翔田寛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
翔田 寛氏の慟哭の誘拐ミステリー。
静岡県警浜松中央署の日下警部補の元に、少女誘拐の一報が入った。
身代金は1億円、運搬役には少女の母親が指名された。
静岡県警は総力を上げて対応したが、事件は最悪の結果となった。
1億円は奪われ、少女は遺体となって発見された。
静岡県警は、多くの恨みをかっていた凄腕の銀行員の父親や、母親の周辺を徹底的に捜査した。
そして、浮かび上がってきたのは、驚愕の真相であった。
最後の数ページのどんでん返しに、あなたも必ず驚愕します。
読み返すと、随所に伏線が隠れていました。
真犯人の心情に、ついホロリとします。
いったい、本当に悪いのは、誰だったのか? -
Posted by ブクログ
翔田寛『人さらい』小学館文庫。
誘拐ミステリー小説。
古い時代の推理小説風の表紙イラストが良い。何故、タイトルが『誘拐』ではなく、『人さらい』なのか。このタイトルにも何かしらの秘密があるのかも知れない。
誘拐された小学4年生の女児は犯人により生かされる間も無く、非情にも殺害され、1億円の身代金も奪われてしまう。従って、警察が誘拐殺人事件の容疑者を調べ、犠牲となった女児の父親の仕事関係から犯人の動機に迫っていくというのがメインストーリーとなる。
次々と浮上する容疑者と謎が謎を呼ぶ予測不能な展開。そんな偶然があろうかという所があるものの、そこは小説、虚構の世界。終盤になり、明らかになる意外 -
Posted by ブクログ
翔田作品は現代を舞台にした推理小説しか読んでおらず、まあ普通の推理小説家だなあという感想しかなかったが、本作で見方を変えさせられた。100年前に高橋由一の描いた隧道図に絡む思惑と怨念が超一流のミステリー作品に昇華する様は驚きの連続で、興奮が抑えられず後半一気読み。個人的に今年最大の拾い物だと感じている。三島通庸を絡めて、明治前半の歴史的な背景も見事に活写している。著者の経歴をWikipediaでみると、美術館勤務および大学での美術史教員の経験があるとのことで、美術に造詣があることもわかり非常に納得。こうなると広沢真臣の暗殺を題材にした「参議怪死ス」も俄然興味深くなった。読んでみよう。