カリン・スローターのレビュー一覧
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小さな町のレストランのトイレで、大学教授の女性が腹部を十字に切り裂かれて殺害された。偶然にも第一発見者となった検死官サラは、迷いのない切創と異様な暴行の痕に戦慄を覚える。しかも犯人は被害者の習慣を熟知した人物。ならばこの町に暮らす顔見知りに違いない。捜査が難航するなか、第二の事件が発生。犯人の影はサラに忍び寄っていた。
体だけでなく心に負った傷を抱えながら、サラやレナなど女性たちは懸命に任務を務めようとするが、サラの元夫ジェフリーやレナの叔父ハンクは、彼女達を支えようとするものの、女性や薬に逃げる。男たちが持つレイシズムやマチズムに女性達が苦しめられる構図だ。女性達が戦う相手は事件のトラウマといった個人的なものに留まらず、女性らしさを押し付けようとする社会である。
ウィル・トレントシリーズのヒロインかつ本シリーズの主人公サラと後々までいがみあうジェフリーの部下レナとの言い合いシーンが随所にみられる。本質的にこの二人は合わないことがよくわかる。更にサラにとっては、愛情を残しつつも復縁に踏み切れない元夫ジェフリーが、レナにとってはいろいろと問題がある自分を引き立ててくれる理想の上司でもあることから、二人の感情の縺れは更に複雑になり、後のジェフリーの死後まで引きずっていく。
カリン・スローター作品は女性が容赦なく酷い目にあう事件が扱われる。主人公も例外ではなく、過酷な出来事は主人公が乗り越える試練として物語上は扱われる。描写や被害が痛ましいと常々感じていたが、実は第一作から続いていた。「あまりにグロすぎる」と思った読者はここでリタイアしただろう。リトマス試験紙のような第一作だ。 -
Posted by ブクログ
隔絶された山奥の高級ロッジを妻サラと旅行で訪れた捜査官ウィル。インターネットも携帯電話もつながらないその場所で、ウィルはめった刺しにされた血塗れの女性を発見する。被害者は代々ロッジを経営する一族の娘マーシー。犯人はここに暮らす彼女の家族と4組の宿泊客の中にいるに違いない。だが、マーシーは家族各々と揉めていたうえ、宿泊客の素性も怪しい。誰もが嘘をつくなか、ウィルは真相を追う。
瀕死の状態のマーシーを、ウィルが発見する所から始まる。そこから時間は遡り、マーシーが家族からどんな目で見られているかが明かされていく。要するに、誰が容疑者でもおかしくないという状況が示される。かてて加えてマーシーのパートナーは、ウィルの過去の知り合いデイヴだ。施設を脱走しては連れ戻され、気持ちが荒んでいく中、マーシーの母と知り合い、実の息子のようにかわいがられる。若いうちにマーシーと付き合い、息子ジョンの親になるが、ロールモデルがいないため、よき父・よき夫がわからない。DVをマーシーに繰り返して離婚するも、養子として彼女の実家にべったりだ。彼女にとって、よい環境ではない。折角のハネムーンを台無しにしたくないアマンダが駆けつけるが、マーシーと息子の関係を、自分のそれと重ね合わせるウィルは、捜査に関わろうと前のめりになる。
主人公の宿命で、ハネムーン先まで事件が追いかけて来る。動転したウィルは、被害者に刺さったナイフを抜こうとして、自分の手にも、ぐっさー!と刺さってしまう。痛い痛い痛い。いつもながらスローター作品は、体も心も痛めつけてくる。それでどこが報いなのかと思いきや、ラストはそれなりに報いがある。但し、ささやかだが。
完全なシチュエーション、というわけではないが、スローターが密室ものを書きたかったそう。 -
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ネタバレいやー!
ウィル・トレントシリーズの方が有名なようで、このグラント郡シリーズは6冊で完結しているそうなんだけど、邦訳はここまで。そりゃないよ。今回あまりにもショッキングなエンディングだったので、待って待って!この部分だけでもちゃんと納得させて!って、最後の数行で文字通り飛び上がってしまったもんね。英語の原題はa faint cold fearだから、うっすらとした冷たい恐れ、恐怖?もしかしてそれが最後の数行?まさかそっちに行ってしまったの?
うーん、邦訳を待つしかないのか…
メモ程度に本作の振り返りを。
本作も完全にフーダニット・ワイダニット追跡パターン。犯人とその理由が毎回楽しみで追いかけている。小さい町で起こる事件ということもあり、みんながそれぞれに繋がってたり幼馴染だったりするシリーズなので今回は犯人に関して特に、え、そのことは誰にもバレてなかったの?と、個人的には驚いてしまった。
それにしても今回はこれまでの作品ほど陰惨な殺しにはなっていないものの、出てくる人がヤク中の人ばっかりで少し驚いてしまった。そして当たり前に一般人の生活に銃が出てくるんだなあって。地域によるのかもしれないけど本当にこうなんだろうか、アメリカって? -
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相変わらずカリンスローターは精神にくる犯罪を描くのがうまい。あらゆるひとに接触する心理戦もみごたえあり。推理しながら読むのがたまらなく楽しかった。
真相には何度もたどり着くのだけど、そのたび否定するような事実が出てくる。そのミスリードが多すぎて最後に辻褄が合わなくなってる気もした。けれどターゲットの見つけ方を知ったときはショックで思わず目を閉じてしまった。
今回はウィルの心情が控えめだったけどカバーに書かれてる「シリーズ最高峰」には納得できる。
ちなみに誤植が多かった。
そういえばウィルトレントは映像化されたんだった。チェックしたがキャスティングが私の印象と全然違う。個人的にはウィルシリーズを読み始めたときハマって観てた北欧映画「特捜部Q」のカール役ニコライリーコスさんっぽいひとをウィルとして想像してた。サラはジェシカチャスティン。
でも評判は良いので観られる機会があったら映像版も観てみようと思う。 -
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今まであまり親近感もなく、好意的にも見れなかったアマンダのことが、すごくいい印象になりました。今作では、現在パートとアマンダの過去パートを行ったり来たりしてストーリーが進行し、特にアマンダの過去パートは、1970年代半ばで、女性への差別意識と黒人差別が色濃くあるる時代。この若かりしアマンダとフェイスの母親のイヴリンの2人の活躍が新鮮で、すごく親しみがわきました。この過去からどのように現代パートにつながるのかに注目でしたが、なるほどそういうことかと、いい読後感を味わうことができました。そして最終盤は、またまた気になる終わり方。次にどうつながるのか楽しみです!
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同じ作者の作品で、この作品に登場した人物が出てくる『忘れられた少女』という作品もあるが、こちらの方が先に書かれている。
上記の『忘れられた少女』は、この作品のその後という感じなのかもしれないが、雰囲気はだいぶ異なる。
こちらの作品は、1960年代1970年代の出来事が現代の多大なる影響を与えているという事が、物語が進むにつれて明らかになって行く話で、主人公も比較的能動的に活動しているという印象だが、『忘れられた少女』は、あまり主人公が能動的に動いているという印象を受けず、正直、読み進めにくかった記憶がある。その意味では、この作品にはあまり期待していなかったが、良い意味で期待が裏切られた。物語が進むにつれ、“え?どういう事?”という感じで、次に物語を読み進めずにはいられなかった。 -
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ウィル・トレント・シリーズ、6作目。
ウィル・トレントは、ジョージア州捜査局の特別捜査官。
今回は、彼の出生に関わる重い秘密が明かされる回でもあるのだが。
ウィルの上司のアマンダと、その同僚だったイヴリンの若き日の話がかなりの比重を占めます。
女性警官二人の物語というのは珍しいので、こちらがポイントかと。
ウィルは長身で金髪、穏やかで大人しい性格。頭はいいのだが識字障碍を抱え、それをごまかしながら何とかやってきた。
施設で育ち、里親を転々とし、どこか影があるので、潜入捜査を得意としていたこともある。
凶悪な殺人事件が発生したが、なぜかウィルは捜査から外される。
それは、ウィルの実父が出所しているからだった。
40年さかのぼって、1975年。
アマンダは小柄で、若い頃は現在とは別人のように動揺しやすい。とはいえ、全てを面に出すわけではない。
謹厳な警察官の父親に育てられてきたからだ。
イヴリンはなかなかの美人で大胆、アマンダと気が合うようになります。
男社会の警察で、それでも女性が少し増えかけてきた時代。
署内の偏見をかいくぐり、町では柄の悪い連中と渡り合う日々。
そこで遭遇した恐ろしい事件で‥
ウィルにまさかこんな過去があるとは。
子どもの頃は実父の犯罪を知らないでいた点もあり、それだけは良かったという気はしますが。
アマンダとは運命的な出会いだったのですね。
アマンダは内心、我が子に抱くような激しい愛情を抱きつつ、その執着をそのまま表に出すわけにもいかない、という葛藤があるらしい?
姿を消していたアンジーの影が、最後にそこに現れる。
カリン・スローターはすごい。 -
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ウィル・トレント・シリーズ5作目。
アメリカはジョージア州の捜査官です。
元刑事のイヴリンが誘拐された。
ウィルの相棒フェイスの母親で、フェイスは現場にいて犯人と応戦したのだが。
ウィルは以前の事件との関連を疑う‥
警察内で汚職事件があり、イブリンの部下をウィルが逮捕。イブリンも疑われたが証明されないまま、退職したのだった。
フェイスはその件でウィルと最初は気まずかったのだが、今はバディとしてうまくやっていこうとしています。
フェイスは本来、普通に仕事が出来て有能な捜査官のようです。が、なぜか男の好みに難があり、未婚の母。しかも、二度目だったりする混乱が。
体調が良くないのも描写に影響して、妙な不安感が増してます。
ウィルの上司の怖い女アマンダにとって、イブリンは昔なじみの同僚だったから、いつにもましてビシバシ指令が飛ぶことになる。
アマンダは警察で出世するにはこれぐらいにならなくちゃいけないのか!っていう迫力ある女性。
ウィルにはなぜか母親のような、優しく温かいのじゃなくて谷に突き落とすような母親めいたところがあるという?(この意味は後の作品に出てきますよ)
たくましい3人の女性に加え、ウィルの奔放な妻アンジーの姿も。
とっくに家を出てほぼ行方不明だったが、ウィルを完全に手放すのは惜しい?
だが遂にそのあたりも決着つきそうな‥
サラ・リントンが感じがよくてウィルとお似合いなので、まあゆっくり進むのも、らしいですけど、いい加減にしてほしいですよね(笑)
てんこ盛りの濃い人間関係に目を奪われ、事件の展開にアッと驚かされます。
ちょっと怖いが、描写の濃さと鋭さが癖になるカリン・スローター☆