あらすじ
ほーっほっほっほ。美人、それがどうかしたの!?私は世界一美しいブスよっ。はてしなき結婚と容貌についての問い-芥川賞作家による空前の傑作純文学。
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Posted by ブクログ
★あふれる芸過剰★再読。前回読んだ時の記憶はないが、とにかく読み通すのに気力が必要。純文学も女性性も複数の語り口も何の知見もなく、とにかく過剰さに圧倒される。正直なところブスかどうかにこちらはそんなに関心はない。内容の先端性以上に、幻想と悪態と複層する語り口を続けられる筆者の体力と技術と自信に押されるばかり。
Posted by ブクログ
醜貌を自認し一人で穏やかに暮らす作家に、結婚第一で男尊女卑全開の女ゾンビたちが次々と襲いかかるお話。本作が書かれたのは90年代後半だけど、現代も「モテ」や「男ウケ」などの言葉が溢れ、それらに食傷気味である私にとっては恐ろしくも痛快な小説で面白かった。時代は変わっても女性が背負う他からの先入観や偏見、理想像はなかなかなくならないし、それを受け入れた方が生きやすいこともあると思うので、私は八百木寄りではあれど、女ゾンビ成分ゼロとも言えないのが現実だと思う。
Posted by ブクログ
ブスブスブス
私はこんなに素晴しい女性なの!
お料理だって、お掃除だって、家事はもちろんお手の物。
それに言葉遣いだって美しいし、自分を常に高めようと努力しているの。
美しいし、心根だって優れているし、あとは素晴しい殿方だけ。
ね、なんで結婚できないのだと思う?
それはね、あなたみたいなブスが、殿方を手練手管でたぶらかしているからよ、ね、いいこと、カニバット様のおっしゃる通りにしていたのよ、だから私は、
哀れというのでもなく、可笑しいというのでもなく、ただただ呆然とする。
ブスブスブスと連呼しながら頭に渦巻く疑問。
それを結婚という幻想に覆い隠しながら、連呼する。
そうでなければ自らの思いを何に託すことができようか!
フェミニズムを否定し、結婚を理想郷のように崇めている彼女らは一見恐ろしく何とも馬鹿げているように思える。
しかしそこにあるのは、行き場を失った「自分」を求める人間の姿。
本書の感想を述べるのはとても難しい。
評するのも同様に。
迫りくる言葉は、「こばと会」の正気の沙汰とは思えない彼女らの思い込み、あるいは正義。
結婚と女と容姿という、普遍的でありそうで実は現代特有の問題について、読む者は頭を撹乱、いや、ミキサーにかけられたようになる。
面白いとか面白くないとか、そういうことを考える前に訳がわからなくなるのだ。
Posted by ブクログ
初めて笙野頼子の小説を読んだが、圧倒された。
強烈なメタと攻撃的文体で独特のフェミニズムが書いてある。しかし実際はそんな生やさしいものではなく、罵詈雑言の暴風雨が吹き荒れる。勘弁してくれと泣き言をいっても止まらない。勿論それは自分に対して言われているのではないのだが、受け止めるのは自分(読者)の言語中枢である。正直疲れた。
読む人を選ぶ小説だが、ハマったら相当に面白いものとなるだろう。
Posted by ブクログ
つかみにくい話。
ありえない話なんだけど、よくある話でもある。
たとえばブス描写。ひとつひとつの描写がぜんぜんおかしくない。普通にみかけるコンプレックスや弱点や、そんな程度のものなんだけど、全部集まると大層な、でも異形じゃないただの外れ値になる。
無知を恥じもせず人を責めるだけの妄言を吐きまくる説教師も、それを信じる美女たちもそう。
こんな風にケッコンケッコン恋愛彼氏清く正しく美しく女らしく男オトコ!と思い込まされて、思い込まなければ生きていけないような人ってのはよく居る。
「!?」「~しているっ」「でもでも」などの小技が利いた文体が絶妙にイラッっとくる。
最初は笑いながら読んだ。風刺を他人事に楽しんで。
そのうち嫌になってきた。世界に対するフラストレーションを延々と聞かされている気になって。
それからぞっとした。美女たちに対する切り離しと蔑視が自分と重なって。
最終的によくわからないけどなんか疲れた。
精神的な疲労のはずなのに感覚としては肉体疲労。
ちょっとストレッチするつもりが気づいたら一試合終えてしまったような、消耗じゃない疲労。
この本はどう読もうなんて考えながら読むもんじゃないかもな。
私は純文学(はわからないけど私小説は)嫌い派なので、この人の肯定論を読んでみたくなった。食わず嫌いを覆してくれるか、少なくとも純文学好き派に納得できそうな気がする。