彩坂美月のレビュー一覧
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『たった一つだけ思い出を再上映できるとしたら、あなたはどれを選びますか?』
一日二十四時間生きていく私たちは、その一瞬一瞬にさまざまなことを体験していきます。もちろん眠っている時間はカウントできないとしても、私たちは数々の体験を『思い出』として記憶していきます。そんな『思い出』は人によって当然に異なります。例えば『思い出』の中の一つを挙げたとして、たまたま同じ場面を挙げたとしても人によってそこに見えていたものは異なるはずです。『思い出』として刻まれるのは『〈自分〉というフィルターを通したもの』だからです。
では、あなたがそんな『思い出』の中からもう一度体験してみたいと思うものを挙げるとした -
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あなたは、『これから何が起きるのかを知ってい』ると思う体験をしたことはあるでしょうか?
何かをしている時に、これはかつて経験したことがある、というように感じる瞬間。それは、”デ・ジャブ”とも呼ばれ、恩田陸さんがとても好まれ、恩田さんの作品には必ず登場するものでもあります。その真否のほどは分かりませんが言葉が生まれるくらいですから、それなりに経験された方もいらっしゃるのだと思います。
一方で、目の前でかつて見たのと全く同じ光景が繰り広げられている、と感じたことはあるでしょうか?
『私は、これから何が起きるのかを知っていた』。
そんな感覚です。これに、はい!と答える方がいたとしたら -
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彩坂美月さん初読でした。
突然父を亡くし、母の実家・山形の桜沢という田舎、それも小さな集落に引っ越した小学6年生・高橋みのりが主人公の物語で、小6から中学卒業までの4年間がみのりの視点で描かれます。
みのりと2人の少年(隼人と怜)の成長、田舎の豊かな自然や風習・行事のよさ、集落特有の関係性からくる距離感のよさと逆の閉鎖性、これらが緻密にかつ丁寧に描かれ、情景が目に浮かぶようです。
そこに事件と不穏な空気感を織り込み、ミステリーと上手く融合させている気がします。加えて、花・行事・怪人としての「向日葵」の存在が、明暗の両方に作用し、物語に惹き込む効果的なアイテム兼象徴になっているようです -
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ネタバレ田舎町「みどり町」を舞台としたミステリー作品。
みどり町に蔓延る「怪人」の噂、そこに住まう人々に起きる出来事、田舎特有の閉塞感が絶妙にマッチしていてとても引き込まれました。
いつの時代も情報が錯綜し、それが噂となり、それがいつの間にか真実のように変わっていく。『幽霊の正体見たり、枯れ尾花』という言葉にあるように、本当はそうでもないものでも、それが尾ひれが付き恐ろしい怪人となっていく。また登場人物達が抱える孤独・焦り・嫉妬などの鬱屈とした感情、それによりどこかで怪人を作り出してしまうという所もリアルで面白かったです。本人がその虚像にすがりつきたくなってしまうほどに。いつの時代も人はあまり変わらな -
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ネタバレタイムリープ青春ミステリー
小さい頃に初めてのタイムリープをし、両親に信じて貰えなかった事から他人との接し方に悩む主人公
中学生の時にも経験し、高校の文化祭で三度目のタイムリープ。
過去の経験から、1時間×5回繰り返すはずだったが、、、
1回目に、まさかの出来事。死ぬはずのなかった同級生がなぜか屋上からの転落死。
なんとか彼を救おうと頑張るのだけれども、、
最初死ななかったんだから、1番初めと同じ行動とればいいのでは?と思った自分の安易な矛盾点も見事に解消してくれた。
えぇー、どうなるの??と続きが気になってしまって、一気読み。
恋と友情もプラスされ青春だなぁ。 -
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ネタバレこの作者様の他の作品を読みたいのですが、なかなかなくて…気分転換に選びました。
五感をテーマにした五編+Extra stage「第六感」からなる本格ミステリーの連作短編集でした。
とても読みやすくて面白かったです。そこまで長くないのでサラリと読めます。温かい話もありつつ、基本はホラーよりでした。
「変わった構成の本だなぁ。でも連作なのかな?」と思っていたら、最後で種明かしがありました。「騙されたー!」と言うより、「あぁなるほど」と思わず納得してしまいました。全てが明かされたあとはスッキリした読後感でした。
常に不穏な空気を出しつつ進むお話は、ちょっぴり怖かったです。
表題作にして一番最初に -
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ネタバレ男女7人の一夏の物語を記録した青春ミステリー作品。
家庭で上手く自分の場所が出来ず悩む主人公・美咲がネットで出会った人々とともにミステリー劇をこなしながら、ミステリー劇・そして旅の真の目的を明らかにしていく物語。
感想としては、本の厚さ自体は分厚いがストーリーがテンポ良く進むところがとても読みやすかった。三島加深の未発表原稿をめぐりだまし遭うところは誰が本当の黒幕かという所でとてもハラハラさせられた。最後の別荘で全員が殺しあい、草薙が姿を現わしたところは犯人が彼であると錯覚してしまったがまさかの黒幕の正体には驚いてしまいそして、死んだと思っていた人間が全員生きていたとは思わなかった。そして今回 -
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ネタバレ"家族”を題材とした短編ミステリー小説。どこにでもいそうな山田家やその周りいる人々との交流を通したハートフルなストーリー、
…かと思ったらそれは読者に対してのミスリードでしか無く本当は"家族"の愛に飢えた人間達が家族を演じる疑似家族であった。
個人的な伏線としては
・祖母の描写は出てくるのに、父親の描写が全くといって良いほど出てこない。→ショウコが父であり母だから。
・写真屋の安藤が最初に山田家と出会ったときの反応→そもそも友広が山田家を家族であるという感覚が他の人に比べて少なく、安藤に対してそこまで家族の話をしていなかったから。
・友広が突然現れた坂口に不信感 -
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上原菜月は七歳の時にタイムリープを経験して、自分がリプレイヤーだということを知っています。
同じ一時間を五回繰り返すのです。
そんな菜月が高校生になり文化祭の十月五日に人生三度目のタイムリープが始ります。
その日はクラスメイトの天野拓未に告白をされた直後でした。本当は菜月は拓未に五回告白されるはずが、一回目に屋上に向かおうとした菜月の目の前で拓未は墜落死してしまいます。
なぜタイムスリープ中の出来事が変更されてしまったのか…。
あと四回タイムスリープを繰り返すと拓未は本当に死んでしまいます。
菜月は拓未の死を食い止めようと拓未を屋上から落とした犯人を一人で学校中探し回ります。
怪しい人物が