深沢仁のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とあるひと夏を描いた四編の短編集ですが、どこか密やかで濃密な気配の漂うストーリー。
「空と窒息」
「昆虫標本」
「宵闇の山」
「生き残り」
「夏の直線」
心がカラカラに乾くような、ヒリヒリするような、切ないような……言葉で表すのが難しい。
さまざまなタイプの心の渇望が描かれていたように感じた。
人の心や欲求って、不思議で複雑なもの。
言葉ではなかなか伝えにくいことを、こうして物語を通して感情ごと伝えられるのは本当にすごいなとしみじみ思う。
「生き残り」「夏の直線」が好みでした。
これまでに読んだ作品「ふたりの窓の外」「眠れない夜にみる夢は」は、「この言葉の海にずっと潜っていたい」「読み -
Posted by ブクログ
非日常的な空間で次に会う約束も交わさなかった2人が、なんだかんだと季節ごとに会うようになる。
それでも、次の約束や綿密な予定は立てず、あくまでお互いのやりたいことを適度な距離感でしながら、ある意味逃避行的な旅行に2人で出かけていく。
友達よりよく知らない人の方が、しがらみがない分自分の悩みを話しやすいとよく言われる。
二人の関係はそれに加えて、お互いの空間をリスペクトしているところが良いと思ったが、最後の最後にそれが乱れる場面があり、その後どうなるかは不明。
現実にはこのような関係性を築ける人を見つけるのは相当難しいと思うが、心地よい関係性は友達や家族、恋人という枠にとどまるわけではないと -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み心地はかなり軽いのでスルスル読める
もう少し読み応えが欲しいと思った
全体の話を通してタイトルに集約されるのでなるほどと、思った
どの話も未成年特有の絶妙な危うさが感じ取れてハラハラしてしまった
何か危険だと思う気持ちが勝り私はとっくに大人になったのだと思った
高校生のこういうところあるあるだよね、と思う場面がたくさんあった
私が1番好きな話は、「宵闇の山」
率直に思ったのは、あ、これはギャング集団の話だと思った
(内緒で夜の山に入り秘密基地にしようというところ)
最後の大人になるまで、ずっとの台詞が切ない
タイトルのこの夏のこともどうせ忘れるに続いてしまうような気がした
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Posted by ブクログ
ネタバレ高校生の夏を描いたオムニバス。
内容にすごく関係ないけど、ポプラ社のこの本、いい紙つかってる?
ページ一枚一枚しっかりしてるな~って思いながら読んだ。
「空と窒息」
毎年夏にないると意味があるのかないのか母が1度だけ首を絞めてくる。
そんな高校生が勉強合宿にいく。ここでもボッチ。
夜眠れなくて、つい同じ部屋の香乃に「首を絞めてくれないか?」と頼んでしまった。その夜はよく眠れた。
「昆虫標本」
美しいハーフの兄妹の家にお邪魔する話
妹が切手収集しているらしく、祖母の切手コレクションをもって家に訪ねる。
切手の話、そうでない話、ふたりはべったりした時間をすごす。
美しい兄のほうが昆虫を集めて -
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