ケン・フォレットのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「キングスブリッジ」シリーズ第三弾。
本作はキングスブリッジだけでなく、フランスやスペインまで舞台が広がっており、プロテスタントとカトリックの対立と、エリザベス・テューダーとメアリー・ステュアートの王位を巡る争いが話の軸となっている。
信じる宗教が異なるというだけで、火刑や拷問、殺戮が行われ、それらは全て信仰のためだといって正当化される。
何とも野蛮な時代で恐ろしくなるが、本書は史実とフィクションの織り交ぜ方が絶妙で、とにかく分かりやすい。楽しみながら歴史を知ることが出来る。
スペイン無敵艦隊とイングランド海軍の海戦にも触れており、読み応え十分だ。
前作同様、後味の良い結末で、大満足の面白さ -
Posted by ブクログ
中世の歴史をベースにフィクションを描いているのだが、話の中心となるのは大聖堂の建築である。
悪人はとことん悪く描かれ、何度蹴落とされても悪知恵を働かせる。
対してフィリップ修道院長をはじめとした善人達も、必ずしも清廉潔白というわけではなく、様々な欲望や感情を抱いている。
登場人物たち全員がとても人間らしく生々しく描かれており、ストーリー展開は痛快で、時間を忘れ夢中になって読んだ。
面白いと思ったのは、人の善悪の基準や何が正しいのかということは時代で異なるのだということ。この時代の人はとにかく神を信じている。しかし人間は積み重ねて行った知恵によって何を信じるのかを判断できるようになるのだ。
中世 -
Posted by ブクログ
ネタバレエリス・ピーターズの『修道士カドフェル』シリーズ好きなら絶対ハマること請け合いの、上・中・下三部作。評者は絶対ハマるタイプなので、文句なしの星5とした。
ウェールズの平民で孤児だった修道士が、己の知恵と、仲間と、あらゆる伝手によって大聖堂建立するまでのお話。
そこに、登場人物それぞれの謎や諸事情が絡んでくる。これがしかも、全てきれいに解きほぐされ、決着がつく。
大部だが『必要でないエピソード』がほとんどないのはそのため。
イングランドのヘンリー1世の嫡男、ウィリアムの死に始まり、スティーブン王 VS 女帝モードの内乱、ヘンリー2世になってからの王権 VS 教会の対立など、歴史背景への知識は