深沢仁のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本編5話に文庫版ボーナストラック1話を加えた、6編からなる作品集です。
友情や恋愛といった既存の言葉だけではいい表せないような、脆くも尊い関係性が描かれており、読み終えた後はなんとも形容しがたい不思議な感情に包まれました。
非常に読みやすく、一気に物語の世界へ惹き込まれてしまいます。
タイトルにある通り、全編を通して「夜」が舞台となっています。友人や恋人と楽しく騒ぎながら過ごす夜もあれば、たったひとりで寂しさに震えながら更けるのを待つ夜もある。作品を通じて、人それぞれの多様な「夜の過ごし方」をそっと垣間見ているような感覚になりました。
決してすべてが分かりやすいハッピーエンドでは -
Posted by ブクログ
なんて素敵な大人の恋愛小説。いくつかの恋を経てひとりでいる大人には刺さる小説のはずだ。あるいは、恋人なんてもういいかなぁというときが一度でもあったことがある大人に刺さるはずだ。
父親を亡くした俳優の男と、婚約者を亡くした女は、火葬場の喫煙所で出会う。男は反りが合わない家族のいる待機部屋に居づらい。女は亡くなった婚約者の浮気相手の存在に葬儀で気付き内心ズタボロだ。現実から浮遊したような状況で出会った2人は、行きずりの相手に身の上をこぼす。
その時の会話がきっかけで、女が婚約者と行くはずだった旅行に、婚約者のフリをして男が同行することに。不思議な旅だ。特に何があるわけでもなく、同じ部屋で寝泊ま -
Posted by ブクログ
すごくよかった。
真っ直ぐ純粋で危うい紗奈の言動に対する鳴海さんの対応が素敵すぎる。
温かく受け止めて、ゆっくり待ってくれる姿勢も素敵だし、何よりおもしろがってくれる受け取り方がいい。
二人のやりとりは心地よくてほっこり笑えて、終わるのが寂しいくらい楽しい読者時間だった。
紗奈が新しい世界を知ってわくわくしたり、抱えてきた辛い思いを爆発させて泣いてしまう場面などは、心理描写が丁寧でわかりやすく臨場感があった。
旅行という非日常を共有することは特別な楽しさがある一方、いつ疎遠になるかわからない関係性は不安で切ない。
どう決着するのかわからず、秋の旅行は大雨のダムの場面でドキドキしたし、冬の旅行