平凡社編集部のレビュー一覧
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「平凡といえばへいぼんだけれど、そこにはどこにもないものがあって、それは1人のわたしのための自由な時間です。つめてすわれば十五人は座れるだろうおおきなオークのテーブルがいくつかあって、すきに自由なところに座って、自分とゆっくりと付き合う。ただそれだけですが、ただそれだけの気持ちのいい時間を、そんなに自由にくれるような街の店は、そうそうほかにない。そうしたいい時間をじぶんに欲しくなったら、わたしは新幹線にとびのって、どこへでもなく、京都のその街の店へゆき、明るい窓際のベンチにすわって、熱いミルクコーヒーをすすりたくなるんです。その店にゆくと、親しい1人の自分に会えるように思える。」
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Posted by ブクログ
おやつには心に響く何かがある。
食べて得られるそれは安らぎ、憩い、愉しみなど。
作家たちによるエッセイや詩、漫画、写真など59篇の、
おやつへの想いや思い出、楽しさを味わえるアンソロジー。
I おやつの美学 II 名店のあの味を
III 菓子はノスタルジィ IV 甘味 いまむかし
著者略歴・出典
かき氷、両親の思い出の玉子焼き、季節の和菓子、
飲むラムネ、チョコレート(グリコのアーモンド)、
サクマドロップスにポッキー、うまい棒、バナナなどの、
過去も現在も懐かしいおやつ。
「竹むら」の粟ぜんざい、浅草の豆かん、京都の和菓子、
実家近くの洋菓子店などの記憶に残る店の味。
日本国内や -
Posted by ブクログ
『おしゃれ』と聞くと、人目にアピールするためにおめかしするとか、盛るという状態を考えがちだけれど、このアンソロジーは話題が驚くほど多岐に渡っている。
そこには、作家たちの生き方そのものがあるように感じる。
【Ⅰ 毎日のおしゃれ】
・柳田國男の、民俗学者らしい「衣」に関する用語と歴史などが辞書のような見出しと説明文で構成されているのが面白い
・悲しいことがあっても、今日は新しい沓下(くつした)を穿いていることを思い出し、気持ちを宥める、田中冬二
・ネクタイに対する疑問を物申す、石原慎太郎。なんの必然性があるのか。衣類に必要なのは、生活のための合理性と生活の美化への装飾性なのだ!
・・・その、 -
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「おしゃれ」をテーマにしたアンソロジー。平凡社のアンソロジー「作家と××」シリーズの一冊。収録されている作家は芥川龍之介や菊池寛から、三島由紀夫や檀一雄といった戦後の作家、村上春樹や川上未映子、村田沙耶香といった現代文学の人、柳田国男や今和次郎、宇野亜喜良、会田誠といった文学以外の人や、長谷川町子や望月峯太郎のような漫画家まで幅広いく、収録されている作品は極短いエッセイの類いでちょっとした隙間時間に読み進めていける。軽めのアンソロジーとしてはすごく良いのではないかと思う。唯一、気になった点をあげるとすれば、出典の記載はあるが初出の情報が抜けてる点であろうか。ファッションの話なので、戦前なのか戦
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犬も猫も好きだけどちょっとだけ犬に軍配が上がるかつて犬と暮らしていた私ですので、どのエッセイも愉しく、胸に沁みました。
好きな作家さんも多く、以前に読んだことがある文にまた出会えて嬉しい。
このシリーズは他にも猫、珈琲、酒、おやつ…とまだまだあるようなので少しずつ読みたいな。
以下好きなエッセイ覚え書き。(一部です)
犬の生まれ変わりに違いないと熱烈に思っている押井守氏、ノラの犬猫を見かけたら放ってはおけない愛情深い米原万里氏、手塚治虫氏による犬が人間のそばにいる理由を描いた漫画、坂口安吾氏がわがまま檀一雄氏のために秋田犬を無心するお手紙、椎名誠氏の犬の系譜と怒りと悲しみの別れ、深沢七 -
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作家や著名人の犬エッセイショートショート。
著名な作家を中心に、漫画家、イラストレーター、映画監督など、著名人が犬について書いたエッセイ集です。犬との出会い、犬との思い出、別れなど、テーマ別にまとまっていて読みやすかったです。が、それぞれが短いということもあってなかなか頭に残りませんでした。印象的なエピソードは、椎名誠のお母さんのトラウマ級の非道で、そんなことされたら僕も一生恨むだろうなあ、と思いました。あとは彫刻家の舟越保武さんの章や、寺山修司の話もよかったです。いせひでこさんのイラストエッセイはほんわかしました。うんうんそうだよね、犬ってそういうヤツだよね。
しかし全体的には昭和が中心の