あらすじ
一見、ありふれた日常が流れる、どこにでもある小さな郊外の町、みどり町。ただある一点、「怪人がいる」という“非日常”を除いては……。時は1990年代初め。奇妙な都市伝説の裏には、未解決のまま20年以上が過ぎた凄惨な母子殺人事件が隠されていた――。
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不安や恐怖によって疑心暗鬼になり、見えているものの解釈が変わったり、見えていないものに恐怖を感じたりする。
怪人は誰の中にも存在する。
人が一番怖いなんてよく言うけれど、まさしくその通り。
ラストの感じが個人的に好きでした。
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一話完結の連作短編小説です。
ジャンルとしてはホラー&ミステリ&イヤミス+ハートフルが混ざった感じでした。
各ストーリーは完全に独立していますが、すべて「みどり町」を舞台にしていて、「みどり町の怪人」という都市伝説的な“なにか”が軸となって物語が展開していきます。
町で暮らす人々は共通しているので、ある話では嫌な人間に描かれていたのが、別の話では親切な人間として見えたり、主人公の視点で見えかたが反転したりするのも面白かったです。
Posted by ブクログ
田舎町「みどり町」を舞台としたミステリー作品。
みどり町に蔓延る「怪人」の噂、そこに住まう人々に起きる出来事、田舎特有の閉塞感が絶妙にマッチしていてとても引き込まれました。
いつの時代も情報が錯綜し、それが噂となり、それがいつの間にか真実のように変わっていく。『幽霊の正体見たり、枯れ尾花』という言葉にあるように、本当はそうでもないものでも、それが尾ひれが付き恐ろしい怪人となっていく。また登場人物達が抱える孤独・焦り・嫉妬などの鬱屈とした感情、それによりどこかで怪人を作り出してしまうという所もリアルで面白かったです。本人がその虚像にすがりつきたくなってしまうほどに。いつの時代も人はあまり変わらないんだなと思いました。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
奈緒:花澤香菜
守:内田真礼
中山裕樹:中村悠一
中山早紀子:佐藤聡美
中山光太:田村睦美
田口悟:神谷浩史
田口由花:古賀葵
川村瑞恵:くじら
柏木正人:森久保祥太郎
新田友美子:伊藤彩沙
宮下崇:潘めぐみ
優人:内山夕実
今井慎也:福島潤
卓:松岡禎丞
日高薫:雨宮天
橘ゆり:早見沙織
黒須:三木眞一郎
須藤正弘:平田広明
ラジオDJ:津田健次郎
Posted by ブクログ
先日読んだ「ぞぞのむこう」と、ほとんど同じテイストの小説。ただ、「みどり町の怪人」は、最初はおどろおどろしい怪人のホラー味だが、読み進むにつれ、人の弱い心、後ろめたい心が、怪人を作り上げていることがわかる。闇がまだそこここに残っていた昭和を舞台にしたことで、話を魅力的にしていた。
Posted by ブクログ
郊外のみどり町に現れる怪人という都市伝説には、20年前にこの町で起きた母子殺人事件が関係しているのか。
怪談というよりは都市伝説を軸とした人々の心理を描く連作短編集である。サブキャラで複数の話に出てくる登場人物が、視点によって見え方が違うのが連作短編ならではで面白かった。最後にはいろいろ回収されるが、いまひとつ盛り上がりに欠ける感じ。
Posted by ブクログ
プロットそのものはイヤミス風だが、最後は丸く収まる展開。故に、読後感は悪くないが、それでもハートウォーミング系とまで言えないだろうか。むしろ、そちらに振り切った方がいいのかも知れない。