飛鳥井千砂のレビュー一覧
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「かなしい食べ物」と「運命の湯」は、個人的に好きな作風でした。
読んでいて、ハッとなったのは、「残業バケーション」という話。
自分も、面倒くさがったり、周りになんて思われるかという事を気にして、自分から、誰かや何かと繋がることを放棄してしまうような所があるから、種田君の言葉は心に残った。
自分でも気付かない内に、周りに壁を作ってしまってるのに、自分ではそんなつもりがないから、周りに遠ざけられてる気がして、悪い方、悪い方にばかり、考えてしまう・・・。
初めの一歩は、誰だって怖い。でも、その一歩を踏み出すからこそ、道が見えてくる。
待っていても何も変わらないし、始まらない。
自分から、ア -
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ネタバレタイハピと同じく、ある部分でつながった連作短編集。今回は女優「ゆうちゃん」がそのつながりになる。ゆうちゃんを背景にした物語が全部で6つ。最後の1作で「えーっ」ってちょっと驚いて、「なるほどねぇ」ってニヤリと納得する
…という展開なんだけど、そのしかけをなんとなく察知してしまう人は結構多いんだろうなぁ。俺もラスト1編の最初でなんとなく気づいてしまった。
「えーっ」「なるほどねぇ」が薄かった分、☆の数は平凡だけど、それでも現代人を描かせたらさすがの飛鳥井さん、読ませるなぁ。結構グイグイ引っ張りこまれてしまった。
ポジティブってエエことだけなん?
あんた性格変わったよなぁ?
そんなことをちょ -
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ネタバレ自分の心の呪縛を解く。いろんな人との関わりの中で、徐々に解けてゆく。
飛鳥井作品に久しぶりに触れた。いつものことだが、これだけたくさんの人が、その胸に抱える人生の課題と共に精緻に描かれているのを見ていると、どこがが必ず自分と重なるものだ。
誰かに尋ねたら、答えてくれるだろうか。
泣き尽くしたら出口は本当に見つかりますか。
いえ…そんなことよりもまず。
どうしたらそんなに泣けるのですか。
私は父の臨終にも涙が流れなかった。感情のセンサーが、どこか壊れているらしい。
しんどくても、底までは落ちたことがありません。出口はどこなのでしょうか。
自分の出口を見つけた梨香のようになりたい。 -
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強い絆で結ばれた者同士であればこそ、互いを癒すこともかなわない時があるのだと思い知った。とても腑に落ちた。
おそらくは湘南。同じ海が背景を占める短編が6つ。
特に、吉田伸子が解説でも触れている表題作が秀逸。
短いストーリーなのに急がずゆっくりと、すべての登場人物や風物、過去のエピソード…そういった細かな描写の積み重ねで、主人公が抱えているものが明らかになってゆく。
赤の他人との不思議な絆。
気づかれないように互いを思いやる父子。
主人公の心を解いたのは、長い年月、嫌いだと思い込み遠ざけていた故郷。父。海だった。
同じ心の傷を負った夫婦は、深く愛し合いながらも、また愛し合っていればこ -
ネタバレ 購入済み
ちょっとつらすぎる
飛鳥井さんの作品は読みやすくよく読んでいるのですが、この作品はちょっと私にはつらすぎました。好きな人を親友に取られて5年じゃ全然許せないし、大路さんとエリコが他人を振り回しすぎてて腹が立った。
ゆうじくんが居てくれてよかった。うーん、久しぶりに後味悪い作品でした。