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Posted by ブクログ 2018年12月14日
終戦の翌年、昭和21年の夏、ひとつの誘拐事件が発生した。狙われたのは、実業家の長男で、まだ5才の子供。
しかし、警察の失態により、身代金は奪われ、犯人は取り逃がし、更に、子供は帰って来なかった...
それから、十数年が経ち、ひとりの女性の殺人事件が発生した。捜査を続けたところ、十数年前の幼児誘拐事...続きを読む件とのリンクが出て来た。
果たして、殺人事件の犯人は、誘拐犯の人間と同じ人物なのか?
母親の最後の言葉『お前は、本当の息子では...』に苦しむ青年とその恋人、反目する2つのグループの刑事達。
最初、バラバラであった3つの糸が不思議に絡み、やがて、ひとつの真実に行き着く。
各所に伏線があり、二転三転するハラハラドキドキの連続ですが、最後は納得の結末です。
生みの親か、育ての親か、いろいろ意見はありますが、やはり、親の愛は、深いものがありますね。
なお、随所にある当時の言葉『アッパッパー』、『解放国民』、『楠公飯』などなど...難しい言葉もありますが、著者は、よく調べていますね。
Posted by ブクログ 2012年10月09日
終戦直後の昭和21年、ある資産家の息子が誘拐された。
現金の受け渡しは人がひしめく闇市。犯人は警察の十重二十重の監視を潜り抜け事件は迷宮入り。
そして15年後の殺人事件をきっかけにまたその誘拐事件が動き出す。
登場人物が自分の足で手がかりを少しずつ見つけていき、その結果過去の事件と現在の事件がひと...続きを読むつの線でつながるっていう、自分が好きなタイプの作品。
現代を生きる自分達には経験できないことだけど終戦直後の生きていくだけで精一杯って時代背景をもっと書いていればもっとよかったかな。
最後のシーンもハラハラした。
Posted by ブクログ 2024年04月21日
翔田寛の長篇ミステリ作品『誘拐児』を読みました。
翔田寛の作品は4年前に読んだ連作短篇時代小説『幽霊が返した借金 おでん屋こはる事件帖』以来なので、久し振りですね。
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第54回江戸川乱歩賞受賞作
昭和21年、帰らなかった誘拐児。悲劇はそこから始まった...続きを読む――。
緊迫の推理。
かつてなく切ないラスト。
圧倒的筆力で描く興奮、そして涙。
終戦翌年の誘拐事件。身代金受け渡し場所、闇市。
犯人確保に失敗。そして15年後、事件がふたたび動き出す――。
人間の非情と情愛を見つめる魂の物語。
選考委員、大沢在昌氏、東野圭吾氏、推挙!
●大沢在昌氏「昭和36年という舞台を描いて、無理を感じさせないその筆力に、まず可能性を感じた。」
●東野圭吾氏「文章、ストーリー、人物描写、すべてが安定している。場面転換も巧みで、読者を飽きさせない。」
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2008年(平成20年)に刊行され、第54回江戸川乱歩賞を受賞した作品です。
終戦翌年の昭和21年夏、実業家の子息で、5歳になる男の子が東京・成城の自宅前から誘拐された……やがて、犯人から脅迫状が届く、、、
「使い古しの新圓で百萬圓を用意しろ。場所は有樂町カストリ横丁」 警察は犯人逮捕に全力をあげ、屈強な刑事たちが闇市を張り込むが、誘拐犯はその目前で身代金を奪ったうえ、子どもを連れて逃げてしまった……あれから15年、手がかりは何もなく、迷宮入りしたかに見えた。
しかし、とある殺人事件をきっかけに、再び児童誘拐事件が動き出した! 二つの事件が思わぬ形で繋がってゆく……圧倒的筆力で描く本年度江戸川乱歩賞受賞作。
戦後の混乱期に起きた未解決の誘拐事件と、15年後に起きた殺人事件が絡み合う展開……お互いに意地を張り反目しあいながら真相究明に向けて地道な捜査を続ける二組の刑事や、自らが誘拐事件の被害者ではないのかと疑いを持つ青年とその恋人、登場人物たちの視点が交差し、徐々に誘拐事件の真相が浮かび上がるという謎解きの展開に引き込まれ、最後まで集中力を欠くことなく読めましたね、、、
主人公以外の登場人物も魅力的で、彼らの人間関係や心情描写が物語に深みを与えていると感じたし、リアリティのある戦後の混乱期の描写も魅力的で物語に臨場感を与えていると感じましたね……面白かったー 好みの作風の作品だったので愉しめました。
Posted by ブクログ 2022年08月19日
2つの事件がどう交わるのか、そして、結末は…一気読み。
まさかあの人が…の展開には驚かされたし、良雄のことについての着地はすっきりした。
Posted by ブクログ 2022年05月06日
戦後の日本を起点にした話。
当時の壮絶な生活情勢を鑑みると、犯罪だが、単なる犯罪とは割り切れない事情も挟み込まれている。
今ののほほんとした日本からは想像が難しい心情から生まれている行動も多くあった。
サスペンスなのに、最後は男女ペア同士のまさかの大乱闘だったのがある意味衝撃的。
Posted by ブクログ 2019年04月06日
「真犯人」に続いて、江戸川乱歩賞を受賞したという本作を読んでみました
こちらも読み応えがあります
自分の過去に疑問を持つ青年と、その恋人、二組の刑事とそれぞれの視点から事件の真相に迫っていきます
さらに過去に捜査に当たった人々が出てくるところは、「真犯人」に似た設定です
時代設定が戦後まもなくで...続きを読む、当時らしい捜査で進みます
登場人物が多く、主人公が誰なのかはっきりしない作品(群像劇ではない)ですが、よく練られて構成だと感じました
Posted by ブクログ 2016年06月22日
昭和21年、戦後の混乱した日本で起こった誘拐事件と、その時効目前の15年後に起こった家政婦殺人事件。
「おまえは、ほんとうの息子じゃないよ。私が誘拐......。」この言葉を最後に息を引き取った母親。
いったい自分は誰なのか?この謎を追う息子・良雄。
一方、家政婦殺人事件を追う刑事たち。この事件と...続きを読む15年前の誘拐事件が繋がりを見せ始め・・・。
プロットは興味をそそるんだよなぁ。いかにも重厚なミステリーって感じだし。プロローグなんかも闇市の混沌とした様子を上手く描いていて迫力がある。八月という真夏の季節感もこちらにまで暑さが伝わってくるような書き方。
こりゃ、傑作かも!?って思って読み進めたんだが・・・。
面白いんだけど、解りにくい小説。
登場人物が多いんだよね。いや、別に多くても良いんだけど、特徴がわかりにくい。例えば、刑事が二組登場するのだが、互いに反目しあってるのはいいけど、読んでいくうちに、どっちがどっちだか解らなくなりそうだった。もう少し、キャラに特徴を付けても良いと思うけどなぁ。
場面もコロコロ変わるから、なんか落ち着かない。この点については、東野圭吾氏が「場面転換も巧みで、読者を飽きさせない」と支持してるそうだけど、う~ん、そういう見方もできるのかなぁ、と渋々納得。
昭和21年の描写は、当時の生活感をだしてるし、目の前に情景が浮かぶような上手さ。それに対して、15年後(昭和36年)の描写はいただけない。時効の都合で昭和36年に設定してるんだろうけど、時代の持つ匂いが伝わってこない。昭和36年って、さすがに戦争直後のようなことはないにしても、まだまだ日本は貧しかった時代だけど、その匂いがしないんだよなぁ。
プロットが良いだけにもったいない気がするなぁ。
ついでに気になった点をあげると、母親の気持ち・感情が描かれてない。ラストで息子の気持ちは語られているし、ウンウンと納得させるだけの描写もされてるんだけど、母親の〇〇〇の行動の理由とか△△△した感情が抜けてるんだよね。このあたりを描いてあると、解りやすい物語になったと思う。
マイナス点を挙げたけど、概ね満足できる一冊だった。
動機と犯行手順、それに関わる人物の行動にも破綻はないし、構成自体は緻密。
最後、母を想う息子の言葉、ちょっぴりウルッとしてしまったな。
☆4個
背表紙~
終戦直後の夏、5歳の男の子が誘拐された。<使い古しの新円で百万円を用意しろ。場所は有楽町カストリ横丁>という脅迫状に従い、屈強な刑事たちが張り込むなか、誘拐犯は子どもを連れて逃げてしまう。そして15年後、とある殺人事件をきっかけに、再びこの誘拐事件が動き出す。第54回江戸川乱歩賞受賞作。
構成で読者を引っ張る小説だと想う。もっとキャラを特徴つけて丁寧な文章だと、かなりの傑作になったんじゃないかなぁ。まぁ、そうすると、今の倍ぐらいにページ数になっってしまうか・・・。
Posted by ブクログ 2014年08月11日
ひさしぶりにミステリを読んだ気がします。
2008年乱歩受賞作。
乱歩賞ってほんとハズレがないですね。
戦争末期の誘拐事件がからむ昭和30年代の殺人事件という設定がいい。
登場人物が少し多いけど(刑事さんは1組でもよかったかな)、それぞれの個性が出てるので覚えやすかったです。
いろいろな角度からい...続きを読むろいろな人がそれぞれの目的でアプローチして、それが過去にあった一つの事件に集約され、その真相にたどり着く。
なんていうか、ミステリの醍醐味を味わせてくれる作品です。
物語中の伏線もきっちり回収してるし。
最後がちょい説明調(2時間ドラマの最後の10分みたいw)なのと、ちょっとご都合主義的は出会いもあるけど、まあ許せる範囲でした。
謎解きとスリルとサスペンスと感動。
ぐいぐい引き込まれて一気に読みました。
Posted by ブクログ 2014年07月08日
1014.7.7ー49
昭和36年の殺人事件から戦後の昭和21年に起こった男児誘拐事件に遡っていく。自分が誘拐児ではないかと真相を探る青年と交際相手、事件を追う対立する2組の刑事の、主に3つの視点から展開する構成が面白い。
第54回江戸川乱歩賞。
Posted by ブクログ 2013年08月12日
第54回江戸川乱歩賞受賞作品。終戦の翌年誘拐事件が発生した。その15年後事件がまた動き出す。そして、誘拐された子供の行方が明らかになっていく。
終戦後のドタバタ、疎開などの特殊事情の元成立した事件だが、子供の行方のんびり謎解きが、面白い
Posted by ブクログ 2012年09月24日
戦後の闇市で、誘拐された5歳の男の子。
未解決なったこの事件が、15年後起こった殺人事件と徐々につながっていく。
読み始めはなかなか物語に入り込めなかった私。
主人公の恋人が登場するあたりから、どんどんのめりこむことができました。
ラストは感動的。
こんな男くさい文体もなかなか面白かったですね。
Posted by ブクログ 2019年08月27日
時代背景が終戦後だったからかな、
似たような登場人物が多かったからかな、
なかなか入り込めなくて
読み進めるのに時間がかかった。
.
ストーリーも登場人物も
全体的に暗い。
衝撃的などんでん返しがあるわけでもなく、
今までのストーリー展開を覆す程の
強烈なハッピーエンドを迎えるわけでもない。
でも、...続きを読む
これが現実なのかな。
Posted by ブクログ 2019年03月10日
誘拐児/翔田寛:第54回大賞受賞。2008年。
戦後の焼け野原。闇市。飢えた大人の死体が転がっていた頃。食べるだけで必死だった時代。
自分の母は本当の母じゃない。自分は誘拐された子なのでは。
そうだったんだけど、誘拐したのは母じゃないし。育てたのは母だし。
不謹慎だが、戦前戦中戦後は物語作りに最適だ...続きを読むと思う。筆力、表現力、粘り強さがあれば
Posted by ブクログ 2018年12月11日
江戸川乱歩賞受賞作 ということで手に取る。戦後の混乱期から始まり15年後につながるストーリーですが、リアルな熱が伝わって来なかった。
(リアルな体験ないけど)
主人公と恋人が20歳前後(幼児誘拐から時効で設定したら必然だけど)ちょっと大人び過ぎているというか、それも時代なのか
あと偶然が多いかな、っ...続きを読むて印象。
Posted by ブクログ 2017年06月22日
時代の割にはどこか新しい雰囲気が同居してしまっており、古きを書ききれていない違和感がずっと付きまとう。内容だけを追えば、まず流れている感じもするが、リアルではない。それは、突拍子も無いオチだとか、実現の蓋然性の低さを上げ諂っているわけではなく、あくまでこの本の中の世界に説得力がないということ。その違...続きを読む和感を抱きつつも、人間関係の数奇さにページをめくらされた。
Posted by ブクログ 2016年04月22日
終戦翌年に起きた、いまだ解決しない誘拐事件。
15年後にある殺人事件をきっかけに、再び誘拐事件に注目する刑事たち。
そして、自分が誘拐された子供なのではないかと悩む男。
とても引き込まれそうな話なのに、あまり感情移入できなかった。惜しい。
Posted by ブクログ 2015年11月22日
終戦翌年の夏、5歳の男の子が誘拐された。“使い古しの新圓で百萬圓を用意しろ。場所は有樂町カストリ横丁”という脅迫状に従い、屈強な刑事たちが張り込むなか、誘拐犯は子どもを連れて逃げてしまう。そして15年後、とある殺人事件をきっかけに、再びこの誘拐事件が動き出す。第54回江戸川乱歩賞受賞作。
Posted by ブクログ 2013年12月23日
第54回江戸川乱歩賞受賞作品。
題名から想像できるように、自分の出生の秘密を探る作品です。
時代設定は昭和36年。
この年におきた殺人事件から、その15年前の誘拐事件が絡み、真相を究明していく物語りとなっています。
しかし、この真相究明については、2組の刑事が別々の角度、捜査から最終的には真相にた...続きを読むどり着くようになっています。
これが、わかりにくい。読んでて混乱してしまいます。あれ、こっちのチームがこういうこと考えてたんだっけ?とか、こっちのチームは何を追っかけてたんだっけ?とかとか
さらに、登場人物も多く出てきて、この人誰だっけ?ってなってしまいます。
そんなわけで、ちょっと読み進めるのに苦労するところがありました。
しかしながら、最終的には、謎が解けてスッキリ!読後感もスッキリです。
本書の最終的なテーマはやはり親子。そして、本作品では、母親と息子。
最後に主人公が語るその母親への想いが心に染みます。
「だから、俺は、お袋の子供でほんとうによかったと、そう思っているんです」
これだけでGOOD!
Posted by ブクログ 2015年11月23日
殺人事件を追う刑事、自分の出自を探ろうとする主人公など、いずれの行動にも不自然さがなく、すんなりと物語世界に入り込めました。
ただ、冒頭の身代金の受け渡しの場面から「この先一体どうなっていくのだろう」と期待が膨らみましたが、終盤はどんどん萎んでいくような展開でした。謎解きの部分も少々判り辛かったです...続きを読む。
Posted by ブクログ 2013年01月20日
最後にグングンっと、色々謎解明するあたり、
なんか江戸川乱歩賞っぽかった。
前半ぐっとスリリングな展開で引き寄せられた割には、
とちゅう誰た感じがするかなあ。
その分最後がちょっと急すぎた感じを受けた。
Posted by ブクログ 2012年11月25日
【背表紙】
終戦翌年の夏、5歳の男の子が誘拐された。
《使い古しの新圓で百萬圓を用意しろ。場所は有楽町カストリ横丁》という脅迫状に従い、
屈強な刑事たちが張り込むなか、誘拐犯は子供を連れて逃げてしまう。
そして15年後、とある殺人事件を切欠に、再びこの誘拐事件が動き出す。
。.。:+* ゚ ゜゚ ...続きを読む*+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *
男の人が書いた本って感じw
始めは、少し退屈でダラダラと読んでいくうちに、
中盤以降辺りから徐々に面白くなりひき込まれていきました。
設定がしっかりしているなーと感じながら、終盤はグイグイ読み続けました。
結末は、綺麗なのですが、、、なんというか、、、。
終盤にひき込まれたからか、オチがあっけないというか、、、
もっとスカッとしたかったですぅ。
Posted by ブクログ 2012年11月16日
詰め方に緻密さは感じるが、登場人物が多すぎて誰が誰だか途中で分かりずらい。一人一人のキャラを記憶に残せていないかな、と思った。ただ、ミステリの王道的な構成だと思う。