内田昌之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「星を継ぐもの」シリーズに見えて、そうでもなかった。
あのシリーズの遥か未来の話、と考えても完全に間違っているということはないかもしれないが、まあ、異星人の影も出てこなかったのでさすがに別の世界線ということだな。
ということで、星を継ぐものシリーズだと思ってたし、紹介文でも「もう一つの星を継ぐもの」って言ってるのでそれを期待して読み始めたので結構肩透かしだった。まあ、もちろんそんな自分が悪いのだが。
今作では地球人は既に滅んでいて、なぜかほぼ同じ見た目の人間が金星で文明を発達させており、近年地球に調査しにきたというところ。
となると、どうせ地球人がギリギリで金星に移住したんだろうと思うが、それは金星人も考えたこと。とはいえ、地球が滅んだ時期と、金星人が生まれた時期に大きな差があるというパラドックスがある、というのが本作の大きな謎の一つ。
そういった謎が散りばめられ、徐々に解明していくのが面白くはあるのだが、それがだいぶ分かりにくい。
というのも…
- 金星人が調査して判断してきた地球人の文化が微妙に間違っていたり合ってたりする
- その地球の歴史もSFが入っているので現実とはちょっと違う
- 金星人の文化がまずわからない
- そもそも自分が地球の正しい歴史や文化もよくわかっていない
という4コンボのおかげで話がかなり理解しにくい。難しい。
金星人が見た目は人類と同じで、精神構造だけが異なるというのが物事を更にややこしくしている。
金星人はガニメアンに近い性格で、争いはあんまりなさそう。人は他の人たちのために働く、力を合わせるのが当たり前という考え。指導者は民衆のために働くのであって、私利私欲なんてそもそも選択肢にも上がらないと。
ただ、それでは発展が見込めない、もっと競争していかねばという「進歩派」が徐々に増えてきている。
そんな進歩派の悪役が一人いるのだが、そいつもあくまでも金星人にしては悪者なので、邪魔者を消すということは完全に追い詰められてから突発的に行う、くらいでせいぜい嫌がらせが関の山。そいつが警察に捕まるときも、何かあったら呼び出すので大丈夫でしょう、解放!となり、全体的に優しさに満ち溢れている。
ホーガンさんは現人類に絶望していたのだろうか。星を継ぐもののガニメアンも優しかったし、今作の金星人も戦争も暴力も縁がない。どの本を読んでも人が死なない優しい世界。
金星人も、はるか昔に絶滅した地球人と自分達の見た目がすごく似てるのはなぜかわかっていないようだが、これって普通に地球人が宇宙船で逃げてコールドスリープして金星に辿り着いたという話では…?
というのは最初から怪しんでいたけど、ちょっとだけ違った。ほぼ全滅しかけた頃に一旦コロニーに退避していて、長い間そこで過ごしていてようやく地球に戻ってきたが、結局ウイルスにやられて退散した先が金星だったということだった模様。
星を継ぐものシリーズだと言われなければ普通に楽しめたかもしれないなぁ。勿体無い読み方をしてしまった。 -
Posted by ブクログ
ジョン・スコルジーは、ブログやノンフィクションでの鋭い洞察力でも知られるアメリカのSF作家です。彼の代表作である『老人と宇宙』は、2005年に刊行された後、その斬新さでヒューゴー賞の候補に上がるほどの注目を集めました。この作品の魅力は、宇宙という無限の舞台上で繰り広げられる、人間ドラマの深さにあります。
『老人と宇宙』の中心となるテーマは、「歳を重ねた人々が未知の領域でどのように振る舞うか」という点です。主人公である75歳のジョン・ペリーが、地球を離れ人類コロニーを守る軍隊に参加するという物語は、ロバート・A・ハインラインの『宇宙の戦士』にインスピレーションを受けつつも、独自の哲学と人生観を交えたスコルジー独自の作品に昇華されています。
本書のおすすめポイントは、痛快なアクションと人間ドラマのバランスの良さです。登場する老人たちの会話は、彼らの人生経験を反映しており、時に辛辣でありながらも温かみを持っています。戦闘シーンでは、エイリアンや武器、戦術が斬新で想像力をかきたてられるものとなっており、読者は主人公ジョン・ペリーと共に宇宙の冒険と戦争を味わうことができるでしょう。
SFを好む読者だけでなく、人生の晩年にあっても新たな挑戦を恐れない精神に共感する人々にもお勧めできます。老いというテーマを通して、生と死、愛と友情、戦争と平和などの普遍的な問題が繊細に描かれています。また、本作はシリーズ化されており、ジョン・ペリーのさらなる物語が追体験できる点も見逃せません。
総評として、この小説は、老人と宇宙という斬新な発想で、SFの魅力を存分に味わわせてくれる作品です。 -
Posted by ブクログ
題名からして、“おび”からして、それはもう感じていました。
サイエンス・フィクション(SF)では、論理的でありながら感覚的に読むことが求められる。
これはもうはなっから「情緒的」に読みこなすことが求められる。
これはもはや「観念的」に読んでいかないと、いちいち止まってしまいそうになる。
そんなペースで進めていくうちに、例えば、秦の始皇帝の後継問題や、清朝乾隆帝期におけるヨーロッパを含めた周辺国の朝貢関係のような背景を、理解し始める。
そうなると、主人公たちのハラハラドキドキな冒険活劇が面白くなるって、下巻はあっという間に終了。
記憶と記録
記録とは単にあったことでそれ以上でも以下でもないが、何を残しておくかによって作為が生じる。
記憶とは過去にあったことと誤解をさせる脳の娯楽で、自己憐憫とともに自己肯定への欲望に用いる。
他人の記録をスキルの継承の目的で脳に植え込むことと、不老不死にこだわり狂う始皇帝の欲望を併せた物語……