翔田寛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
翔田寛『冤罪犯』角川文庫。
幼女誘拐殺人事件を描いた警察小説。同名の単行本を加筆修正、文庫化。シリーズ化されるようだ。巻末にシリーズ次作の『黙秘犯』の冒頭試し読みを収録。タイトル通りなら冤罪なのだろうが、読み進むうちに模倣犯の線も見えてくる。果たして、真相は……
捻りに捻ったことで、不自然さを感じる事件の真相が少しマイナスのポイントだろうか。執念の捜査を続ける香山亮介、三宅義邦、増岡美佐、香山と衝突する入江正義の警察の面々の人物造形は非常に良い。
千葉県の休耕地で発見されたブルーシートをかけられて半裸で遺棄された幼女の絞殺死体。死体の遺棄状況は7年前に犯人逮捕で解決した田宮事件に酷似して -
Posted by ブクログ
昭和21年、戦後の混乱した日本で起こった誘拐事件と、その時効目前の15年後に起こった家政婦殺人事件。
「おまえは、ほんとうの息子じゃないよ。私が誘拐......。」この言葉を最後に息を引き取った母親。
いったい自分は誰なのか?この謎を追う息子・良雄。
一方、家政婦殺人事件を追う刑事たち。この事件と15年前の誘拐事件が繋がりを見せ始め・・・。
プロットは興味をそそるんだよなぁ。いかにも重厚なミステリーって感じだし。プロローグなんかも闇市の混沌とした様子を上手く描いていて迫力がある。八月という真夏の季節感もこちらにまで暑さが伝わってくるような書き方。
こりゃ、傑作かも!?って思って読み進めたん -
Posted by ブクログ
ネタバレひさしぶりにミステリを読んだ気がします。
2008年乱歩受賞作。
乱歩賞ってほんとハズレがないですね。
戦争末期の誘拐事件がからむ昭和30年代の殺人事件という設定がいい。
登場人物が少し多いけど(刑事さんは1組でもよかったかな)、それぞれの個性が出てるので覚えやすかったです。
いろいろな角度からいろいろな人がそれぞれの目的でアプローチして、それが過去にあった一つの事件に集約され、その真相にたどり着く。
なんていうか、ミステリの醍醐味を味わせてくれる作品です。
物語中の伏線もきっちり回収してるし。
最後がちょい説明調(2時間ドラマの最後の10分みたいw)なのと、ちょっとご都合主義的は出会いも -
Posted by ブクログ
静岡県北の廃村で、誘拐されたまま行方不明になっていた少女の白骨遺体が見つかった。10年前、静岡県警は誘拐犯に身代金1千万円を奪われ、少女は戻らず、事件は迷宮入りとなっていた。
ある廃村で子供の泣き声がするという噂がネットで拡散し何人もの《廃村マニア》が写真や動画をUPして話題になっていた。
2人のバイカー達が面白半分で訪れると崩れかけた家の押入れから白骨遺体をみつけるのだが…
10年前の誘拐は身代金も奪われたあげく少女は帰って来ないまま未解決。
静岡県警誘拐未解決多すぎでしょ!
ってとこは日下警部補の誘拐シリーズだから仕方ない笑
前作よりは動機やらと臓器移植が絡んで読み応えがありました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ誘拐がどういう事件なのか、誘拐の真相とは?と興味深く読み進めたが、最後、真相がわかった時、後味が悪かった。
自分の手は汚さず、金で12歳の病気を抱えた子どもを誘拐させ、自分に優位になるように、自分の欲のため、ことを進める。
でも玉村のような人間に犯罪を頼んだところで、弱みを握られ、その後も金をゆすられるに決まっているのに…。
病気を抱え、それでも生きるために移植を待ち望み、それなのに誘拐され、安否がわからない状態のときに、その待ち望んでいた移植の連絡が入る。だがそのとき、その子はおらず、生死もわからず、何年も時間だけが過ぎていく…。
親の気持ちを思うと、なんともやりきれない後味の悪さが残った。