松岡圭祐のレビュー一覧
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波照間島に戻った莉子と小笠原。二人の前に現れた若い女性は横領の疑いを懸けられていた。彼女を救うため、そして自らの道を確かめるため、莉子は過去の挫折と向き合いつつ再び事件の渦中へ飛びこむ。
謎解きものとしては過去作品と比べて、最高傑作とまではいかないかな、とは思いましたが、今までのシリーズ作品の総決算として、そして新たな莉子の旅立ちを描いた、シリーズの転換点を描いた作品としてはこれ以上ないくらいの出来だったと思います。
シリーズを通してしっかりと伏線を張り、単品作品だけにとどまらない大きな物語の流れを作っているのも松岡さんらしいです。しっかりと『推理劇』編の伏線を回収し今後の新たな展開 -
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莉子の店に大量の力士シールが貼られる事件が発生。そしてコピアが莉子への復讐を始めるQシリーズ推理劇編の完結編。
過去シリーズのエピソードや伏線、そしてαシリーズの登場人物や雨森華蓮も登場するなど、推理劇編の完結にふさわしい詰め込み具合になっています。
物語のテンポもかなりいい! 謎解きとしては物足りない部分もありますが、一巻の中にさまざまなミステリ的なアイデアや知識を生かしたトリック、ロジックを組み込んでくるあたりはさすが!という感じです。
さらっとではありますが莉子のアイデンティティ的な問題に触れているあたりもよかったと思います。もっとそのあたりを深く掘り下げても面白かった気が -
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ネタバレ松岡圭祐によるラテラルシンキングの小悪魔・浅倉絢奈が活躍する特等添乗員シリーズ第3弾。
本作では壱条那沖が壱条元官房長官の実子かどうかというスキャンダルが持ち上がり、母親の真尋はその事実関係に口を閉ざしたままという不可解な状況が疑心暗鬼を生む。そのスキャンダルの裏にあるからくりを絢奈と那沖が暴き出す、というストーリー。
万能鑑定士シリーズと異なり、すっかり婚約者としての地位を確立した感のあった絢奈だが、スキャンダルをきっかけに逆風にさらされる。その逆風を逆手にとって那沖とともに真相に迫っていくあたりは非常に良く出来ていて隙がない。相変わらずテンポも良く、いろんな要素が盛り込まれているにしてはさ -
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ネタバレ万能鑑定士・凜田莉子が活躍するシリーズの短編集。
本作は一つ一つの物語は短編であるものの、1冊でひとつの大きな物語になるような設計になっている。
莉子が質屋に一ヶ月間に出向し、その間に起こる騒動を描いている。質屋の駒澤さんが莉子とつかず離れずの態度を取っているのがなぜなのか、小笠原のことを案外よく理解しているのがなぜなのか、と思いながら読んだが、ラストでその理由が明かされる。このあたり、うまいなあと思う。
小笠原もそこかしこでいい活躍をし、莉子との仲が少しばかり進展する。それにしても、この二人はどこまで中学生的恋愛を続けるのだろう? -
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ネタバレ松岡圭祐による特等添乗員シリーズ第二弾。
前作では万能鑑定士凛田莉子が重要な役回りを演じていたが、本作ではほとんど絡んでこない。そのかわり、壱条那沖が重要な役どころを果たす。
絢奈が那沖の家に呼ばれたことが原因で絢奈と那沖の関係もギクシャクするが、やがて絢奈と姉の乃愛の確執も那沖のおかげで雪融けとなり、絢奈のまわりは一気に好転し始める。次作以降これらの人間関係がどのように発展して行くのかも見所となりそうだ。
それはそうと、近年の松岡作品はネタに詰まったら海外、という感じが無きにしも非ずだが、特等添乗員という設定だけに違和感なく海外にいけるところは設定の勝ちという感じか。