伊集院静のレビュー一覧
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ネタバレ伊集院静の自伝的小説。
妻(夏目雅子)が壮絶な闘病の末亡くなり、その後アルコールやギャンブルに溺れ、心身ともに病み、2年も働かずに放浪している主人公サブロー。彼を心配したKさん(黒鉄ヒロシ)に「会って欲しい人がいる」と言われ、酒場で眠りこけている『先生(阿佐田哲也・色川武大)』に出会う。
ナルコレプシー(すぐ眠ってしまう病気)でどこでも突発的に寝こけてしまう先生。だらしなくて、大食漢で、ギャンブルに目がなくて。それでいて驚くべき記憶力を持ち、人に麻雀をさせている横で原稿を仕上げる。自分のことは大事にしないくせに、弱い人間にはどこかやさしい。先生の周囲にはどこからかそんな人間が寄ってきて、 -
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ネタバレ許すことができないと思った人はいます。そして、今でも”許せない”と思っている人もいます。
私は、いつも”許そう”いや”許すない”という気持ちの中で揺らいでいました。それは、相手に対する気持ちだったはずですが、次第にそれは”自分自身”に心を見ている気持ちに変わってきていました。(それくらいのこと)許せない自分は、ダメな自分だと考えることも多々ありました。
これに対し、著者:伊集院静の言葉は、やはり”大人の流儀”であろうと思った。「許せないものを持つことが人間なのだろうと思う。さらに言えば、人が生きていれば必ず。
2016/11/11追記
ここ3週間、ひとを許せないという思いに心が取りつかれていま -
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僕はギャンブルをやりません。すごく弱いんですよ。パチンコも麻雀も、少しやってみたのですがビギナーズラックすらなくて、まったく勝てる気がしないんで、ハマらずに済んでいます。
で、博打打ちの話にはどこか憧れを抱いてしまうのです。自分にはないスケールの大きさとか大胆さとか。なんか自分がつまらない人間のような気持ちにもなるんですけどね。
妻を亡くした「ボク」は精神を病み、アルコールとギャンブルに溺れ、小説を書くのも辞めてしまいます。そんな時に出会った「先生」〜あの阿佐田哲也その人なんですが〜の魅力に惹かれていき、やがて二人で「旅打ち」と呼ばれる博打旅に出かけるようになります。その中で次第に明かされ -
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伊集院静 『いねむり先生』 (2011年4月・集英社 / 2013年8月)
サブローと先生。
この二人の距離感が素晴らしい。
互いに敬愛しあう二人ではあるが、べったりではない。
先生はサブローに手をさしのべるが、ずかずかと踏み込むわけではない。
二人はただ寄り添うのみである。
お互いに病や孤独、喪失を抱える二人の、流れるような2年間の物語。
同時にサブローの成長譚ともなってるのがなんとも心憎い。
「狂人日記」を読み小説家の道を諦めたサブローが、先生の死後わずか1年で「三年坂」を書き、「乳房」「海峡」「受け月」を書くことになるのだから。
当時の自分、そして先生との思い出と向き合うのに二十数 -
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伊集院静の自伝的小説。伊集院静の自伝というよりは、むしろ色川武大の知られざる人間的な魅力を描いた小説というべきかも知れない。
サブローこと伊集院静は女優の妻・夏目雅子を亡くし、肉体的にも精神的にも落ち込んでいた。そんな時、Kこと黒鉄ヒロシの紹介でサブローは、先生こと色川武大と交流を深めることになる。先生との交流でサブローは少しづつ快復して行く過程が良い。
何ともデカダンスで、奇妙な病気に悩まされながらも遊びも仕事も徹底する先生、多くの人に慕われる先生が魅力的だ。何かを教える訳でもなく、遊ぶ姿を見せることで、サブローに生きることの意味をも教えてしまう先生。本当に魅力的だ。
この作品の評判は -
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1.著者;伊集院氏(2023年11月没)は、小説家・作詞家。電通のCMディレクターになり、松任谷由実や松田聖子のツアー演出を手掛けた。その後、作家デビュー。「乳房」で吉川英治文学新人賞、「受け月」で直木賞、「機関車先生」で柴田錬三郎賞、「ごろごろ」で吉川英治文学賞を受賞。また、伊達歩の名で作詞家としても活躍。「愚か者」で日本レコード大賞を受賞。マルチな才能を発揮した。
2.本書;ベストセラー「大人の流儀シリーズ」の中の一冊。無頼派作家が贈る希望・勇気・励ましを綴った。帯書きから「私は、これまでの短い人生の中で、多くの人との別離を経験してきた。・・人は別れる事で何かを得る」。四章・37項目の構成 -
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初めて伊集院さんの本を読みましたが
想像の通り
ちょっとぶっきらぼうな雰囲気もエッセイの中に垣間見るのですが
とっても 優しくて 家族思いの人なんだなって感じました。
先妻の亡くなった 夏目雅子さんのことも とても大切に思っていて
今の奥様にも 愛情を注いでいる姿が 胸を打ちました。
そして ペットに バカ犬と呼びながらも
一番 接し方をみていると
とっても 大好きで 愛しているんだって感じました。
彼の愛が 文章を通してただ漏れで
私まで 胸キュンしちゃいました。
家族との関係 ペットとの接し方が
この本から めちゃくちゃいい家族だってかんじました