川上稔のレビュー一覧
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P.A.Oda勢の片桐・且元(かたぎり・かつもと)は、武蔵の教導院が修学旅行をおこなっていないことを問題視し、正純は移動教室をおこなうことで妥協を図ります。移動教室の舞台となるのは、学長の酒井・忠次(さかい・ただつぐ)の提案により、竜属の棲む真田の地にきまります。そこには、元信の弟である松平・信康(まつだいら・のぶやす)の研究所があり、正純たちはそこにのこされた世界の秘密に近づいていきます。また、ホライゾンと喜美がけしかけることで、ネイトと浅間がトーリをめぐる自分たちの気持ちにあらためて向きあうことになります。
今回は移動教室という設定もあり、本編のストーリーはあまり進行せず、真田の竜との三連戦がメインになっています。 -
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武蔵の勝利によってP.A.Odaの一強時代が終わり、新しい時代の幕があがります。P.A.Odaは、毛利領を治める六護式仏蘭西との交戦に突入し、正純は北条・氏直(ほうじょう・うじなお)のいる関東へと武蔵を進めていきますが、北条側からの砲撃を受けて、戦闘状態に入ります。トーリも女装姿で敵を翻弄し、結果的に武蔵の勝利に貢献することになります。
さらに、真田十勇士のあらたな面々も登場して、点蔵とメアリ、二代、そして武蔵の一員となった成実と、戦闘をくり広げます。その後、武蔵と北条の戦いを見守っていたP.A.Odaの滝川・一益(たきがわ・いちます)の登場する白鷺城との砲撃戦となります。
今回はほぼバトル・シーンですが、武蔵とは異なって滅びゆく運命にあるP.A.Oda勢の登場人物たちの心情がえがかれており、彼らのキャラクターがこれまで以上に強く印象づけられたように感じます。 -
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上越露西亜がP.A.Oda側につくことをえらび、伊達家もこれに同調して武蔵への攻撃を開始します。奥州三か国と友好関係をきずくという正純のもくろみは潰えたかに思えましたが、最上・義光(もがみ・よしあき)が武蔵に協力することを選択し、武蔵はどうにか危機を脱します。
その後、平泉の頭領で長寿族の藤原・泰衡(ふじわら・やすひら)が、武蔵との会談を求めてやってきます。正純や浅間・智(あさま・とも)は、この対談を通じて、聖譜記述のはじまる前の黎明の時代に起こった出来事と、奥州に受け継がれる神道とは異なる伝統的な信仰についての考えを深めることになります。
一方、武蔵の外交官として伊達家に送られた半竜のキヨナリ・ウルキアガは、伊達家の総長である伊達・政宗(だて・まさむね)の武神「青竜」が暴走するという事件に直面し、伊達・成実とともに青竜の暴走を止める活躍をします。
しかしその間、武蔵の代表委員長を務める大久保・忠隣(おおくぼ・ただちか)が、正純の方針に反対を掲げ、臨時生徒総会の開催を画策していました。正純はこの挑戦を受けて、ヴェストファーレン会議で神州の暫定支配を解除するという大目標を発表します。
神州による極東支配以前の歴史にかんする泰衡との対話は、今後の展開に絡んでくるのか、いまひとつ位置づけがわからない部分ですが、伝奇的な要素を含んだ小説で東北地方を舞台とするときには、やはりストーリーに取り入れたくなるものなのかもしれません。 -
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P.A.Odaとの戦いで損害を受けた武蔵は、有明で補修をおこなうことになります。正純は、伊達家、最上家、上杉家と上越露西亜(スヴィエート・ルーシ)が協調しながら聖譜記述の歴史再現をおこなってきた奥州との友好関係をきずこうとします。
ところが、会談に現われた伊達・成実(だて・なるみ)は、開口一番に武蔵との関係断絶を告げます。正純はこの不意打ちに対して、相互に外交官を派遣するという条件を提示し、将来へ向けて希望をつなごうとします。
そのあいだにも、P.A.Odaは上越露西亜の浮上島ノヴゴロドに対して攻撃を仕掛け、奥州三か国に対する圧力を強めていきます。さらに武蔵の内部でも、真田十勇士たちが隠密活動をおこない、武蔵にすこしずつ危機がせまります。
奥州編の序章となる一冊ですが、ストーリーが安定軌道に入ったことで、これまでのように世界観などの説明が過剰になることもなく、スムーズな滑り出しという印象を受けました。 -
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トーリと人狼女王と合流した点蔵たちは、神聖ローマ帝国総長のルドルフ二世が幽閉された鋼鉄の塔へ向かいます。無痛覚と再生能力に加えて、身体を変態させるルドルフ二世にネイトが戦いをいどみ、母を越えるきっかけをつかむことになります。
その後、神聖ローマ帝国旧派によって、聖譜にもとづくマクデブルクの掠奪の歴史再現が前倒しでおこなわれることになり、武蔵はP.A.Odaの面々との戦いに突入します。二代と柴田・勝家(しばた・かついえ)の息もつかせぬ戦いがくり広げられ、さらに前田・利家(まえだ・としいえ)が率いる幽霊艦隊が武蔵を追撃します。そしてこの戦いのさなか、松永・久秀(まつなが・ひさひで)や里見・義頼(さとみ・よしより)たちが、みずからの信念にもとづいて決断をくだし、戦いのなかで命を散らしていきます。
前半はネイトに焦点をあてた白兵戦、後半は艦隊での海戦と、バトル・シーンに多くのページが割かれているにもかかわらず、何人もの登場人物たちの見所が用意されていて、ページ数以上のヴォリュームを感じます。 -
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ネイト・ミトツダイラの母であり六護式仏蘭西の副長である人狼女王(レーネ・デ・ガルウ)に連れ去られたトーリは、彼女の歓待を受けていました。彼の救出に向かった点蔵とメアリ、ネイト、そしてマルゴット・ナイトの四人は、自動人形のMouri三姉妹との戦闘状態に突入します。
一方武蔵では、六護式仏蘭西の旗機であるパレ・カルディナルが亡命してきて、ルイ・エクシヴの妹であるアンヌ・ドートリッシュがマクデブルクに軟禁されていることが明かされます。さらにマクデブルク暫定市長のゲーリケがやってきて、マクデブルクの掠奪の歴史再現をめぐって、正純・ホライゾンとのあいだで交渉がおこなわれます。
第二巻は点蔵とメアリに焦点があてられていましたが、今回はネイトと母の人狼女王との関係がストーリーの基軸でしょうか。ともあれ、ネイトママンの挿絵の印象が強すぎます。 -
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英国での戦いを終えた武蔵は、浮上島のIZUMOへと向かいます。ところが、武蔵を取り囲んだ六護式仏蘭西(エグザゴン・フランセーズ)は、聖譜にしたがっておこなわれる旧派(カトリック)と改派(プロテスタント)の内戦への影響を排するために、神聖ローマ帝国(M.H.R.R.)内での武蔵の航行を禁止するという通達をおこないます。
さらに、三方ヶ原の戦いのあとに関東を治めることになる松平の情勢を知るため、里見義康、北条・氏直、源・義経たちもすがたを見せます。とくに長寿族で清武田をとりしきる義経に対して、正純は武蔵の受け入れを認めさせるために交渉をくり広げます。
その後、武蔵と六護式仏蘭西とのあいだで戦いの火ぶたが切って落とされます。「太陽王」ルイ・エクシブも登場して、トーリと全裸キャラをかけての対決にいたります。
上巻ではいつものように、ギャグを織り交ぜながら今回のストーリーに登場するキャラクターの紹介をおこなうという位置づけになっています。ただ、3巻目にして早くも、登場人物を把握しきれなくなってきており、続巻を読み進めることができるのか心配になってきました。 -
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正純は武蔵を代表して、英国の妖精女王エリザベスとの交渉に臨みます。聖譜に記された歴史にのっとって、三征西班牙とのアルマダ海戦を控えた英国に対して、正純は双方の利益を満たす道筋をさがし求めます。そこへ、三征西班牙のディエゴ・ベラスケスが加わり、ホライゾンの救助をめざす武蔵が、アルマダ海戦のために「重双血塗れ」(ダブルブラッディ)メアリの処刑をおこなおうとする英国に対して戦いをいどもうとしないことの矛盾を突きます。さらにP.A.Odaの前田・利家(まえだ・としいえ)も登場し、武蔵と英国との貿易同盟に対する異議を表明します。
他方、点蔵は「傷有り」にまつわる秘密と彼女の決意を知り、一度は彼女と別れることを受け入れますが、その後彼女を守るために決断をくだします。
こうしてアルマダの海戦の再現がなされることになり、武蔵と三征西班牙とのあいだで戦いがくり広げられます。またネシンバラも、改めて筆をとってシェイクスピアに勝負をいどみます。
1100ページ超というヴォリュームのせいで、読んでいると腕がだるくなってしまいます。 -
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聖連に対して距離を置く英国をめざす武蔵ですが、その途上に三征西班牙(トレス・エスパニア)が立ちはだかります。本多・二代(ほんだ・ふたよ)に敗れた立花・宗茂(たちばな・むねしげ)は襲名を解除され、雪辱を誓う立花・誾(たちばな・ぎん)が三征西班牙のフアナを説得し、攻撃を仕掛けてきたのです。
三征西班牙の攻撃をかいくぐった武蔵は、英国に到達しますが、そこへやってきたトマス・シェイクスピアたちと戦闘状態になり、トゥーサン・ネシンバラはその術式を受けてしまいます。その一方で、点蔵(てんぞう)・クロスユナイトが女性であることをかくしている“傷あり”(スカード)の秘密を知り、彼女と交流を深めていきます。
その後の交渉により、武蔵と英国が合同で学園祭をおこなうという筋書きが定められますが、シェイクスピアによる劇場術式によって、双方のあいだで戦いがはじまります。そんななかトーリは、感情をとりもどしたいという意思をもつことのできないホライゾンをデートにさそいます。
戦闘と交渉による駆け引きのあと、このあとの展開につながる伏線が張られるという流れになっていますが、今回も下巻のほうで本格的にストーリーを動かしていく展開なのでしょう。 -
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自動人形の少女P-01sが、ホライゾンの生まれ変わったすがたであり、彼女から大量破壊兵器「大罪武装」がつくり出されたことが明らかになると、「聖連」は彼女に自害をせまります。感情をもたない自動人形であるホライゾンもまた、その選択の正しさを肯定しますが、トーリをはじめとする武蔵の学生たちは、彼女を救うことを決意します。
そんなトーリたちに立ちはだかったのが、彼らとおなじ武蔵の学生でありながら聖連側にくみすることになった男装の美少女の本多・正純(ほんだ・まさずみ)たちです。トーリは彼女たちとの論争において、意外な方法で主導権をとり、さらにホライゾンの危険から世界を守ることを主張する教皇総長であるインノケンティウスとの戦いにいどむことになります。
ようやくストーリーが動き出した印象で、本巻よりページ数はすくないものの世界設定についての説明の多い前巻よりもスムーズに読み進めることができました。 -
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巨大航空都市艦の「武蔵」に暮らす葵(あおい)・トーリという少年と、彼の過去にかかわりをもつ自動人形の少女であるP-01sを中心とする壮大な物語のはじまりとなる一冊です。
武蔵アリアダスト教導院の学生であるトーリは、バカなことばかりしながらも生徒たちから慕われていますが、そんな彼には、過去にホライゾン・アリアダストという少女をうしなうという、つらい過去がありました。そんな彼と教導院の学生たちの運命を大きく揺るがす事件がとつぜん起こります。それは、ホライゾンの父である松平・元信(まつだいら・もとのぶ)が、地脈炉を暴走させ、三河を消滅させたことでした。そして彼の口から、P-01sにまつわる思いもかけない事実が語られ、世界の運命を一身に引き受ける立場に置かれたP-01sは、「聖譜連盟」(聖連)によって身柄を拘束されてしまいます。
第一巻から、すでにライトノベルとしてはかなり厚めの造本になっていますが、ストーリーの背景をなす膨大な世界設定の説明と、主要なキャラクターの紹介、さらにストーリーの起点となる三河消滅という事件をえがくのに終始しており、本格的な物語の動きはまだはじまっていません。主人公のトーリは、前作「終わりのクロニクル」の佐山・御言とは異なるタイプですが、ギャグとシリアスの振幅の大きさは前作以上で、純粋にたのしんで読むことができました。