ダニエル・キイスのレビュー一覧
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評判通りの素晴らしい作品。読んで良かった。
知能が上がるにつれて、教授らが持つ無意識の偏見や、パン屋の人々からの扱いなど、チャーリーが今まで気づかなかった部分に気づいてしまった時は、読んでいる私までも苦しくて、先を読むのを少し躊躇してしまった。
チャーリーはなぜ賢くなりたかったのか。根底にあるのは、普通になって、母親に愛されたいがあったように思えた。それ自体は、天才でも白痴でも普通の人でも、当たり前に持っている欲望だ。
だが不幸にも、実験が成功しすぎたのか、彼は結局普通にはなれなかった。そのため、彼に純粋な愛情を注ぐ相手がおらず、そこにもチャーリーの孤独を感じた。アリスからチャーリーへの情は -
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読むたびに問いを投げかけてくる作品で、定期的に読み直している。
知能が急激に向上していく主人公の内面は、最初は無邪気な希望に満ちているが、次第に周囲との関係や自分自身の変化に苦しんでいく。その過程が日記形式で描かれ、喜びも孤独も、悲しみも辛さも嬉しさも、すぐそばにいるように感じられ、感情移入せずにはいられなかった。
印象的なのは、知性が高まるほど人の残酷さをより深く理解してしまう点。
賢くなることが必ずしも幸福につながるわけではないという事実は、読むたびに胸に重くのしかかる。
また、アルジャーノンの存在は主人公の運命を映し出す鏡のようで、チャーリー自身がいずれ直面する現実をより残酷に、そして -
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人間の根本的に大切なことについて改めて実感させられた。
チャーリーは手術により急激に知識を得て、天才になるが、そうなるにつれて、本来持っていた素直さや誠実さ、素敵な笑顔を失っていき、傲慢になり、孤独を感じるようになる。たしかに知識があると視野が広がるが、それよりも優しさや誠実さ、笑顔といったものがとても大切だと気付かされた。
チャーリーは最終的に元の状態に戻ることになるのだが、その時に天才のときには失われかけていたチャーリー自身の持つ人としての魅力が再び現れて、優しさにあふれるチャーリーの姿にすごく泣きそうになった。
すごく感情の揺さぶられる衝撃を受けた本だった。
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ネタバレ
チャーリーがあの刹那的に生きてたときに、最初で最後、アリスと交わったときに、彼にとっての本当の幸せに気づいたのだろうと思う。
なんだか皮肉なものだよな。人が輝くのも星が輝くのも、いや命が輝く瞬間というのはいつも、命が消えゆく瞬間でもあるのかもしれない。
儚いとはこういう事なのだろう。
遺された人や想いは生き続けるし、世界も周り続ける。
のちの解説でその人は人生で3度アルジャーノンに花束をを読んだそうだが、3回目の涙はチャーリーが救われたという涙であったそう。あれを救いと捉えるのは僕にはまだ少し難しい。今の僕には救いとは言えそうにない。言語化できない。救いだけでは言い表せない最後のような気 -
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人間は考える葦である。
本当にそうなのかもしれない。
人間はこんな素晴らしい作品をかけるのですね。
そりゃ空くらい飛べるよな~。
悪を可能にさせるのは知能である
とはよく言ったもので、
無知は決して罪などではなく、
紛うことなき純粋さなのだろう。
それは善悪の次元に存在しない。
では、人の知能を人工的にあげることは罪なのだろうか。
物語中でチャーリーが、白痴が禁忌を犯し、
普通を知ることは罪であるはずがない。
と言う意のことを言っていて、
私は自分の至らなさに泣きそうになった。
彼は産まれた時から彼以外の何者でもなく、
ひとりの人間であり、知る権利があるのだ。
その方法をさずけること、それ -
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ネタバレなんて恐ろしい物語なんだと思った
冒頭1ページ目から、うわ!なんだこれ読みにくい!と思い、それがチャーリィ自身が書いたもので、よく小学一年生が「は」を「わ」と書いてしまうのと同じことを30歳を超えた男性がやっているのだと気づいた時、もうこの時点で恐ろしくなった
最初読んでいるうちは、早くチャーリィが賢くならないかな、頭が良くなったら何を考えるんだろう、ああもうまどろっこしいな、なんて思っていた
そこから段々とIQが高くなっていき、
本当は周りから馬鹿にされていたこと
両親に捨てられていたこと
自分の過去のトラウマがずっと残っていること、
知能が上がるだけでは幸せなんて訪れないこと、
が分かっ -
ネタバレ 購入済み
切なくなった
終始日記風の書き方で、最初幼児の知能レベルで書いた日記はかなり読みづらかったけど、とある日を境に作文能力が急上昇、こんなに変わるもん??!とびっくりしました。
最初は低知能だったが故にいじめられていると気づかなかったものの、周り対する優しさや希望のようなものが読み取れました。
「頭がよくなる手術」を受けたことによって、数日後チャーリィの理解力や会話の能力はメキメキ上達、でもそれと同時に小さい頃の嫌な思い出やトラウマがよみがえるようになり、それによって苦しみます。
物語が進んでいくにつれてより賢くなったチャーリィは、ずっと憧れだった「他の人と政治や宗教や、そういう高度な内容の話がしたい」という夢