ダニエル・キイスのレビュー一覧
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⚫︎感想
どれも、人間のある感覚や能力が研ぎ澄まされたとき、本人は、周囲の人々はどうなるか?という物語たちを通して、人の心理描いている。
表題の「心の鏡」は、相手の先入観通りに振る舞える能力を持つ少年との対峙によって、自分自身を曝け出し、自分自身をみつめ、相手を信じ、直視できるのか?という問いが物語として描かれている。多かれ少なかれ、きっと人間は誰しも、そういった先入観で他人を判断して、そういった自分に気づき、気づかないふりしたり、否定したり、といった視点で周りの人間を見ているのだ、ということを伝えたかったのだと思う。
長編「アルジャーノンに花束を」の原型、短編の「アルジャーノンに花束を」は、 -
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高校生のときか,大学生のときか,とにかく若かったころに一度読んだことがある.
でも「名作」と聞いて手に取ったその本のこと,あまり覚えていない.
いや,むしろ何にも残っていなかった.
面白くなかったな,って感想だけが,なぜかくっきり記憶にある.
で,いまの自分で再読してみた.
結論から言うと,やっぱり今回も物語として「めちゃくちゃ面白い!」とは思わなかった.
でも,読後に残ったものはまるで違った.
むしろ,今じゃなきゃ読めなかったな,と思っている.
この本,SFの皮をかぶった,社会と人間の構造暴露本みたいなものだ.
チャーリーという知的障害を持つ青年が,手術によって“賢く”なる.
その過程 -
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ぼくの代わりに花を添えてください 脳手術により飛躍的に知能が向上した実験用ネズミのアルジャーノン。知能障害を持つチャーリー・ゴードンはアルジャーノンと同じく脳手術を受ける。
チャーリーは賢くなりたかった。賢くなれば周りの役に立てると思っていた。そして手術は成功、チャーリーの知能指数は爆発的に伸びていく。しかし、知能に精神的な成長が追いつかない。人との関わり方が解らない。
手術前には感じなかった孤独に苛まれる。知能は伸び続け、ついにはチャーリーを手術した医師や大学教授さえも超えてしまう。そしてアルジャーノンに異変…。
一人称の日記形式で物語が進む。チャーリーの知能がどんどん伸びていく様 -
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『アルジャーノンに花束を』が良かったので。
私のビリー・ミリガンに関する知識は、多重人格の犯罪者、といったものだった。実際読むまではその”犯罪”は殺人だと思っていた(なぜだ)。
多重人格という題材はある意味アイキャッチーで、興味本位で書かれたものには食指が働かず、よって本書にも手が伸びなかった。
ノンフィクションというのもためらった理由の一つだったのだが(現実は救いがないからだ)、本書はまるで小説のようだった。
一気に読んだ。
まずはダニエル・キイスは誠実に描こうとしており、私の勝手な先入観とは全く異なり、決して興味本位の本ではなかった。
執筆のきっかけはビリー本人によるものであり、ビリ -
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ネタバレ辛い現実を前に、人格を分散させることによって心を保ち、命を守る。そんなこともある人間の精神や脳の不思議。一人ひとりの人格はビリーが生み出したもののはずなのに、統合されていくと一部の人格だけしか表れなかったりする。
じゃあ、本当のビリーって??
そんな問いは、場面によって顔を使い分けることにも重なるようで。友人と過ごす自分、家族と過ごす自分、恋人と過ごす自分、一人で過ごす自分。どれも現実で本物なのに、本当の自分に悩んだりする。もしも、これらが統合されて一つの顔しか持てないのなら、どの自分が残るんだろうか、なんて。
ー現実の世界を閉めだすことによって、ぼくたちは自分たちの世界で平和に暮らせま -
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全く別の人格が、都合の良い場面で登場するというのは、実は理にかなっているのではないかと穿ってしまう。
主人公は本来引っ込み思案でオドオドした性格。別人格では、明るくて陽気な人格や、冷静で知的で芸術家肌の人格など、私もほしいと思うような羨ましいものもある。凶暴な人格もあるが、戦わなければならない場面も生活には存在する。
もちろん、それらの人格がきちんと意識下にあり、コントロールできれば、という条件がつくだろうが。
不思議なことだが、本人が見たら全く理解できない書籍を別人格が読破していたり、難解な数式をいとも簡単に解いてしまうというのは、多重人格者には本当にあり得るのだろうか?24人のビリーミリガ -
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ネタバレ新品で上下巻揃えて買っていたのに途中まで読んで積読していた本作。久しぶりにISOLAを読んだのをきっかけに、数年の時を経てまた読み始めた。
感想は下巻の方にまとめるとして、
とりあえず、翻訳された本にしては格段に読みやすかった!
きっとダニエル・キイスの文章も読みやすいものなんだろうし、翻訳者の方も優秀なんだろうなぁ。
時間を奪われている、気づくと違う場所にいる、という表現でファイトクラブを思い出した。
多くの作品に影響を及ぼしているはずなので、これはしっかり読まなくては…。
それにしても映画はいつやるんだろうな〜。スプリットのマカヴォイの演技がすごかったのでレオ様にも期待しちゃいます。 -
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ネタバレアルジャーノンに花束をの作者ダニエル•キースによる実際に存在したビリー•ミリガン氏について書かれたドキュメンタリー小説。
この小説は上・下の2巻構成であり、上巻は主にミリガンにいる人格の解明と人格が分裂するに至った経緯が書かれている。下巻は前半に事件が起きるまでのミリガンの半生、後半にミリガンを刑務所に入れないようにするために世間のバッシングと戦ったミリガンと医者たちの奮闘が書かれている。
この物語はアメリカで起きた3件の婦女暴行事件の犯人であるビリー•ミリガンが捕まったところから始まる。
逮捕され勾留されたミリガンは様子がおかしかった。子供のように怯えていたかと思えば、あるときは知的なイギ