平凡社編集部のレビュー一覧
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匿名
ネタバレ 購入済み本選びの参考に
自分の知っている本も、知らない本も、両方挙げられていて読書本選びの参考になりました。今の世の中がデジタル時代になったとはいえ、まだまだ書籍のニーズはあるのだと思います。
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Posted by ブクログ
「平凡といえばへいぼんだけれど、そこにはどこにもないものがあって、それは1人のわたしのための自由な時間です。つめてすわれば十五人は座れるだろうおおきなオークのテーブルがいくつかあって、すきに自由なところに座って、自分とゆっくりと付き合う。ただそれだけですが、ただそれだけの気持ちのいい時間を、そんなに自由にくれるような街の店は、そうそうほかにない。そうしたいい時間をじぶんに欲しくなったら、わたしは新幹線にとびのって、どこへでもなく、京都のその街の店へゆき、明るい窓際のベンチにすわって、熱いミルクコーヒーをすすりたくなるんです。その店にゆくと、親しい1人の自分に会えるように思える。」
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Posted by ブクログ
「山は如何に私に影響しつつあるか」
田部重治『作家と山』(平凡社)を読む。
またしても三層構造だ。自分論的三層
なのだ。
雑誌「山と渓谷」の名前が田部の
『新編 山と渓谷』から採られた話は有名だ。
「私の山に対する感情を大体三段に
まとめることが出来ると思う。
第一は山を憧れながら山に恐怖を
感じた時、第二は山が自己であり
自己が山であると感じて、
その自己というものの考え方が
ごく狭い小さな自己を意味していた時、
第三には自己は狭い自己を超越した自己
であるということを考えるように
なった時である」
と影響の度合いが相互的に深まっていく。 -
Posted by ブクログ
おやつには心に響く何かがある。
食べて得られるそれは安らぎ、憩い、愉しみなど。
作家たちによるエッセイや詩、漫画、写真など59篇の、
おやつへの想いや思い出、楽しさを味わえるアンソロジー。
I おやつの美学 II 名店のあの味を
III 菓子はノスタルジィ IV 甘味 いまむかし
著者略歴・出典
かき氷、両親の思い出の玉子焼き、季節の和菓子、
飲むラムネ、チョコレート(グリコのアーモンド)、
サクマドロップスにポッキー、うまい棒、バナナなどの、
過去も現在も懐かしいおやつ。
「竹むら」の粟ぜんざい、浅草の豆かん、京都の和菓子、
実家近くの洋菓子店などの記憶に残る店の味。
日本国内や外国での旅の思い出。
いつまでも脳裏に残り、郷愁を、家族を思い出させてくれる
様々なおやつが存在感を持って文章や作品を彩っています。
スコーンを作る、長田弘。
熱くゴマしるこのレシピを語る、平塚らいてう。
正岡子規の、菓子パンの絵。
芥川龍之介の特注の和菓子。
深沢七郎が店主の今川焼き屋。
寺田寅彦による物理学からの金平糖。
文豪から最近の作家まで、それぞれの個性で描くおやつの話が
面白く、かつ、おやつが食べたくなってしまいます。 -
Posted by ブクログ
『おしゃれ』と聞くと、人目にアピールするためにおめかしするとか、盛るという状態を考えがちだけれど、このアンソロジーは話題が驚くほど多岐に渡っている。
そこには、作家たちの生き方そのものがあるように感じる。
【Ⅰ 毎日のおしゃれ】
・柳田國男の、民俗学者らしい「衣」に関する用語と歴史などが辞書のような見出しと説明文で構成されているのが面白い
・悲しいことがあっても、今日は新しい沓下(くつした)を穿いていることを思い出し、気持ちを宥める、田中冬二
・ネクタイに対する疑問を物申す、石原慎太郎。なんの必然性があるのか。衣類に必要なのは、生活のための合理性と生活の美化への装飾性なのだ!
・・・その、生活の美化への装飾性、の方に該当すると思うのだけれど?
【Ⅱ お気に入りの逸品】
女の人の腕時計は、指輪や首飾りより、何よりも美しく腕を美しく見せるという、室生犀星。そういえば、私も、時計屋の前を通るたびに腕時計をはめた北川景子の白い腕を、美しいなあと思っていたのだった。
レインコートを羽織るだけでもロマンチック、って森茉莉。美少年に似合うレインコートって、どんなのだろう?
【Ⅲ とっておきのよそいき】
・芥川賞の授賞式に着て行った、黒い勝負ドレスを語る村田沙耶香。微笑ましい、これからも応援したい。
・服装についての随筆の依頼が自分に来たことにまず驚く檀一雄。旅行中は、その国の服がいちばん風土に合う。
【Ⅳ こだわりの着こなし】
・着ていくと必ず大雨に見舞われる銘仙の着物があった太宰治。大雨に難儀する周りの人々の中で、「きっと私の着物のせいですごめんなさい」と心のうちで謝り、ひたすら肩身を狭くする。こういうところが「らしくて」可愛いと思えてしまう。
・「映画の中のシャツ」宇野亜喜良。名画語りがすてき。
【Ⅴ 夢に見たあのスタイル】
・一高の学生たちの夏帽子に憧れて、ついには買って、避暑地へ行ってかぶってみる。日光でのひと夏の出来事。萩原朔太郎の「夏帽子」は美しすぎる短編小説。
【Ⅵ 流行りを楽しむ】
・流行は10年で一巡りするという。深く考えずに10年前にあつらえた帯を締めて行ったら、友人にあら(流行を取り入れるのが)早いわねと言われた、岡本かの子。
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明治期の作家は、まだ和服で生活していた人も多い。
洋装を取り入れることに対する慎重な視点もある。
流行を取り入れたり、誰かに憧れて真似したいと思ったり、あるいは好みの反物(や洋服)を見つけた時に、そこに目をつけたセンスは良いのだが、自分に似合うのかよく考えてみたほうがいい・・・と言う意味のことを、複数の人たちが言っていた。
同感であり、肝に銘じたい。
服飾というものは、実はとても奥深いものだ。 -
Posted by ブクログ
「おしゃれ」をテーマにしたアンソロジー。平凡社のアンソロジー「作家と××」シリーズの一冊。収録されている作家は芥川龍之介や菊池寛から、三島由紀夫や檀一雄といった戦後の作家、村上春樹や川上未映子、村田沙耶香といった現代文学の人、柳田国男や今和次郎、宇野亜喜良、会田誠といった文学以外の人や、長谷川町子や望月峯太郎のような漫画家まで幅広いく、収録されている作品は極短いエッセイの類いでちょっとした隙間時間に読み進めていける。軽めのアンソロジーとしてはすごく良いのではないかと思う。唯一、気になった点をあげるとすれば、出典の記載はあるが初出の情報が抜けてる点であろうか。ファッションの話なので、戦前なのか戦後なのか、戦後でも60年代なのか70年代なのか、その作品が何時書かれたものなのかというは(まぁ、作者の活動時期と内容から大体のところは見当が付くかもしれないけれど)重要なので、その情報が欠けているというのは気になった。
あと、選者が編集部ということか、収録作が多いためか、「解題」がないのも淋しい。選者による解題はアンソロジーを読む楽しみの一つだと思う。
収録作の中では、戦前の詩人である田中冬二の「新しい沓下」という詩が良い。
> 今日私は新しい沓下を穿いているのだと/その感情がわずかに悲しい心を/制してくれる
この新しい沓下の持つ特別な感じが好きだ。子供の頃、大晦日の夜に開けた正月に着るために買った晴れ着とまではいかないがまだ袖を通していない新しい服を一揃い枕的に畳んで眠りにつくあの時の高揚感を思い出す。
あと、久しぶりに読んで、森茉莉と川上未映子の文章の気持ち良さを再確認した。 -
Posted by ブクログ
犬も猫も好きだけどちょっとだけ犬に軍配が上がるかつて犬と暮らしていた私ですので、どのエッセイも愉しく、胸に沁みました。
好きな作家さんも多く、以前に読んだことがある文にまた出会えて嬉しい。
このシリーズは他にも猫、珈琲、酒、おやつ…とまだまだあるようなので少しずつ読みたいな。
以下好きなエッセイ覚え書き。(一部です)
犬の生まれ変わりに違いないと熱烈に思っている押井守氏、ノラの犬猫を見かけたら放ってはおけない愛情深い米原万里氏、手塚治虫氏による犬が人間のそばにいる理由を描いた漫画、坂口安吾氏がわがまま檀一雄氏のために秋田犬を無心するお手紙、椎名誠氏の犬の系譜と怒りと悲しみの別れ、深沢七郎氏と中上健次氏による対談、辻まこと氏のタヌキとイヌの合いの子イヌキ?の話、種田山頭火のどうしようもない日記、クラフトエヴィング商會による可愛い垂れ耳の犬のイラスト!梨木香歩氏が愛犬と一緒にボルゾイ2匹と闘う話、鴨居洋子と鼻吉一号、二号、寺山修司氏とジル、川端康成氏のちょっと時代錯誤なでも面白い愛犬家心得。