大高忍のレビュー一覧
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今回は、表紙の練紅炎とは関係なく前編でマグノシュタット編が展開されている。人口三十万の都市に隠された真相について、そしてそもそも魔法使いとはどんな存在なのかを開陳するところで物語は閉じられている。
今巻で活躍しているのはティトスだろう。レーム帝国のシェヘラザードから派遣された魔法使いだが、激情タイプの性格はこの状況に対して難しい対応を求められている。シェヘラザードとの対話を思うに、次の巻ではさらに難しい立場となることだろう。
それにしても、ここでマイヤーズ教官が活躍することになるとは。良い使いどころだろう。
今回は星四つ半。次回、非常に重要な設定開示が待ち受けているだろう。楽しみにし -
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マグノシュタット編開幕の巻である。この巻でいきなり風の魔法を得るアラジンであるが、この辺はさすがの展開の早さである。
同道した練紅覇に、同室のスフィントスと、物語はシンプルに進みながらもこれからを予感させるような展開を絡ませての開幕。本当に達者でいらっしゃるなと。
白龍との決別もそうだが、一つ一つの展開に意味があり、無駄がない。その過程で開陳される設定も適切な分量と内容であり、それでいて物語は無理なくスムーズに進行しているのだから、大高さんは稀有なストーリーテラーだと改めて思うところだ。
とはいえ、今回はあくまで開幕の巻。重要な設定の開示はあったが(この世界の魔法の分類や、練紅覇の人 -
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今回は旅立ち編とでも称するべきだろうか。シンドリアでの出来事も一段落し、アリババ以外の二人がこれからの行く道を見つけた形である。
マグノシュタットについては、八人将のヤムライハに加えて前回ドゥニヤの因縁が加えられたことで物語的に注目度が上がっていたわけだけれど、そこにアラジンが乗り込む、というのはさすがのテンポ感だろう。アル・サーメンとの繋がりも示唆されているし、アル・サーメン自体がソロモンとの繋がりを示唆する今巻から察するに、対立構造がより明らかになるだろうことが予測される。
ところで、ちょっと意外だったのが、白龍の件が今回事件を引き起こしたところである。もう少し引っ張るかな、と思って -
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今回は迷宮攻略&師匠方の無双編。これで簡単に終わったとは思われないが、何しろ強い師匠方であった。
物語的には、練白龍に加えられた最後の一撃が重要なポイントとなるだろう。最後のおちゃらけ漫画での示唆といい、もしかすると今回の迷宮攻略編において最も重要なシーンだったかもしれない。
どうでもいい話であるが、迷宮攻略当初のアモンのキモいアレがもっさんのことを言ってたんだなと、今回の巻末漫画でようやく気付いた。我ながら鈍い話である。
今回は星四つ。
個人的には、ドゥニヤが救われたのはめでたい。使い捨てにするにはだいぶ気合が入ったキャラであったし、魔法使いでマグノシュタットとの因縁持ちというの -
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今回はアリババの過去の経緯が明らかになるとともに、バルバッドを影から支配する勢力との対峙編である。より正確に言うと、対ジュダル緒戦である。
物語はシンドバッドとジュダルを取り込むことで、より複雑な色合いを帯び始め、なかなか一筋縄ではいかぬ様相をもたらしつつある。霧の団の幹部三人が姿を消した件はそっと触れられているが、物語上重要なターニングポイントだ。
対ジュダル戦が今回で片が付くようなものでないことは容易く読み取れるし、次巻からの展開が楽しみなところである。
間に挟まる巻と言えるような内容であり、元からの密度を思えば星四つ半相当かなと評価した。 -
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ネタバレ煌帝国篇に入りましたね。
しみじみと、アリババ君が立派になったなあ、と涙が出てきました。
彼の決断は自罰的すぎるきらいがあって、見ていてかなしくなってきます・・・
一方、これまでフェードアウトしていた白龍とジュダルにスポットが当たりましたね。
「怒り」を抑えられないという二人の考え方は理解できない。ことによっては純粋すぎる、という表現になるのかも。
ただ、怒りをすべて誰かにぶつける、ということはつまり、自我をどこまでも肥大させていくということにほかならず、それが満足ゆくまで行き渡るには、一度全てのものを壊してしまい、全く自分のものにしてしまうしかないわけで。
そして荒野でやっと安心するの -
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アルマトラン編完結。
もう何か…、話がとてつもなく壮大…(笑)
いろんな想いが重なりあって、重なりあって、より複雑になって、わけがわからないけれど、なんとなく理解も出来て。少しずつ、先に知りえた情報と繋がりあっていく感じが気持ち良い。
でも、今まではアル・サーメンは完全に敵だと思っていたけど、この巻を読んで少し変わったかもしれない。アル・サーメンを築いた人たちの想いも、なんとなくわかるかもしれない。アルバのように神を崇拝しているわけではないけど、自分の子供を殺されたファーランのどこにやることも出来ない怒りとか絶望とかはよくわかる。
ソロモンと異種族の長たちの繋がりにはグッときた。金属器のジンた -
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ネタバレ希望ももちろんあるんだけど、色んな人達の抱いた絶望が深すぎて辛かった。
アル・サーメンは悪だとは思うけど、彼らには彼らの思想と、それを掲げる理由がある。そのために数え切れないほどの他人を犠牲にしようとしていたとしても、今の世界を間違っていると感じてるから、己の論理を貫き覆そうとする。人は自分が正しいと信じていることを行う。信念があるというのはそういうことだろう。
アルマトランの悲劇というのは、ソロモンの正義が余人にも理解出来る程度のものではなかったというのが不幸の元の一つだったんだろうな。高次というか、一つ上の段階から物事を見ていたんだろう。もしくはもっと単純に、ソロモンの愛は大きすぎた。世界