伊集院静のレビュー一覧
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先日、惜しくも亡くなられた伊集院静さん。この大人の流儀シリーズは、週刊誌で掲載されているエッセイをまとめたものですが、その時々の社会的な出来事や、伊集院さんの身近に起きた出来事を、氏の無頼派的な目線でバサッと批評するのが受けたのか、人気のシリーズですね。
本作はコロナ期間中に書かれたもの。愛犬との別れと重なって、いら立ち、寂しさを感じさせる内容が多かったです。
ご両親に厳しく躾けられたという伊集院さん。自由で無頼派的な生き方の中にも、人として筋を通す品格のある生き方はカッコよかったと思います。エッセイ中心にしか読んでいなかったので、小説も読んでみたいと思います。 -
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1.著者;伊集院氏は、小説家・作詞家。電通のCMディレクターになり、松任谷由実や松田聖子のツアー演出を手掛けました。その後、作家デビュー。「乳房」で吉川英治文学新人賞、「受け月」で直木賞、「機関車先生」で柴田錬三郎賞、「ごろごろ」で吉川英治文学賞を受賞。また、伊達歩の名で作詞家としても活躍。「愚か者」で日本レコード大賞を受賞。マルチな才能を発揮しています。
2.本書;本の帯にある言葉です。「人は誰でも別れ、離れ、ひとりになる。そして、誰にも静かな時間がやってくる。喧騒が消え、孤独が友となる。一人の時をじっと味わう。人生、こんな楽しみもあったのだと、気付く」と。四章構成で著者の考えを35項目綴っ -
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この小説は、夏目漱石の一生を書いたものだけど、あの夏目漱石を持ってして、最初からその人生がひらかれたものではなかったわけです。
優秀な学生ではあり、エリート街道を走っていきますが、子供の頃はまわりから期待や愛情を注がれてきた子供ではなかったということ。優秀な学生となったからこそ、道がひらけたけれど、案外、その後も語弊を恐れず言えば、漱石の人生は定まらない。
学校の先生になるものの、そこで学生の不勉強さに辟易して、徐々にそこに距離を置き、絵を描いたりする中で見出したのが、小説だったということ。驚くことに、学校の方を辞めて、小説家に目指すあたり、過去の“ミチクサ”のおかげで、どんな道を歩も -
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新聞に連載されていた時から、まとめて読みたいと思っていたところ、文庫本が出たので夏休みに読んだ。
夏目漱石と正岡子規。学生時代に育まれた友情は、長く影響を与えるものなのだ。そして、時代に仕事を残す人は、見合う他人を惹きつけるものなのだと思う。11年の作家生活の中で一作一作新境地を切り開いた夏目の畏友こそが正岡であった。
また、夫人の入水を、よくあること、と揺るがない女中とくにも驚く一方、最後に抱き留めたのは夏目だった。そして入水せざるを得ない感受性を持った夫人が、夏目を教師から作家へと後押ししていく。
伊集院さんが正岡子規を描いた「ノボさん」という作品もあるので読んでみようと思う。伊予の