが警察、いや特捜部Qの仕事だった。
神を憎んだ男は神が作りし人の愛情によりその身を滅ぼし、神の元で光を失った女はひとときの無垢な温もりにしがみつかずあるべきところへ帰した。
ユアサとローセが同じ人物なのかも?というところをあえて突っ込まずにやり過ごすのもQらしい。
アサドの過去が若干でもわかるのかと思いきやそうでもなかった。
やっぱり面白すぎて読み終わるのが惜しい作品でした。
次作も読まないと。 -
Posted by ブクログ
スウェーデンを中心とする北欧ミステリだが、デンマーク発のミステリと言えば、このシリーズだろう。第3作までは映画化されたものをWOWOWで観ているが、第四作『カルテ番号64』は今年になっての上映。映画化されたものに比べて、作品はカール・マークの独白による描写が多く、リズミカルでコミカルで明るいイメージが強い。息詰まるような暗い犯罪を解決する捜査官としては、このくらい明るくなくてはやってられない、ような気がする。
そして、特捜部Qシリーズも、いよいよその第七作に突入。全10作で完結するという本シリーズ。宿題もいっぱい抱えている。第一作の最初に起こった事件の捜査途上で、当時、銃撃され生死が危ぶまれ意識不明に陥っていた元部下のハーディは巻の進むごとに回復しているものの、事件そのものは暗礁に乗り上げたまま。
そもそもその正体が不明である部下などいるわけもないと思うのに、アサドとローセはまさに正体不明の部下である。アサドは、どこかイスラム圏の政府機関にいたことがあるようにも思えるほど、時に国際社会の闇に精通している様子を垣間見せるが、たいていは言葉の間違いや、イスラムの風習で笑わせてくれる明るい存在だ。
最も心配なのが、ローセ。これまで姉と妹の双子役を演じ、多重人格を疑わせてきたローセは、本作でまた新たな人格を纏って職場に現れる。さらに彼女の精神状態が重篤化し、過去に抱えてきた心の闇が徐々に露わになることを思えば、本書はシリーズの中でも重要な作品と言えるかもしれない。
さてシリーズとしての役割はともかく、本作も、デンマークの社会問題の闇に迫る一作となっている。北欧諸国が世界に誇る福祉政策の裏側で、福祉され受給する似非(えせ)弱者たちの問題である。失業保険を過度に受給する若く美しい女たちが一向に真面目に働かず、華美な衣装に身を包んでいることに、切れてしまう福祉局職員の犯罪、という少し考えにくい想定でありながら、いつもの通り、物語は想像を遥かに超える怖い場所にまで
読者をいざなってゆく。徐々に壊れる心と、狂気の怖さは、事件当時者の側にも、捜査側のローセにも同時並行的に膨らんでゆくのである。
いつもの緊迫感に欠けはするものの、じわじわと迫ってくる物語の深さと恐怖を味わいつつ、特捜部Qは新たな救済に向けてまた一作進んできたことをも伺わせる。あと三作ですべての宿題がきれいに片付いてくれることを願うばかりだ。 -
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「特捜部Q」もシリーズ7作目。
デンマークの大人気ミステリです。
地下の特捜部に追いやられているカール・マーク警部。
部下はほぼ警官ですらないメンバーで回しているが、事件の解決率はかなりのもの。
今回は秘書のローセに焦点が当てられています。
福祉国家として知られる北欧のデンマーク。
福祉事務所には給付を望む市民が詰めかけ、中には働く意志がなくなんとか言い訳してお金だけは貰おうという根性の人間も。
相手をする係員もストレスを抱えているのでした。
そんな状況で出会った気まぐれな若い娘たちが意気投合、思わぬことから犯罪に‥?
背景には、歴史を背負って破綻した家族たちの重いものも含まれるのですが。
おしゃれだけはする若いコたちの身勝手な言い草が情けないやら哀しいやら。
さらに、真面目な官吏のはずの担当者の切れっぷりのほうがすごくて、笑えてくるほど、ぶっ飛ばします。
ローセは有能だけど変わり者。というのはわかっていましたが、これほど壊れてしまうとは‥
鬼気迫る描写の後に、過去のつらい状況が明らかに。
現在の事件とも運悪く絡み合い‥
救いようがないと思われたいきさつがあっても、時とともにじわりと事態は動きます。
ローセを救おうと懸命に突き進むカール、アサド、ゴードンたち。
ラストに光が差し、泣かされます。
ローセのために★1つ追加で。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今作は良かった。始め、これらがどんなふうに収束するのか不安だったけど最後はそれぞれの事件が一応落ち着いた。
ローセの父親殺しの犯人達はいきなりカールが詰め寄って自白させて解決。これはいきなりすぎた。元々見当はついていたけどローセの状態が悪くなったので切羽詰まって、というところだろうか。
ローセの父親の同僚5人くらいが共謀して、作業中に事故に見せかけて電力をストップ。電磁石が止まって、金属の塊がローセの父親に落下。目の前でそれを目撃していたローセは心の傷を負う。
ローセは親しくしていたリーモアの死にもショックを受けたし、自撮り二人組に監禁されたこともショックで、巻末に少し回復への希望があったけど…。
ローセの父親はずっとローセに精神的虐待をしていた。
ジェームズの自白でリーモア殺しが解決。ここもジェームズにたどり着いたのは立派だがうーむ…
ビアギトを追い詰めて自白、ゴンダスン殺しが解決。動機とかがいまいちよくわからないけど…
最後に手榴弾が暴発?して犯人の暴走ソーシャルワーカーが吹っ飛ぶというのはあっけない。
アサドがとっても頼もしくなってカールもアサドを今以上に信頼してる。ゴードンも頼もしくなって、特捜部Qの結束力がめっちゃ高まった作品。ローセの家族背景がわかったのは前進だけどローセの状態が心配。
アサドの特殊能力の背景、ハーディの具合が良くなってきたこと、マークスも登場、盛りだくさんで楽しい回だった。
2016年に本国デンマークで、2017年にドイツ。次回作はいつになるのか -
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デンマークのミステリシリーズ第6弾。
常に同じ品質ではなく、時とともに変わりゆく関係性が、なんとも切ない。
相変わらず読ませる。
この物語には、一人の魅力的な男性が登場する。
彼について、他者からどれだけ彼が魅力的か、は語られるのだけれども、ついぞ彼が本当に何を考えていたのかは示されない。いや、示されているともいえるんだけど、主人公らが彼と語り合う機会は与えられない。
そのことにより、物語を読み進めながら「この人はどんな人なんだろう」とずーっと考えさせられてしまい、その結果、彼がとてつもなく魅力的に見えるという不思議なことになった。
語らず想像させるってすごい。 -
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ネタバレシリーズ第5弾。
今回はミステリーと言うより、良質な冒険小説って感じで、逃走劇とアクションシーンがたまらなく良い。
で、その逃走とアクション場面を生かしてるのが、Qの面々を差し置いて本編では間違いなく主役を張ってるマルコ。この子がいいんだよなぁ。少々出来すぎ感はあるものの、優等生がいないこのシリーズにとって、貴重な賢い良い子ちゃん。
癖があるキャラばっかりのところに優等生を放り込むという展開が大成功している。マルコを脇役しておくのはもったいないなぁ。でもQの1キャラクターでは生かし切れないし、ここはマルコを主人公にした新シリーズを展開してみてはどうだろうか?まずは本編スピンオフって感じでもいいんだけどなぁ。と、無責任なファンは勝手な妄想を膨らませていたりする。
今回は食われ気味の、本来主人公他メインキャラもそれぞれに色々あって、マルコとは真逆に全く使えない新キャラ(デンマークにもゆとり世代みたいなんあるんやろか?)が出てきたり、冴えないようにみせかけて実は日照り時期の少ないカールの恋の行方が新展開だったり…
常連は常連で結構オモロいことになってきて、従前からのファンも楽しめるようなサービス精神が嬉しいぞ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本『特捜部Q』シリーズを読むたびに思うのだけれど、この作家は冒険小説の書き手としての色合いが強いのではないだろうか。物語の各所に個性的な人間たちを配することにより生まれる劇的効果を狙うのがとても巧い作家ではないのだろうか。だからこそ、警察という組織の人間を主人公にしていながら、およそ警察機構とは相容れないような主人子と、これまた同様の部下二人、そして何よりも事件の中核となる副主人公を物語ごとに造形し特捜部Qと対峙させ、交錯させ、緊張で蓄えた力を大団円で一気に爆発させてゆく手法が活きているように思える。まさに血沸き肉躍る冒険小説みたいに。
それを強く感じさせてくれたのが本書である。交通事故に遭って木の上に飛ばされ、吊るされたままきみょうな死体となって発見された少女の話を、今回の特捜部Qは発掘する。その事件を取り憑かれたように調査していた老人が公衆の面前で拳銃自殺したのだ。衝撃的なスタートと言える。
一方で現在より数年前から、奇妙な教団に生きるある人物の描写が始まる。女性、悪の化身、そして殺人鬼である。教祖との距離がなぜか不明だ。教祖の正体もわかりにくい。しかしそれなりの力を持ったカルトであり、その女は教団の実務を握る立場の人物であると同時に、頭の切れる悪魔である。彼女の手によって誰にも知られず教団から消えてゆく女たちのことがこうして語られる。
カルト教団はこのような物語シリーズの中ではなかなか避けて通れない犯罪の火床のような題材であろう。教団そのものが健全であれ、そこに悪意のある人間、仮の姿を宿して金や力を行使できる人間の存在が、閉ざされた集団の中に特異に構築されたヒエラルキーに忍び込みやすい。そんな、古今東西を問わぬ宗教的悪の中で蠢く個の悪の姿が教団にも外界にも力を振るうことで、破滅を呼び込むという物語は宗教にも政治にも国家にもあり得ることであり、だからこそ冒険小説の骨格と似た造りになってきているのが、本シリーズなのではないかと思う。
本書では主人公たちも命が安泰ではなく、火の中に飛び込まざるを得ない存在として描かれる。第三者的ではなく、まさに冒険を余儀なくされ、体験を己の物語に変えられる人々としての捜査官なのである。
ちなみに本シリーズで冒頭から抱え込んでいる未解決事件=連続釘打ち機事件に、本書で大きな進展が見られる。カールたちを襲撃した銃が発見されたのだ。今後のシリーズ作品を通して、こちらの捜査も少しずつだろうが、露になるだろう。そしてあの事件で体の自由を奪われたハーディの人生も、自分の物語として冒険小説の道を伸ばし続けることだろう。今後も眼を離せない、注目のシリーズである。