彩坂美月のレビュー一覧
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心理表現や人間関係の描き方が瑞々しく、一方でミステリとしても鮮烈な印象を残す、青春タイムリープミステリ。
彩坂美月さんは最近注目を集めつつある作家さんのイメージでしたが、ミステリの書き手としても、青春小説の書き手としても、その実力がいかんなく現れた秀作だったと思います。
これまでの人生で2回、同じ1時間を5回繰り返すタイムリープを体験した高校生の菜月。文化祭当日、菜月はクラスメートの拓未から告白された直後、再びタイムリープに巻き込まれ、時間を1時間さかのぼってしまう。そしてその1時間後、拓未は菜月に告白する前に転落死してしまい……
拓未を突き落としたのは誰か? というのがメインの謎としてあ -
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高校生の天野美咲の母は三年前にいなくなり、父は再婚して血のつながらない弟がいますが、美咲はそんな環境に閉塞感を感じています。
そんな美咲が謎の覆面作家三島加深の小説に出会い、加深の隠しサイト<月の裏側>で出会った、七人と<架空遊戯>というミステリーツアーに参加することになります。
二泊三日で、管理人のジョーカーを含む七人で劇中劇を演じて、被害者と犯人がいますが、真相と犯人を推理した者に三島加深の未発表作品を読む権利が与えられます。
参加者には役柄とシナリオが与えられ、美咲は「九条茜」という役柄でゲームに参加することになります。
最初はRPGのようなストーリーになんとなく、馴染めませんでした -
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素晴らしい。
ミステリとしても青春小説としても秀逸だなと思える一冊。
田舎特有の人間模様、細やかな自然描写、そして少年少女の成長が鮮やかに描かれていて、胸に残る物語でした。
小学4年生のみのりは、父の死をきっかけに母の故郷・山形の山間部へ。
穏やかで繊細な怜。
気性の激しい隼人。
豊かな自然の中で育まれる3人の日々。
小さな事件や不可解な出来事は解決しないままに時は経ち…やがて少しずつ真相が露わに。
伏線が回収されるほどに、胸に秘めた想いや不安、不満が浮かび上がってくる。
それは間違いだったかもしれない。
取り返しのつかないことだったかもしれない。
けれど、彼らを頭ごなしに批判はできな -
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あなたは『五感』をすべて言うことができるでしょうか?
はい、これは分かります。『聴覚』、『視覚』、『嗅覚』、『味覚』、『触覚』の5つのことですね。これらは、”動物が外界の情報や生命をおびやかす危険をキャッチする重要なセンサー”とも言われています。
そして、『五感』は、私たちが他の存在と関わるための外部世界への入り口の役割を果たすものでもあります。とは言え私たちは普段の生活の中でそれらをことさら意識することはありません。しかし一方で、もしそれらのすべてを欠くことになったとしたらそこにはどのような世界が待っているのでしょうか。外部世界との繋がりをすべて失ってしまった状態。それはこの世を生きてい -
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ネタバレ面白かった。
一度目には起こらなかったはずの死を繰り返すリープ の中で食い止めようとする、という設定は』七回死んだ男』と似ている部分もあるが、本作は青春色がとても強かった。
高校生活が瑞々しく描かれていて、自分の中学、高校時代と重ね合わせて懐かしみながら読んでいた。
特に文化祭が始まってからは、文章から高校の行事ならではの熱気、活気が伝わってきて一気に物語に引き込まれていった。
けど、一個違和感。
外部受験するのを黙っていたことに対して千佳と愛美が怒ったのはわかる。無視もまぁ、、わかる。
けど、陰で他の人にも菜月の悪口をあんな風に言うのは違くないか?本当に親友と思ってるならしなくない?
と