新津きよみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
喫茶室でアイスコーヒーとアイスクリームを注文した女性。
アイスコーヒーを飲みながら、アイスクリームが置かれた隣席に
まるで誰かが座っているかのように微笑みかけている。
エスカレーターでは右側に立ち、左側にこども一人分のスペースを空け
突然誰かを探すかのように走り出して化粧室に入り
「お子様と一緒に入れます」と書かれた個室から、誰もいない隣の空間に
「よかったわね、間に合って。」と語りかけながら出てきて。。。
当初はホラー文庫の一冊として刊行されたというのも大いに頷ける
ぞっとするようなプロローグです。
でも、私と同じ怖がり屋の読者さんも、どうか安心してください。
読み進めるうちに、ホラーではなくて人を想うせつなさを描いた物語だとわかるので。
自分がたまたま迎えに出なかったばかりに、可愛い盛りの娘を
事故で死なせてしまったと悔やむ容子。
彼女が、亡くなった加奈子の魂が戻ってきた、ちゃんと気配が感じられると言い張って
幼児用のお皿にごはんを用意したり話しかけたりする気持ちは、
なんだかとてもわかるような気がするのです。
子を持つ母だからということではなく、誰でも大切に想う人を亡くし
それが自分のせいだと思い詰めたら、そんな状態になっても不思議はないと思えて。
それよりも、いつまでもそばにいてくれると思っていた加奈子の魂が自分から離れ
見知らぬ妊婦のお腹の中の赤ちゃんに宿ったと知ってからの
容子の行動のほうが、ずっと怖くて痛々しい。
住む場所も職業も行動パターンも変え、じわじわと時間をかけて
加奈子の生まれ変わりを宿したターゲットに近づいていく彼女を
息を殺し、ハラハラしながら追いかけずにはいられません。
容子に限らず、誰にどう思われようと愛する者を守ろうとあがく
女性たちの姿が印象的な物語。
容子の執着がおおらかな愛に変わる瞬間が鮮やかです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ五歳になった一人娘をなくした夫婦。その妻はそれを受け入れられないのか、死んだ娘の魂が存在していて、いつか転成すると信じきってしまい…
裏表紙に書かれた「感動必至の〜」を信じて購入して読み始めた本作。しかし、しばらくは娘の死を受け入れられな母親のサイコサスペンスな、薄気味悪いという印象を受けました。
見えもしない魂だけの存在になった娘が身近にいる、と公言してみたり、その子が他人の子どもに転成したと思い込むところ。そしてその子をいずれ社会的にも我が子として取り戻そうと画策する姿には、感動どころか戦慄を覚えるほど。
「どこが感動必至やねん」と批判的に思いつつも、でも先の展開が気になって、ページをめくる速度は早め。最終的にはすべてが丸く収まる感じで終焉を迎えるので、それなりに溜飲が下がる感はありました。
本作、来年春に映画として公開される模様。作品としてはインパクト強い内容ではなかったので、これをどのように多くのお客さんにウケる形に仕上げるのかがスゴく気になります。