ダニエル・キイスのレビュー一覧
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ネタバレ
チャーリーがあの刹那的に生きてた最後のアリスと交わったときは、彼にとっての本当の幸せに気づいたのだろうと思う。
なんだか皮肉なものだよな。人が輝くのも星が輝くのも、いや命が輝く瞬間というのはいつも、命が消えゆく瞬間でもあるのかもしれない。
儚いとはこういう事なのだろう。
遺された人や想いは生き続けるし、世界も周り続ける。
のちの解説でその人は人生で3度アルジャーノンに花束をを読んだそうだが、3回目の涙はチャーリーが救われたという涙であったそう。あれを救いと捉えるのは僕にはまだ少し難しい。今の僕には救いとは言えそうにない。言語化できない。救いだけでは言い表せない最後のような気がする。
3 -
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ネタバレ正直、全てを理解したのかと問われると理解できていないと思うが何故だか涙が止まらなくなった。
「アルジャーノンに花束を」は映像化やSNSでも度々話題になっていたことから数年前から手元においていた。
本の厚みといい、以前、中途半端に読んでいたこともあり、なんだか手が伸びず、積読状態だったのだが、最近、重い話の本を読んだことで、ライトな本を読みたい(と当時は思っていた)と考え、今回、読むことにした。
知的障害者が天才になっていくという大まかな
あらすじは知っており、ハッピーエンドな物語か。
くらいな気持ちで読み始めた。
初めは、拙く、誤字ばかりの経過観察が読みづらく、なかなかページをめくること -
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知的障害者のチャーリイ・ゴードンのお話。
物語は心理学者のニーマー教授やストラウス博士宛ての「経過報告」という形式で、チャーリイの一人称語りで進んでいく。
チャーリイの始めの経過報告は漢字もほとんど使えず、句読点も十分に使えず、数少ない使える漢字も間違っていたり、「は」と「わ」の区別や「っ」も書けなかったり、彼が大人の年齢だけど幼稚園生くらいの知能しか持っていないことがわかる。原文もどう書かれているのか気になるが、翻訳者もよく翻訳したなと思った。あとがきを読んだら、著者も翻訳者も書くにあたって同じ工夫をしたらしい。
チャーリイは実験動物のように、研究の被験者として知能を高める手術受ける。そ -
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ネタバレ2025.11.14 初読。
裏表紙のあらすじ程度の知識で読み始めたので結末を知らず、知る喜びを十二分に味わい生きている我が身として、特に知能を失っていく過程(それが予感されたとき)は頭を殴られたような衝撃と悲しみを感じ、なんて恐ろしくて怖くて残酷なことなんだろうと思いました。彼の本当の幸せとはいったいどこにあったのでしょうか。
確実につらい物語であるはずなのに読後感がただ悲しいだけでなく、涙が出るほど温かい気持ちにもなるのは、ひとえに著者の故ダニエル・キイス先生、そして翻訳の小尾先生が一貫して向けるチャーリイへの大きく温かい愛や眼差しによるものにほかならないと思います。心の底から敬愛を -
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知的障害のチャーリーと、それを改善しようとチャーリーに人体実験を行う科学者たちの物語。
アルジャーノンは動物実験で超優秀となったマウス。
物語は主人公チャーリーによる経過報告式で進んでいく。
経過報告は人体実験前は全文ひらがな、誤字あり、句読点なしで読み進めていくのに苦労したが、実験後はIQが70から185に変わったことで、語彙や表現力が富んで専門的な用語も出てくる。
この変化が面白くて、ついつい読み進めてしまい450ページ近い長編だが一気見した。
チャーリーの家族、療育学校や病院、バイト先のパン屋、パートナーの女性、チャーリーが身を置く環境と人間関係も事細かに書かれていて、情景が浮かんでく -
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ネタバレ読み終わった瞬間から、大号泣。
こんなに泣いたのは久しぶりというぐらいの涙だった。
チャーリーがめっちゃ良いヤツ。
だいぶ昔にも読んだことがあって、その時も感動した記憶がある。
でも今回はそれ以上に心を揺さぶられた。
以前は、性的な描写なんていらなくないかとさえ思っていた。けれど、今になって思う。大事よ!!生きてるんだから!!生物なんだから!!
知能、心、体のそれぞれの成長があって、本来人はそれらをゆっくりと時間をかけて育ててるんだと気付かされた。
そしてさ、あらゆる登場人物とチャーリーとの関わりの変化に色々と考えさせられた。
パン屋でチャーリーをいじめてるやつらも、大学の教授も、お父さん -
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人間は考える葦である。
本当にそうなのかもしれない。
人間はこんな素晴らしい作品をかけるのですね。
そりゃ空くらい飛べるよな~。
悪を可能にさせるのは知能である
とはよく言ったもので、
無知は決して罪などではなく、
紛うことなき純粋さなのだろう。
それは善悪の次元に存在しない。
では、人の知能を人工的にあげることは罪なのだろうか。
物語中でチャーリーが、白痴が禁忌を犯し、
普通を知ることは罪であるはずがない。
と言う意のことを言っていて、
私は自分の至らなさに泣きそうになった。
彼は産まれた時から彼以外の何者でもなく、
ひとりの人間であり、知る権利があるのだ。
その方法をさずけること、それ -
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アルジャーノンに花束を
2025.10.03
知性を得たとしても幸せになるわけではない。
これは私も感じていたことだ。知識を身につけていくことは素晴らしいし学ぶ環境があること自体、幸せなことであると思う。しかしながらそれに伴って純粋さを失ってしまうのだ。闇を理解し、気を遣い、気を遣われていることを知る。人が見下し合う現実を知り、自分も見下す立場となる。
我々だって、小さい時にワクワクしていた晩ごはんのメニューや友達と遊ぶことに対して純粋な気持ちだけで取り組めなくなっていることは事実だと思う。成長することで生きることの闇も知ってしまう。しようと考えていなくとも無意識に人を見下すことがあるだろ -
ネタバレ 購入済み
切なくなった
終始日記風の書き方で、最初幼児の知能レベルで書いた日記はかなり読みづらかったけど、とある日を境に作文能力が急上昇、こんなに変わるもん??!とびっくりしました。
最初は低知能だったが故にいじめられていると気づかなかったものの、周り対する優しさや希望のようなものが読み取れました。
「頭がよくなる手術」を受けたことによって、数日後チャーリィの理解力や会話の能力はメキメキ上達、でもそれと同時に小さい頃の嫌な思い出やトラウマがよみがえるようになり、それによって苦しみます。
物語が進んでいくにつれてより賢くなったチャーリィは、ずっと憧れだった「他の人と政治や宗教や、そういう高度な内容の話がしたい」という夢 -
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ネタバレ下巻にも人格名と性格一覧を載せてくれよ、と思いながら読み始めたが、順番に新人格が登場してパンチのある紹介(行動)をしていくので必要なかった笑
"憎悪の管理者"で喧嘩担当のレイゲンだが、ロビンフッドのように貧困の子供を助けて喜んだり、人格の中でもクリスティーンを気に入っていて、スポットに出ていない時は遊び相手になっていたり(レイゲンが必要な時に呼んでも出てこないのでアーサーが探し回ってみると遊び相手をしていた)、レイゲンがエイプリルに唆されてチャーマー・ミリガンを銃殺しようとするのを、アーサーがクリスティーンに止めさせる(効果あり)流れが面白かった。
アダラナは女性と一体に