ケン・フォレットのレビュー一覧
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権謀術数蠢く権力闘争。二転三転する物語。最後は民衆の総意が権力を凌駕して大団円を迎える。
著者が描く登場人物はなんと魅力的なことか。悪の限りを尽くすウィリアム。寛容でありながらも姦淫を許さぬフィリップ。後半の主役であるジャックも天才肌ながら一癖も二癖もある性格で描かれる。癖のある登場人物たちが織り成す出来事が物語に深みを与えている。
当初、時代考証が甘いのではないか?と感じていたが、あとがきにて著者は敢えて先の時代の事柄を盛り込んだ理由に納得した。
それにしても著者はアリエナに厳しすぎる。次から次に悲劇が襲う。もうちょっと優しくしてあげて欲しかった。それに負けないアリエナは、文学史上に残 -
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上中下というボリュームに加えて、中身が濃い! 親子、夫婦、恋人、師弟やライバルなどのぐちゃぐちゃな人間関係に絡むようにして、陰謀、謀略、殺人、破壊、権力闘争に復讐劇などのこてこてのプロットが幾重にも重なってストーリーを肉付けしている。ドラマに目が行くかと思いきや、大聖堂建設にまつわる現場の息遣いや、信仰に対する独自のスタンスなど、ディテールが細かく、内幕モノとしても読める部分が土台を支えているので、全体的にバランスがいい。
ストーリーは潔く展開し、キャラクター造形もわかりやすい。長い物語ではあるが、大まかな流れは、敵対グループの非情な策略を経て、村と人々が着実に成長していくというもの。登場人 -
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綿密な構成と幾多の伏線が張り巡らされた荘厳な物語。大聖堂という一つの象徴を用いて変化のダイナミズムを描く筆力に圧巻させられる。
本作品を読むうえで読者側にもある程度の素養が求められる。まず12世紀のヨーロッパは現代と大きく異なり、暗黒時代を抜けたイタリアのルネサンス前の比較的後進的大地であった。品位と野蛮が交錯する、前近代的な混沌とした時代であった。そうした時代のなか大聖堂建築を夢見る野蛮な建築職人のトム、品位の象徴でありながら残虐なウィリアム、中立的な聖人と人間的危うさを兼ね備える修道院長フィリップスの対比が見事に冴える。国家と修道院で繰り広げられる権謀術数と、それに翻弄されるトムの姿が、 -
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中世イングランドの世界に一気に引き込まれる。いつか大聖堂を建てたいという夢を抱く建築職人トムや修道院長フィリップ、貴族の親子などその時代を生きるさまざまな身分の人々が登場し、壮大なドラマを繰り広げる。
建築にかかわる描写については正直、さっぱり分からないが、人々の野心、裏切り、愛憎などの物語がおもしろくて、どんどん読み進めてしまった。登場する人物がみな完璧ではなく、なりゆきで罪を犯してしまったり感情にまかせてひどいことをしてしまったり、どこかしら弱い部分を持っているのがいい。
第1巻では、長い流浪の末たどりついたキングズブリッジで、トムが念願の大聖堂建立をはじめるところまで。無事に完成する -
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前作のような派手さはあまりないけど、やっぱり面白かった。
舞台は14世紀のキングズブリッジ。「フィリップ院長の時代が黄金時代」とか「ジャック・ビルダーが…」などといった文言が控えめにちりばめられているのにニヤッとする。今度はキングズブリッジ大聖堂が敵役として登場するのも新鮮。
百年戦争、ペスト大流行の様子やその影響――医療の発達とか荘園制崩壊とか――が相変わらず生き生きと描かれる。登場人物たちの葛藤ももどかしく、感情移入してしまう。一人一人の性格や、問題にあたっての行動に関しては、前作以上の人間らしさを感じた。
最後もきちんと大団円で、ハラハラしつつも安心して読むことができた(除皮剥ぎ