池澤春菜のレビュー一覧
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短編小説、計7作。
書店で見かけ、同姓同名か?と思ったら、声優の池澤春菜さん御本人だった。
作家としても活動されていたとは、驚いた。
全体的にSF色が強いが、それもそのはず、クラブの会長を務めるほどにそちらへの造詣が深いようで、さらに驚いた。
7作のうち5作は、どこか退廃的な雰囲気が感じられる、センチメンタルな作品。
特に冒頭の「糸は赤い、糸は白い」は、女の子同士のリアルな感情が描かれつつも、背景は強くSFであり、不思議な雰囲気だった。
残り2作は、文章のノリからして明らかに毛色が違うライトノベルのような作品。
ここで「微レ存」なんて言葉を見ることになるとは思わなかったし、節々にオタクさ加減が感じられ、楽しみながら読むことが出来た。
どの作品もSFを基調とした世界観ではあるが、その使われ方は様々で、バラエティに富んだ一冊。 -
Posted by ブクログ
隔月で刊行されているSFマガジンで、小説以外で必ず見るのが、酉島伝法、宮崎夏次系、SF BOOK SCOPE、観光局、柿崎憲、そして本書の基になる「SFのSは、ステキのS」。作者は、知ってる、知ってる、声優の花澤香菜・・・じゃなかった、池澤春奈だった。ええ?どちらも声優だし、どちらも歌手だし、どちらもカワイイし。いったいどういうこと?混乱した頭を整理するためには、池澤春奈のプロフィールを徹底調査しなければならない、Wikiで手っ取り早く。そしたら、「すごいな、ビスリーチ」的な「すごいな、池澤春菜」。こんな逸材、どこから?ビスリーチ!もしかしたら日本SF界の転換期が訪れるか?池澤春菜の詳細はSFファンの皆様だったらご存じのとこだろう。一方、私はコロナが出回り始めた頃にSF界に復帰したものですから、最近のSFにはとんと疎くて。改めて、名前を間違えてすいませんでした。本の表紙・裏表紙写真、ステキです。
池澤春菜の素晴らしさを十分に堪能してから本書を読み始めた。最初の数作品を読み終えて、これが延々と積み重なっていくのはちょっと重かった。二か月に一回2ページを読むライト感覚とは全く異なっていた。例えは悪いが、大好きなケーキを一度に3ホール、最近気に入ったカヌレを一日に5個食べたくらいの満腹感だ、胃もたれ発生。それが四コマ漫画付きであっても、読み切るのにかなり時間がかかった。やはり、一冊に纏めるのはいかんよ。これはもうエッセイ集の宿命なのか?連載開始からSFマガジンを読んでいた人はどう思うだろうか。本書を買っても読む、読み返すだろうか。座談会も2023/2月号に抜粋が載せてあった、なぜ抜粋?また、伴名練の色紙1枚を挟み込むのも意味が判らない。単に入稿が間に合わなかっただけなのだろうか。
ところが、最後に載っていた巻末小説「糸は赤い、糸は白い」これには驚いた。今、流行りの言葉で言えば、異次元の素晴らしい作品だと思った。マイコパシーという概念・アイディアには脱帽、百合世界は今では当たり前なのでそこには特に思うところは無いが、主人公のじわじわと湧き上がる高揚感に思わず引き込まれていった。卓越したというか洗練された文章力に久々に出会った気がする。機会があれば他の作品も読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
「宝島」のロバート・ルイス・スティーヴンソンの詩集"A Child's Garden of Veres"「子供の詩の庭」池澤夏樹・春菜 父娘による共著。
あとがきによると池澤夏樹さんが子供の頃に母親と読んだ詩、9篇を訳し、残りは春菜氏による訳。
この詩集には船や航海をテーマにしたものが多く、子供の無邪気でおおらかな詩から、スコットランド人にとって海が身近なものであることやスコットランドの夏の昼の長さなどを感じることが出来る。
マートル・シェルドンによる挿絵も繊細で美しく、ここで使用されている挿絵は1916年M.A.Donohue社(シカゴ版)に収録されたものとこと。
この挿絵を見るだけでも楽しい。
池澤春菜さんによる前書きも素晴らしい。
これから始まる素敵な詩集に素敵な文章で誘ってくれます。
夏樹氏のあとがきからはその両親、夏樹さん夫妻、そして春菜さんへのさり気ないファミリーストーリーを感じることが出来ました。
同世代の女性として、多くの意味で豊かで、あたたかい家庭で大好きな本を好きなだけ読み、きっとしたいだけ好きな勉強を伸び伸びと出来たのだろうと想像出来、それがこの素敵なまえがきにあらわれているのですが、少し彼女のことが羨ましく思えました。
実際のところは何も知らないけれど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあとがきに「童話」とあるが特に子供向けの文章ではないし、フリガナも少なく、実際には子供には難しいと思う。
『三体』を書いた作家だが、これはファンタジー的な寓話という感じ。
三日月は本当に三日月型、太陽は海の中では真っ黒で、火守が毎日火をつけることで燃え上がり空に浮かぶ、など小学生でも科学的事実と違うことはわかるが、この世界観がなかなかいい。
「月にミルクを取りに行く」とか「月はチーズでできている」といった言い伝えや「レ・コスミコミケ」なども思い出す。
言い伝えはまだ科学が未発達だった頃、自然現象を見て人間が想像したことだが、「レ・コスミコミケ」は、科学的事実は知った上で虚構の世界を作り出していたわけで、この作品はこちらに近いと思う。内容もテイストも全く違うが。
しかし、せっかくならサシャが恋人の元に帰らず火守の仕事をする決意をしたのか、もう少し書いてあってもいいのかなと思った。
私の読みが不足しているせいかもしれないけど。
西村ツチカの絵も美しく、作者のファンなら手元に置いておきたい作品だと思う。