笙野頼子のレビュー一覧

  • 母の発達

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    笙野頼子さんの作品て、読むのにいつも変な体力使うし気合い入れて読んでぐったり疲れる感じになるんですが、これも、変な体力使ったし気合い入れて読んだのに、ぐったり疲れるとゆーことはなかったです。すっきりした読後でした。でもやっぱり毎回圧倒されます。おかーさん再構築。
    しかしあの五十音順の母は、ヤツノの理想というか、望むものなんやろうか。あれすらも母の命令で行われとる感じやったけど、そっちはいいのか。うむむ。
    でも、母を生むむすめって、つまり母子関係ってそういうことやよね。

    0
    2012年12月03日
  • 硝子生命論

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    全四章。なお、雑誌での掲載順でいうと、第一章と第二章が入れ替わる。
    第一章 硝子生命論
    第二章 水中雛幻想
    第三章 幻視建国序説
    第四章 人形歴元年

    ~簡単なあらすじ~
    「死体人形」≒「硝子生命体」を作成し、そして失踪してしまったヒヌマ・ユウヒ。
    彼女に取材という形で関わり、また「死体人形」の所有者ともなった私、日枝無性。
    「死体人形」の愛好家達が集まり、失踪したユウヒを追憶する中で、やがて彼らは新しい国を幻視するのだった。
    そして国が作られると同時に、”私”は一冊の本となる。その本の名前は「硝子生命論」。


    硝子生命という存在は、自分を害さない自己から発した他者との関わりをもたらす物質で

    0
    2012年06月19日
  • 母の発達

    Posted by ブクログ

    笙野頼子の存在を知ったのは佐藤亜紀のHPからでした。
    その直後に本屋で見かけた『金毘羅』>『水晶内制度』>『絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男』と読み進めて、その流れで『説教師カニバットと百人の危ない美女』と『だいにっほん、おんたこめいわく史』を読むつもりだったんだけど、ついつい、ふらりと手に取ってしまったこの本。
    「文庫で薄く」て「読み始めたらすいすい」読めてしまったからなんだけど、いやーまー…やっぱりすごいっ!笙野頼子!!文章は「すいすい」だけど書いてる内容はすさまじく深いっ!!なのに、この枚数で治まるなんてっ!ぎゃーはっはっはっはっ。
    感想はもちろん◎!花丸つけちゃうぞ。

    0
    2011年09月26日
  • 母の発達

    Posted by ブクログ

    ━━おかあさーん。
    ━━へっへーい。
    ━━おかあさーん。
    ━━ぶりぶりぶり。

    この母娘のやり取り壊れてます。これだけ壊せば前が見える?あきらめがつく??
    もうカオス、カオス。

    0
    2011年04月20日
  • 金毘羅

    Posted by ブクログ

    サイードが『文化と帝国主義』の中で「帝国主義」という定義に触れ、領土を支配するイデオロギー的な理論と実践、またそれがかかえる様々な姿勢だって言っていたけど、日本風土の基層から笙野節でそのことが書かれているんだよ。サイードさんと笙野さんって結びつき難いようで奇妙な私の中の結び付きを感じた。

    「日本国民の殆どはロジックに載せてまともに日本語を使う能力などありません。矛盾した事をころころいいながら自分の感情だけ身振りだけを表現するのです。職場ならば力関係で物事が決まります。家庭ならば言葉はただ身振りと感情でやりとりされて、愛情や調和があれば、それでいい」p121

    「そんな私の、金毘羅の目から見

    0
    2010年10月07日
  • 海底八幡宮

    Posted by ブクログ

    とんでもねえなこれは。筒井御大以来の衝撃。甚だ乏しく偏った読書体験しか持たないわたくしではあるが、こういう作家は迷わず天才認定することにしている。何かしらどんよりとウーハーな通奏低音が響く中、金比羅として覚醒した私と天孫によってその座を収奪された宇佐八幡の王・亜知海(あちめ)の対話によってこの国の歴史を貫く権力と徴税の仕組みが暴き立てられる。死期の近い愛猫の看護、母の葬式、締め切りに追われる執筆、気の進まぬ講演といった日常に、絶えず現れて理不尽な干渉を繰り返すのは、亜知海に言わせりゃ天孫による徴税に他ならない。物わかりのいい諦めは相手の思う壺、と海の底から警鐘を鳴らす。権力による徴兵の手を逃れ

    0
    2010年06月03日
  • 水晶内制度

    Posted by ブクログ

    女尊男卑の物語(?)
     複雑でした。色々と。内容と設定がいろいろあるわりに、読めばわかるのですが軽く(むしろおふざけっぽく)書いてあるので、なかなか好悪の分かれるところ。
    『きったないフェミニズム』
    『うわーっ』
    『原発(原は違う字)』
     この三つはポイント。
     主人公の女性は、この国の神話を作る作業に携わる。……なんで、彼女の世話役が「ウカ」なんだよ……。樓主はパズルの花紡ぐ姫の名前を「羽佳」にしたのに(涙)ま、いいけど。
     月都市と似たような雰囲気かと思ったのですが、保護施設のあり方も、制度も違いましたね。なんだか異様にねじくれていました。
     説明のしようがないんです。綺麗なのに、おちゃら

    0
    2009年10月04日
  • 笙野頼子三冠小説集

    Posted by ブクログ

    これ1冊で3作ってお得!と思い購入しました、というのも笙野作品は全体的に在庫がないのです(探す私の努力不足かもしれないけど)。
    単行本の方より読みやすい感じ。「恋愛用マグロ」の描写が妙にリアルで若干のグロテスクさを感じさせる辺りが素敵。
    一番のお薦めは『二百回忌』です。

    0
    2009年10月04日
  • 硝子生命論

    Posted by ブクログ

    「死体人形との恋愛生活、そして人形愛者達の幻視建国――。」笙野頼子は出会ったときからずっと好き。カルト作家と呼ばれても、J文学と言われても、ひたすらに格好いいのです。何度読んでも難解で、でも好きな本です。

    0
    2009年10月04日
  • 母の発達

    Posted by ブクログ

     母という存在の抑圧から逃れるため、妄想において母を解体する話。デタラメな妄想録のようでありがながら、実はギリシア神話の母の解体にもつながる奥深さ。「なんじゃこりゃー」と思いながら読み進めていくうちに、いつの間にかこの作家の妄想世界に迷い込んでいきます。

    0
    2009年10月04日
  • 笙野頼子三冠小説集

    Posted by ブクログ

    笙野頼子は今生きている作家の中で一番面白いのではないでしょうか。ハードボイルドでオカルティック。我が憧れの作家。

    0
    2009年10月04日
  • 笙野頼子三冠小説集

    Posted by ブクログ

    受賞順に読んだ。全部同じじゃないかというところはあるけど、毎回面白いから全然問題ない。とにかく笙野頼子がめちゃくちゃ面白いことを知れてよかった。なんで売れないのかなあ?このあとの作品読んでない身で言ってもしかたがないが、この三つを読んで思ったのはどっか変なところに旅行にでも連れて行きたいよな。あと、町田康ってほとんど読んだことないけど、一番最初に思い浮かんだのは町蔵だった。似てないかなあ。2007.1.11

    0
    2009年10月04日
  • 水晶内制度

    Posted by ブクログ

    言わずと知れた笙野頼子。もうほんまに好き。フェミっていうか、もう見えてるね、世界の成り立ちとか、なんかそんなのが。確信的なフェミ50%、丁寧でリアルな少女漫画感覚20%、ヨゴレ系20%、その他、で成り立っている。一部、売春婦と普通の女の分断を指摘してるとこがあったような、なかったような。

    0
    2009年10月04日
  • 説教師カニバットと百人の危ない美女

    Posted by ブクログ

    ★あふれる芸過剰★再読。前回読んだ時の記憶はないが、とにかく読み通すのに気力が必要。純文学も女性性も複数の語り口も何の知見もなく、とにかく過剰さに圧倒される。正直なところブスかどうかにこちらはそんなに関心はない。内容の先端性以上に、幻想と悪態と複層する語り口を続けられる筆者の体力と技術と自信に押されるばかり。

    0
    2022年03月06日
  • 金毘羅

    Posted by ブクログ

    難しい。
    金毘羅はごく私的なカウンター神。伊勢神宮や、国家的な神道に対するアンチテーゼ。彼らが国を統一する時に反逆し切り捨てられた少彦名。そんな金毘羅が死んだ女の子に宿った。人間の母は金毘羅を男のように学問をさせて男のように育てる=女であることを否定する。女であることは、この男性中心社会において金毘羅であることなのだろうか。

    0
    2020年05月04日
  • 笙野頼子三冠小説集

    Posted by ブクログ

    カニデシ、カニデシタ、カニデナイ、カニカモネ‥
    「二百回忌」が良かった。
    可愛いな、面白いな。
    大学時代を思い出した。
    こんな風に純文学を楽しめる時間が、涼やかだった。

    「タイムスリップ・コンビナート」がどうしても読めなくて、しばらく遠ざかっていたけれど、今回は「二百回忌」が良かったな。

    0
    2020年01月19日
  • 未闘病記――膠原病、「混合性結合組織病」の

    Posted by ブクログ

     病気であったことがあとから分かった。今までなぜ人と比べて出来ないのだろう、苦しいのだろうと思っていたことは、病気のせいであることが分かった。

     タイトルの通りの膠原病、混合性結合組織病である著者の病名の確定から安定した段階までの手記というか何というか。
     もともと純文学で独特な表現として受け取られていた、表現が病状だったというのは腑に落ちる。その人にしか見えないものを書くのだろうから。しかし、この病状が安定しない時から安定したときまでを淡々と、己を他人のように突き放して表現し続ける著者の執念はどこから来るのだろう。遺伝子を持ったとしても発現は後天的なものだという。生きることは書くこととなる

    0
    2017年09月28日
  • タイムスリップ・コンビナート

    Posted by ブクログ

    冒頭のインパクトがすごすぎるし、テーマも話もすごい。ことばの使い方や比喩が特殊でちょっと読むのに時間がかかったけども。
    もう、夢と現実の境界がわからなくなるとかそんなレベルの話じゃない。そういう二者を分ける概念はもはや無いような感じ。
    あとがきの対談で、そういう世界「もう一つの世界」を掘り起こすために「私」を使うんやっていよった。作者自身っぽい「私」を使うのは(私小説とはまた違う)何かしらの目的があってするテクニックやと思っとったけど、そういうのん言ってくれるのもめずらしくて、対談も興味深く読んだ。

    「シビレル夢ノ水」が猫小説かと思わせといて蚤でしたー三つの中ではいちばん好きやった。まじで蚤

    0
    2016年07月10日
  • 絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男

    Posted by ブクログ

     痛快!もちろん全員の男性がそうでないことは分かっているけれど、自分に歯向かわない物分かりの良い若い女が好きな"知完野労"は確かに存在するわけで、そこを痛烈に皮肉った描写にスカッとした。力強い筆力に圧倒され、飲み込まれるようにして読んでいくのが楽しかった。

    0
    2017年12月18日
  • 説教師カニバットと百人の危ない美女

    Posted by ブクログ

     醜貌を自認し一人で穏やかに暮らす作家に、結婚第一で男尊女卑全開の女ゾンビたちが次々と襲いかかるお話。本作が書かれたのは90年代後半だけど、現代も「モテ」や「男ウケ」などの言葉が溢れ、それらに食傷気味である私にとっては恐ろしくも痛快な小説で面白かった。時代は変わっても女性が背負う他からの先入観や偏見、理想像はなかなかなくならないし、それを受け入れた方が生きやすいこともあると思うので、私は八百木寄りではあれど、女ゾンビ成分ゼロとも言えないのが現実だと思う。

    0
    2015年12月16日