伊集院静のレビュー一覧
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ネタバレひとりをたのしむ、というより、人との繋がり方について言及されているように感じた。
誰でもいつかは死ぬ。それを肌感で言語化して心に響くよう伝えることのできる作家だと思う。何度もこのシリーズを読み、泣いた。
この本で、東北一のバカ犬(これは伊集院氏しか使ってはいけないワードです)ノボくんが亡くなってしまった、その寂しさがとても伝わってくる。一人と一匹ではなく、本当に二人、と書くにふさわしいと感じる。
厳しくも少し優しいような今回の作品、伊集院氏は、私ごときが言えることではないが、優しく、こうありたいと思う理想の人間だと思う。
私は、とても好きです。
いつまでも、このシリーズを読めますように。 -
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いやはや、
発売日に買ったにも関わらず、家庭の事情で本を読む時間が無かった。
筆者がご病気でお倒れになり、復活後の著書。
ニュースでご病気を聞いたとき、このシリーズも終わってしまうのか、と
とても残念に思った。
ところが、少年の頃より野球など運動をされ、その後銀座遊びなど豪快且つ男性が望む夢のようなライフを送られている方は、回復もまた豪快である。
もちろん、ご本人のご努力と周囲のサポートが素晴らしいのだろう。
愛犬を失なったこと、ずっと思い続けること、
周囲に感謝して生きていくこと、
政治家にはとても厳しく、なるほどーと教えを頂戴する
。
そうしてすでに11冊。
ありがたい。
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数年前に一度読んだ時に、悩みが吹き飛んだ記憶があって、また読んでみました。
8年前くらいに出版された本なので、時代も価値観もいろいろ変わったし、伊集院先生の発言もギリギリアウトな部分も気になりますが、やはり面白かったです。
本の中では、しょうもない質問に先生がブチ切れたり、回答になってないものもりますが、命と向き合う悩みだったり、対人に関することは誠実に対応しているのは流石だし、回答から改めて学ぶことが多かったです。
昭和のおじさん節かもしれないけど、長く生きた先輩で、身近な人を亡くしたり、東日本大震災も直に経験して生きること死ぬことと向き合った人の意見はズシっとくるものがあるし、時にあ -
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本書の題名の「いねむり先生」とは、色川武大(阿佐田哲也)のことである。妻である夏目雅子を亡くした主人公である伊集院静は、自暴自棄的な生活を送っていた。その時に知人から紹介されたのが、「いねむり先生」である色川武大だ。先生との付き合いを通じて、伊集院静立ち直ってゆく。
小説は、伊集院静が妻を亡くして2年後くらいから始まり、色川武大が亡くなって1年後に終わる。夏目雅子がなくなったのは1985年のことなので、小説の始まりは1987年頃のことであり、日本がバブル景気に向かおうとしていた時代だ。色川武大が亡くなったのは、1989年のことなので小説の終わりは1990年のこと。バブルの絶頂期のことである。伊 -
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ネタバレ上下巻通した気づきメモ
①商業の町大阪の歴史や文化
・大阪商人の気質(丁稚時代の学びなど)
・浄瑠璃、花街など、文化
②鳥井信治郎の商人としての気質や優れた判断
・陰徳、他者からの信頼の高さ
・譲らない、負けん気の強さ、「気張る」
・先見性、経験を元に商売を工夫する
③日本における洋酒生産と市場形成のための努力
・赤玉ポートワイン、角、オールド
・ビール事業を売却してまで、生産に何年も要するウイスキーに懸ける思い
・山崎蒸留所建設にあたり、妻の努力もあった
・戦争と国産ウイスキーのかかわり
などなど。複数の観点を持って、読めた本だった。
つい、オールドと赤玉を買ってしまった。また、大阪 -
購入済み
コロナのこの時期だからこそ
コロナのこの時期だからこそ、考えさせられるものがある。作者のように力強く生きることは、人それぞれだと思うが、周りの人々との距離感、付き合い方、そもそもの自分自身の生き方を改めて考える良いきっかけになった。
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鳥井信治郎が初めて起こした自身の店は<鳥井商店>で、事業が拡大して出資者も現れるような中で新たな店名を考えて<壽屋洋酒店>とし、戦後にウィスキーの商標にも使っていた<サントリー>という会社名にしたというのが経過である。一代で大きな企業を創り出した鳥井信治郎御本人を知る人達も非常に多い筈で、色々な挿話が伝わっていることと思われる。本作のような「一代記」という物語も、そうした伝わっている挿話、本当に在った出来事に大きく依拠しているのは間違いない。しかし…自身の夢を実現しようと奔走する「本作の鳥井信治郎」は、正に「小説の主人公」だ。「そこで、そういう具合にしてしまう?やってしまった??」というのが連