これで去年の感想も最後。
年末って本当にドタバタしますね。
ここから感想
物語自体は面白かった。
上巻で亡くなった夫の秘密を知り、驚きと戸惑いに混乱する妻とはじまり、下巻でも意外な展開もあり楽しませる。
残念なことは、翻訳がおかしいのか作家の文章自体がおかしいのかわからないけれど、とにかく読みにくい。感じ方はそれぞれなので、違和感なく読めるかたも多いのだと思うけれど、わたしには合わなかった。
物語と直接関係あるようなないようなことが、気になったことのひとつとしてある。
それは、日本とアメリカの違い。
物語中、裕福な家庭の妻である主人公が、傷害事件で保護観察中という設定になっているのだが、裕福な家庭の奥さんと犯罪者ということがすんなり結びつかない。
日本でも勿論裕福だろうが貧しかろうが犯罪を犯すひとは犯すのだけれど、日本なら物語の主人公、それも気の毒な妻の位置に前科者という設定は余り想像できない。
主人公が傷害事件を起こすにはそれなりに理由もあり、物語にも関わってくると言えるのだけれど、多分日本なら警察に捕まるレベルの暴力には至らないのではと思う。
また、逮捕歴があるひとが少なくないとか麻薬が身近に溢れているとか、保護観察中の人物の足首にGPS装置を取り付けるといったことなどに、アメリカってそうなんだと驚く。
婦女や幼女暴行犯といった再犯性の高い加害者にGPSは理解できるし、日本でも導入してもいいのではとも思うけれど、初犯である傷害事件の加害者にもGPSってやり過ぎじゃないかと思う。そんなに犯罪者全ての行動を把握する労力のほうが勿体無いというか。
アメリカには犯罪者に人権などないのかもしれない。
日本のように犯罪者の人権を護ることに躍起になって、被害者ほったらかしというのも如何なものかと思うけれど。
女性に暴力を加えることによって性的興奮を得る犯人が出てくるため、痛々しい描写があり、そういったものを不快とされるかたは読まないほうが良いと思う。
逆に、そういった描写が好物なかたには物足りないだろうと思う。
この作家さんは、今アメリカでは注目の女流作家さんらしいので、他の作品にも興味はあるが、また読みにくかったらどうしようという不安もある。
良くも悪くもドキドキする。