水野良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ年を取ったせいか、妙に涙脆い。ロードス島伝説の完結編となる本書を読み終えた今、本編のロードス島戦記とは打って変わって、ペシミズムが全体を覆っているかのようだ。
魔神王を倒した六英雄たちのその後に輝かしい未来はなく、隠棲を遂げる者や再び合い見え、討ち死にする者、自らを犠牲にする者、各登場人物全てに諦観が漂う。
事を成し終えた後に何が残る?
常にその疑問を孕んで生きていくのだ。
前4巻までは悲劇の英雄ナシェルの物語だったが、今回は添えられた短編も含め、悲劇の聖女フラウスの物語となっている。しかし、フラウスの設定は本シリーズ当初に比べ、かなり変わった。
当初は勝ち気な聖女という設定で神話のヴァルキリ -
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Posted by ブクログ
中学・高校の頃、『ロードス島シリーズ』はもう純粋に面白く、RPGの世界を独力で何か形として残したいという願望を理想的に具現化したものとしてワクワクしながら読んでいた。
しかし大学、そしてつい最近になっては読書遍歴を重ねて目が肥えたせいか、過去の遺産にしがみついて書かれた付録として捉えていた。
しかし、今回、そういった自分の不明を恥じる。
一見、竜騎士、魔神、魔法など、典型的なモチーフを取り扱った作品と思われていたこのシリーズは、実は単なるファンタジー物ではなく、作者なりに、濃度はどうあれ、リアリティー、根拠付け、動機付けを持たせようと腐心していることがわかった。
というのも、この『ロードス島 -
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Posted by ブクログ
前巻で戦乱に一区切りが打たれ、ここから第2部に突入となる8巻目ですが。
「連合」と「同盟」と「条約」という三勢力の均衡による安定を目指すとか、なんとまあ三国志めいてきたものですね。
条約軍は大きな戦いに勝利した勢いがあるからもっと盤石なものだと思っていたのですが、実情はそうではなかったみたいで。オイゲンが戦死した時のように、この巻でも尊い犠牲が出てしまったのが残念でならないですね。好きなキャラだったのですが。
にしても。アレクシス覚醒には驚かされました。今の今まで無能君主だとばかり思っておりましたのに…。あんまり彼が有能だと、主人公チームの出番とか存在感の問題以前に、あっさりと戦争が終わっ -
Posted by ブクログ
ネタバレシスティナから大陸に舞台を移して、とうとう因縁の敵であるミルザーとの決戦に挑むことになる7巻目ですが。
しかしミルザーはアレですね。単騎で戦況を覆すほどの武力もちとか。完全に「一人戦国無双」状態ですか。グランクレストには稀有なキャラクターですよね。
ただまあ、やはり現実でもそうあるように、ただ一人の武力で「戦場の現実」をどうにかできるわけがなく。戦いの勝敗は始まる前に決しているとはよく言ったもので、戦争とは戦端が開かれる前の段階でどれだけ策をめぐらし準備を積み上げたかできまるのでしょう。
テオとミルザーの勝敗を決したのは、それぞれについた軍師の力量差であったと考えられますか。 -
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