彩坂美月のレビュー一覧

  • double~彼岸荘の殺人~

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    主要の登場人物のほとんどが超能力者で、それぞれ特殊な能力を持っているという設定。
    ホラーミステリーというだけあって、幽霊屋敷とうたわれる彼岸荘にて遭遇する怪異の数々は本当に恐ろしかった。加えてただ恐怖だけでは終わらず、そのメカニズムに対する裏付けもしっかり行われていて良かった。

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    2024年03月04日
  • 金木犀と彼女の時間

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    ネタバレ

    とりあえず主人公がつらい。救いもあまりない。ただただ未来を変えたければ頑張りたまえとあがかされていて、しかも助けても何の見返りもないどころかえらい目にあう。
    読んでいて続きは気になるものの辛いです。いつか幸せになってくれるんじゃないかという一縷の望みをこめて読んでました。
    最後のあたりはちょっとだけよかったとは思いましたが、そこまでの過程がひどすぎます。ちゃんと報われてほしい、死んだらノーベル平和賞みたいなものちゃんとあげて下さい神様

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    2024年02月17日
  • 思い出リバイバル

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    思い出を呼び覚まして、本人に再上映(リバイバル)できる人、「映人」を取り巻く物語。
    五話に分かれていて、それぞれの話の中で主人公が映人によって過去の思い出を”体験”し、そのことを通じて現在(今)のことを改めて理解する。
    過去があって今がある。そんな当たり前のことを思い起こさせてくれる物語です。彩坂先生らしい、ミステリアスであり、甘酸っぱくもあり、どこか哀しい小説です。

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    2024年02月10日
  • 向日葵を手折る

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    少女の恋と成長、そして自然描写がみずみずしく色彩豊かに描かれた青春小説でありながら、場面場面での意外な展開はサスペンス要素もあり、様々な魅力のある作品でした。

    そしてなんといっても終盤の展開が圧巻でした。最後にある真実が明かされた瞬間、張り巡らされていた伏線が一気につながるさまは、一種の壮観さすら感じました。バラバラだったパズルが一瞬のうちに組み立てられ、物語の意味がまったく違って見えてくる。

    ミステリとしての快感はもちろんのこと、そこをクライマックスとして、話が終わらせず、もうひと展開魅せるのも憎い。一種の後日談のように、その後の展開もしっかり作って、単なるミステリに終わらない、子ども時

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    2024年01月20日
  • 向日葵を手折る

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    初読みの作者さん。フォローしている方のレビューに惹かれて買ってみた。
    仕事が忙しく、年末は家でやることも多く、読み終えるのに時間が掛かった。

    父が突然亡くなり、母とともに祖母の家がある山形の集落に引っ越した小学校6年生のみのり。
    田舎の季節の移ろいとともに分校や村の行事が描かれ、その中でみのりが二人の少年・怜と隼人と心を通わせ合っていく様が語られていく、その丁寧な描写に好感。
    そして、そうした長閑な話の間に挟まる“向日葵男”の不穏な噂と不審な出来事の数々。
    緩急つけながら語られる話は、その落差が激しく、その“急”の部分、事件の際に明らかになる事実がいちいち衝撃的で、ちょっと長いお話もそれをア

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    2023年12月21日
  • 柘榴パズル

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    まさかこんな展開になるとは!
    日常に起こる奇妙な事件をさくっと解決していく複数のお話は、それほど引き込まれるという感じの内容ではなかった。
    話の間に挟まれる一家殺害の記事により、最後に重い事件が起こるのだろうと想像でき、それを求めて読み進めた。が、これが予想外だった。
    最後は良かったなぁ。

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    2023年12月13日
  • 向日葵を手折る

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    父を亡くして母親の実家である山形の山村に引っ越して来た小学生の女の子が運命の人と出会う話。

    愛するものが理不尽に失われたり、全編を通じて「向日葵男」の謎の影が纏わりついたりするけど、基本、ガールミーツボーイで、ミステリー要素は盛り上げる割には結末がイマイチしょぼい印象。

    色々頑張ってるいいヤツなのに主役になれない隼人が気の毒で密かに応援したくなる。
    幸薄い春美さんと美術部顧問の恭子先生が好き。

    …隼人のお祖父さんは何で亡くなられたのだろうか?

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    2023年12月10日
  • 向日葵を手折る

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    こんなに丁寧に思春期の女の子の心情を描くことができる筆者はどんな人?いくつ?今井先生に私も救われた。

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    2023年11月28日
  • 向日葵を手折る

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    面白くて、あっという間に読み切った。
    登場人物の行動で疑問に思う所がいくつかあったけど、3人はもちろん、クラスメートの成長過程が丁寧に描かれていて良かった。ラストも良かった。

    地方のそこで暮らす人々の閉塞感と仲間意識。人々の距離感が近いのが良くもあり悪くもある。

    山菜が好きなので食べ物が美味しそうだったけど、虫嫌いだからそこで暮らすことは出来ないなぁ。

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    2023年09月17日
  • 向日葵を手折る

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    夏の季節に夏の本を読むのがすごく好きだ。
    夏はあんなに暑くて毎日ギラギラとしているのに
    気が付いたらいつの間にか去っていってしまって
    気持ちを持て余してしまう。
    そんな時に夏の本を読むのが好き。

    ミステリ部分はほぼオマケのような感じで
    田舎で暮らす多感な時期の子供たちの成長期のような。

    思い出に縛られて苦しくなることもあるけれど
    思い出があるからこそ踏ん張れる時もあるよなと
    夏の終わりにしんみりと思いました。

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    2023年08月28日
  • 夏の王国で目覚めない

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    再婚した父に、新しい母と弟。高校生の美咲は、家族になりきれない寂しさを埋めるため、正体不明の作家・三島加深の小説に入れ込んでいた。
    そんなある日、三島加深のファンサイトで「謎を解けば加深の未発表作が贈られるミステリーツアー」に誘われる。


    家庭で孤独を抱える少女・美咲が、ネットで知り合った人と共にミステリーツアーへと参加する青春ミステリ小説。
    美咲はミステリーの登場人物・茜として役割を演じながら、ただのミステリーツアーのはずだったのに次々と起こる殺人や参加者の失踪に直面していきます。
    現実にも、「マーダーミステリー」という、物語の登場人物になりきって犯人を探し出したりするパーティーゲームがあ

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    2023年08月02日
  • 僕らの世界が終わる頃(新潮文庫nex)

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    気になる展開でハラハラするシーンもあったのですが、
    いかんせんちょっと中だるみしました。
    渉くん、もう少し動いて欲しいかった…()

    扱っている題材や、
    作中作など色んなギミックがあるので面白いなぁと思うのですが、
    普通そんなに踏ん切りついて動けるようになる?というリアリストの視点と、
    早く動いてほしいなぁ焦ったいなぁという読者的視点と、
    両親に人の心はないのか!?
    息子の学校で起きた事件何も知らないわけではなかろう!?という気持ちと、
    色んな感情になりながら読んでいました。

    えてしてこういう時って会話が少ない、から起きる色々ってあるよなぁとつくづく思います。
    漫画や小説やドラマであるモノロ

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    2023年07月04日
  • 向日葵を手折る

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    山形の集落に引っ越しをした小学6年生のみのり。そこで出会った同級生たちとの生活が始まるが育てた向日葵が切り落とされる事件が起き、そこから向日葵男という都市伝説のような話を聞く。その見えない噂に怯えつつ同級生の怜と隼人2人の男子との交流を経て成長していく。青春ミステリーではあるけれど、どちらかというと青春小説に比重があって風景描写や中学生になったみのりたちの関係を描いていく展開に面白さを感じた。狭い地域での外から来た人と代々そこに住む人たちとの間にある外と内という考え方や、向日葵男という噂などの使い方もうまくはまっていて面白かった。

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    2023年06月26日
  • 思い出リバイバル

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     「映人」。都市伝説としてネット上を賑わす人物で、依頼者の過去の思い出をひとつだけ「リバイバル」してくれるという。
     その映人のリバイバルのおかげで人生の新しい一歩を踏みせるようになった人たちの物語。

     本編5話とプロローグからなり、主人公は各話で異なる。

           * * * * *

     過去の思い出の一点に戻ることができるというので、岡崎二郎さんのSFファンタジーマンガ『時の添乗員』のようなストーリーを想像していたのですが、本作はもっと暗くて何となくすっきりしない印象でした。

     特に、第1話の「父の思い出」がすっきりしません。
     父親が殺される瞬間に立ち会いたいという希望もどうか

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    2023年06月19日
  • 向日葵を手折る

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    繊細と粗暴、二人の少年たちの運命的(BL的?)な関係に、連星の周囲を回る惑星のように少女が巻き込まれていく。粗暴な少年の方は最初悪役的に登場し振る舞うのだけれど、さすがにこれを鵜呑みにする読者はほとんどいまい。基本的に少年たちの物語であって、ヒロイン抜きでも物語は成立する。ので、傍観者でもある少女を少年たちの物語に介在させる仕掛けが必要になる。これがあまりスムーズでなく、(スムーズになりようがないのだが)そのために彼女がものすごく無神経なトラブルメーカーに見えてしまうようなところがあって、ちょっとかわいそうかな。ミステリ的な真相は、普通のミステリ読者ならかなり早い段階で見抜いてるはず。多分、そ

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    2023年06月16日
  • 思い出リバイバル

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    たった一つだけ思い出を再上映できるとしたら、あなたはどれを選びますか?

    これは(映人)と呼ばれる人物が、報酬も受け取らずに思い出を体験させてくれるという不思議な物語。

    ただし、決っして破ってはならないルールがあり、「過去を悪用してはならない」
    「内容を誰にも話してはいけない」
    「何が起こっても、生じた結果は、自分自身で責任を負うこと」である。

    第1話 父の思い出
    第2話 恋人との思い出
    第3話 青春の思い出
    第4話 ある犯罪の思い出
    第5話 映人の思い出


    過去を思い出し、もう一度確かめてみたいことや楽しかったことを振り返りたい。
    それですっきりしてこれからの自分に希望や期待が持てるの

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    2023年06月02日
  • みどり町の怪人

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    プロットそのものはイヤミス風だが、最後は丸く収まる展開。故に、読後感は悪くないが、それでもハートウォーミング系とまで言えないだろうか。むしろ、そちらに振り切った方がいいのかも知れない。

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    2023年03月12日
  • みどり町の怪人

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    1990年代前半に広まったみどり町の怪人という都市伝説。大きな台風が来た夏に怪人は現れ、女性と子供を狙うというもの。20数年前の殺人事件が噂の根拠となっている。怪人とはなんなのか。ということと、その噂によって人々の心の中で作られていく怪人。想像することで大きくなっていく不安や恐怖。その棲み着いてしまった怪人と自分の今ある生活の中で感じる不安とが重なり合っていく。怪人の噂への恐怖より人の心の内に自分で作っていってしまう想像の怖さが物語にずっと流れているように感じる。

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    2023年02月11日
  • 柘榴パズル

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    少し重い目だが、一応は日常の謎を仲良し家族が解き明かすという、一見ハートウォーミング系のミステリ連作なのだが、幕間に不穏な情報が差し込まれるので、心温まるとはいかないのがミソ。全編を通しての種明かしである「バイバイ、サマー」を除く、四編のうち三編までハウダニットで、丁寧に作り込まれたトリックだけれど少々小粒な感じ。推理しなくても、犯人(?)はストーリー的に大体見当が付いてしまうはず。ただ、お話の雰囲気からして妥当な感じで、物語にはよく溶け込んでいるように思う。

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    2023年02月04日
  • 思い出リバイバル

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    彩坂美月さんは、「向日葵を手折る」が大好きで、気になっている作家さん。
    表紙が素敵。
    都市伝説と言われている映人は、もう一度戻りたい過去の再上映をしてくれるという。
    タイムトリップなのか、ファンタジー的要素があるのかとワクワクしながら読んだ。
    「ツナグ」(辻村深月著)を思いおこす。
    依頼者は、過去に戻り自己を省みる。
    再上映を観た人は、そこから明るい方向へやり直せるようなストーリー。
    でもラストの種明かしで、ちょっと、え?となった。
    催眠暗示、心理療法。
    でも、映人によって、確かに立ち直ることができた人がいる。
    無意識に沈む記憶を蘇らせるための、催眠暗示。
    でも、それができるのは特殊な能力だと

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    2022年12月18日