ダニエル・キイスのレビュー一覧
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ネタバレ「不朽の名作!」と言われる程の感動はしなかった。
読み終わった後の何とも言えない感情がもどかしい。あっけなく終わった印象。
家族との再会シーンが印象的。
父親はチャーリィをチャーリィだと認識できなかった。きっと父親にとって息子の知能などどうでもよくて、ただ息子を愛していたんだろうなと思う。
妹はずっと、兄の知能が上がることを望んでいた。だからこそ、再会した時に快く出迎えた。
母親は再会を喜び、そして昔のチャーリィを重ねてヒステリーを起こす。息子をそのままに愛してやりたい。でも、知能のある子だったらどんなによかっただろう。
科学者たちに、そしてアリスに。チャーリィは利用されたのか、それとも愛されたのか。最後まで、彼らの目にチャーリィは「人間」として写っていなかったように見えた。
チャーリィが論文を完成させる直前に立てた問い、「どうしてここまで孤独なのか」。
これに答えが出なかったことが、知能と人情のベクトルの差を表していて一番好きなポイントかもしれない。
アルジャーノンの死がさらっと書かれたのは、世間がアルジャーノンを実験対象としてしか見ていないからだろうなと思う。 -
Posted by ブクログ
日本で映像化されたドラマは2作とも拝聴していたので内容自体は新鮮味もなくある程度予測がついたが原作は一度読んでみたかったので読破できて良かった。
執筆当時の障害者は偏見と差別に塗れていて読んでいて苦しくなる部分があったが人間の悩みの根底には親子関係が根強く影響していることが分かった。
母親への愛情を得るために危険な手術まで受けて知能を得たいと願うチャーリーの直向きさには感動した。知能を得たことにより親しみや愛着というものが失われ孤独になっていく様が自分のように感じた。自分の不遇をないものにねだりするのではなくあるものを生かして生きていくしかない思える作品。 -
Posted by ブクログ
被虐待児は全国でかなりの人数に上ると思うが、その中で解離性同一性障害を発症するのはどのような特徴を持った人間なのか。
ビリー・ミリガンは多才で知的にもかなり高かったようだけど、それも関係しているのか。
そもそも人格なんてものがあるのは人間だけで、その人格が分裂していることが良いこととも悪いこととも見なせない。最終的にミリガンが社会の中で生き、生活していけるのならば「共同経営」でも「個人経営」でも「会社組織」だろうと問題は無いと言ったドクターコールの見解にその通りだなと思った。
ミリガンは癌を患い亡くなったようだが、彼が晩年幸せな時間を少しでも多く過ごせたことを願ってやまない。
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Posted by ブクログ
主人公に据えられているはずなのに、徐々にビリーにうんざりしてしまったのはなぜだろうか。自分の望まないことを回避するように統合と分裂を無意識にコントロールしているのでは?とか、自分が性根では善人なのだと喧伝したいがための正当化なのでは?という気がしてくる。
作中の作家は中立であるように描かれていると思うが、一方で、実際のキイスはビリーに心を寄せていたのではないかとも感じた。
そう感じたのに、ビリーに対して上記のような感想を覚えたのが少し不思議だったけれど、それがこの作品の妙なのかもしれず、また最後の方はストーリーが一進一退だから、そのためかなとも思う。 -
Posted by ブクログ
1977年、ビリー・ミリガンは連続レイプ犯として逮捕された。だが、本人には全く犯行の記憶がない。精神鑑定の結果、彼の中には複数の人格が存在し、犯行はそのうちの一人によるものという事実が明らかになる。初めて『多重人格』により無罪となった男のノンフィクション。
『ザ!世界仰天ニュース』でも放送され、実際の映像も残っているビリー・ミリガンという人物について、本人へのインタビューや関係者の証言をもとに『アルジャーノンに花束を』で知られる作家が記録作品とする。
ビリーは幼少のころ、父親の自殺を目撃したころから精神の分裂が始まってしまう。そして分裂が加速したのが、再婚相手となったチャーマーによる虐待やサディスティックな性的暴行や暴言だった。
ビリーの体の中では、暗い中に白くスポットが当たったような部分があり、その周りに何人もの人格が待機している。そして、スポットに進んだ人格が表面に現れ、意識をもつという感覚をもっている。
基本人格であるビリーは、高校生のときに自分が知らない間に時間が過ぎていることに悩み、自殺を試みる。しかし、学校の屋上から飛び降りる寸前で、レイゲンという人格がスポットに現れ、自殺を免れて以来、ビリーの人格は眠らされることとなる。
ビリーの人格の何人かを紹介すると、誰がスポットに出るかをコントロールする「アーサー」。アドレナリンの流れを自在に操り、女性と子供を守る「レイゲン」は、危険な場所では優位に立ち、暴力的な行為をすることもある。「アレン」は口先がうまく、他人を巧みに言いくるめることができ、クリスティーンは3歳で、他の人格から愛されている。
アーサーがスポットに出ることを許している10人の人格の他に、好ましくない特色をもつため、アーサーによって「好ましくない者たち」とされ、スポットに出ることを許されていなかった13人の人格には、軽犯罪を繰り返す「フィリップ」や強盗を計画する「ケヴィン」、自慢や気取りで努力をしないマーティンという人格もあり、23人が統合された人格である「教師」は、他の人格が身につけている技や知識を操り、ユーモアある人物とされている。
YouTubeで実際の映像も見てみたけど、すごく不思議で興味深い内容で、人間の精神や脳、心の働きや可能性をも感じる内容だった。
実際のビリー・ミリガンは、今も健在のようだが、治療の結果、基本人格であるビリーがスポットをコントロールしていて、スポットの周りには他の人格もいるけど、もうスポットには出さないようにしているらしい。
今回上巻を読んだだけだが、同ページ数くらいの下巻が残っている。内容的には終息に向かっている、ビリー本人や関わった人たちにとっては苦痛で悲惨だっただろうけど、読み物としては、これからの展開がどうなるのか、一波乱も二波乱もありそうで楽しみだ。