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Posted by ブクログ
喫茶室でアイスコーヒーとアイスクリームを注文した女性。
アイスコーヒーを飲みながら、アイスクリームが置かれた隣席に
まるで誰かが座っているかのように微笑みかけている。
エスカレーターでは右側に立ち、左側にこども一人分のスペースを空け
突然誰かを探すかのように走り出して化粧室に入り
「お子様と一緒に入れます」と書かれた個室から、誰もいない隣の空間に
「よかったわね、間に合って。」と語りかけながら出てきて。。。
当初はホラー文庫の一冊として刊行されたというのも大いに頷ける
ぞっとするようなプロローグです。
でも、私と同じ怖がり屋の読者さんも、どうか安心してください。
読み進めるうちに、ホラーではなくて人を想うせつなさを描いた物語だとわかるので。
自分がたまたま迎えに出なかったばかりに、可愛い盛りの娘を
事故で死なせてしまったと悔やむ容子。
彼女が、亡くなった加奈子の魂が戻ってきた、ちゃんと気配が感じられると言い張って
幼児用のお皿にごはんを用意したり話しかけたりする気持ちは、
なんだかとてもわかるような気がするのです。
子を持つ母だからということではなく、誰でも大切に想う人を亡くし
それが自分のせいだと思い詰めたら、そんな状態になっても不思議はないと思えて。
それよりも、いつまでもそばにいてくれると思っていた加奈子の魂が自分から離れ
見知らぬ妊婦のお腹の中の赤ちゃんに宿ったと知ってからの
容子の行動のほうが、ずっと怖くて痛々しい。
住む場所も職業も行動パターンも変え、じわじわと時間をかけて
加奈子の生まれ変わりを宿したターゲットに近づいていく彼女を
息を殺し、ハラハラしながら追いかけずにはいられません。
容子に限らず、誰にどう思われようと愛する者を守ろうとあがく
女性たちの姿が印象的な物語。
容子の執着がおおらかな愛に変わる瞬間が鮮やかです。
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