梨屋アリエのレビュー一覧
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両親と、同学年で3ヶ月違いの養弟と暮らすひすいの、新中学2年の担任教師は、個人が読んだ本と感想を書いた「読書カード」を掲示し、班ごとに冊数を競う方針を掲げた。彼女は、本そのものや読み聞かせは好きだったが読むことは苦手で、なかなかカードが出せず焦っていた。ところが、同じクラスの入来理幹は、プライバシーを理由にカードの提出を拒む。担任に気に入られたいひすいは、理幹の行動に驚くが、同じクラスの心桜の汚い字で幼い文章のカードにも、その字をパソコンで打ち替えたカードに張り替える担任教師にも驚くのだった。
ディスレクシア、書字障害、化学物質過敏症、里親養子、外国人の血筋、過食症……、中学2年生の様々な悩 -
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好きという気持ちで空を割ってしまう少女、選択を迫られた時に踏切の警告音のなり出す少女、背中に羽根の生えた少年、足下15センチ浮いている少年、月に帰りたい少女と森になりたい少女。
少し不思議な現象が起こりつつ、そこに描かれているのは恋心。そして彼女ら彼らにはどうしようもない家庭の事情。
このふたつは中学生にとって心の多くを占めるものでしょう。そこに焦点を当て真っ直ぐ描きながら、不思議な現象を用いることで「物語」として受け取りやすくしている。そんな印象がありました。
登場人物らが背負うものは様々なものです。そこには自分の中にあるものと、自分の外にあるものがあります。
恋がわからないと思う心があれ -
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高校生男女7人が交代に語り手となる連作掌編小説集。
ひとりひとりの気持ちが細やかに描写されています。掌編ということで1編1編はごく短め。それぞれの子が抱える問題がスパッと解決される訳ではなく、高校生の日常をスパッと切り取って見せられているような感じがあります。それがきっと登場人物と同年代の読者には身近なものとして写るのでしょう。
読んでいくうちに登場人物への認識が変わっていくのが面白かったです。この子はこういう考えもするんだ、この子にはこういう一面もあるのだと驚かされる場面が多々あったのです。
きっと自分自身でも気付いていなかった自分が、他人との交わりの中で出てくるのでしょう。一人称で書かれ -
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世の中のヨゴレを知らないピュアな子たちには読ませたくなーい!なんてのは、建前で(笑)
多分、誰もが人にはいえない秘密や歪んだ思い、どす黒いものを大なり小なり持っていて…逆に真っ白な子がいたら、周りが大変そう
この本にでてくる7人の高校生・中学生たちも普通に見えて、いろいろ事情があるようで…
中学・高校の頃の恋とか親友とかって、大人になってみたら背中をかきむしっちゃうようなイタイものだったり、親友という名のクラスメイトだったり、でも友だちなんだよね
壊れそうになっても、また繋ぐことができるのは、若いからなのか
繋ぎ直すごとにレベルアップするものなのか…
「きみのためにはだれも泣かない」
まずは自 -
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空から落ちてくる恋のカケラを集める「青空フレーク」
翼を持った少年と砂時計の「飛べない翼」
少し浮いた先輩を好きになる「水に棲む」
森になりたい少女と月に帰りたい少女の「つきのこども」
東京都世田谷が舞台の少し不思議な物語。
不思議な設定なのに、
不思議とすんなり受け入れられたり。
物語の終わり方も、
ぽーんと投げ出されたような心もとないようなものも。
でも答えを探すのは自分。
「水に棲む」の
晴実は先輩に会いに行くため雨の中走る。
やっと先輩に会えたのに、
ドロだらけで泣きそうになる。
という場面があるんですが、
なんだか必死なキモチと雨がキラ