菊澤研宗のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ダイナミックケイパビリティ論の紹介と、それを成功した日本企業に適用しての分析。この理論自体初めて知ったので勉強になった。
企業にはオーディナリーケイパビリティとダイナミックケイパビリティの2つがあり、後者は環境の変化を感知してオーディナリーケイパビリティを再構築、再配置、再編成する能力のことである。
合理的な失敗「不条理」は個別合理的全体非合理、効率的不正、短期合理的長期合理があり、日本の組織が実際に陥ったものとして日本軍の白兵突撃パラダイムに代表されるパラダイムの不条理があり、回避する方法として取引コストの節約とダイナミックケイパビリティによる付加価値の向上がある。
ダイナミックケイパビリテ -
Posted by ブクログ
ネタバレ失敗から学ぶことは多々あり、それが戦時のことであれば、生死をかけた戦略や行動であるために、更に学ぶべきことは多いと考える。ただし、完ぺきな人間などいるはずもなく、限られた情報の中で、限定合理的に行動した結果であることを念頭に置く必要がある。
・ウェーバーの価値自由原理である、ヒト/モノ/カネを効率的に利用できているかという効率性の問題と、価値の問題は分けて考えるべきというのはなるほど。そして、効率的なものが常に正当であるということにはならないというのも納得である。
・戦時において、成功した体験は、なかなか否定できない。実績が一度伴うと、それに寄りかかってしまう。必要な時には自己否定ができる -
-
Posted by ブクログ
企業が持つ2つの能力を其々オーディナリー・ケイパビリティ(通常能力)とダイナミック・ケイパビリティ(変化対応可能な自己変革能力)と分け、世界的に成功した富士フィルム、ソニー、YKK等を例にこれら企業がどの様にダイナミック・ケイパビリティを発揮し、ライバル企業であるコダック、任天堂、中国メーカーに対して市場から撤退させたり、シェアを逆転したりしたかが解説された本です。私も小学生の時は任天堂のファミリーコンピューターで遊んでいましたが、その後、ソニーのプレイステーションに流れた一人なのですが、当時ゲーム業界ではこんなに激しいやり取りがあったのかと感心致しました。
-
Posted by ブクログ
旧日本軍の戦略について、次元限定ではありつつも、理詰めで肯定する人ってなかなかいなかったよなぁ。いや、日本軍そのものを称揚しているわけでもないんだけど。戦略というものを物理的世界、心理的世界、知性的世界にわけてとらえる。その流れでいくと米軍は圧倒的に物理的世界、日本軍は極端な心理的世界に依拠した戦略をたてていた、ということになるのだろう。生き残っていくためにはどれかひとつに絞るのではなく、三つの次元を統合したキュービック・グランド・ストラテジー(CGS) が必要、と説く。
孫子や戦略論をあらわしたクラウゼヴィッツ、歴史上の武将であるハンニバルやナポレオンなど、さまざまな事例を用いてわかりやす -
Posted by ブクログ
リソース・ベースト・ビューをよりダイナミックな形に展開したのが「ダイナミック・ケイパビリティ」論なのだけど、結構、難解な議論が多い気がしている。
そういうなかで、日本企業への適用という観点を踏まえた入門書がこうしてまとまったのは嬉しい。
「ダイナミック・ケイパビリティ」論は、経済学における組織の経済学(ウィリアムソンなど)の取引コスト論を乗り越える形の理論となっていて、進化論などの考えも踏まえたものとなっている。
その基本的な主張は、シュンペーターやドラッカーが言っていたことと同じなのかな?ドラッカーとかは、定量的な議論、ロジカルな理論はあまりなく、現実の深い洞察によってある種のアートと -
Posted by ブクログ
2012年7月に書かれた本で、1984年に書かれた「失敗の本質」に対して多面的な検証とさらなる考察が実施された本、「失敗の本質」はずっと読みたかった本なのですが、まだ読めておらず、先に新しい版を読むことになりました。
相応の歴史知識や、太平洋戦争時代の人物像に関する情報がもともとないと、やはり難解であるとは思うが、それなりに長い間勉強してきてから読んだので、僕にはさらに造詣が深まったと思う。
『戦場のリーダーシップ』という観点では、僕もこれまでいくつか勉強してきてましたが、「キスカ撤退の木村」や「組織人になれなかった天才参謀 石原莞爾」、「独断専行はなぜ止められなかったのか 辻 政信」など -
-
Posted by ブクログ
日本が大東亜戦争で敗戦したことは知っていても,なぜ負けたのかということまでは,なかなか歴史の授業で学ぶことはないと思います。
敗戦の原因はどこにあるのか,将来にいかすべき教訓は何かということを研究したのが本書です。
文章が読みにくいということはありませんが,出来事や人物に馴染みがないので,やや読み進めるのに苦労しました。
私は自分の仕事や生活にどう活かしていくかということを考えながら読みました。
本書を読んでの私なりに得た教訓ですが,
・成功体験ばかりでもそのことだけに囚われて,視野が狭くなってしまい,そのことが大きな失敗を招く。それゆえ,失敗も貴重な経験。
・帰納的思考を大切に。経験か -
Posted by ブクログ
ガダルカナル戦、インパール作戦と言えば、「失敗の本質」以来、様々な戦史において徹底的に批判されてきた。曰く、敵戦力の軽視、戦力の逐次投入、補給を無視した作戦計画・・・。現在の視点から戦史を語る場合には、敵味方双方の完全なる情報を得ているので、「合理的に」ああすれば良かった、こうすれば良かったと自由に批判を加えることができる。しかしながら、敵の情報が入らない戦時下において、しかも味方についても客観的な評価が難しい状況で、そんな完全合理性を踏まえた判断ができたのか。筆者は「限定合理性」をキーワードに、これらの戦史を読み解いていく。
筆者はガダルカナル戦には「取引コスト」、インパール作戦には「エー -
Posted by ブクログ
「組織の不条理」と類似したテーマだが、インパール&ガダルカナルだけでなく、ペリリュー、ノモハン、ミッドウェー、レイテへとケースが増えている。
また、プロスペクト理論を用いている点が新しく、インパールでプロスペクト理論を適用している点が新しかった。
今回のケースを自分なりに分類すると、以下のとおり。
良いペリリュー中川→現場が本部より「現実を理解」していたことが勝因
悪いノモハン辻→既存の「組織文化を追求」したことが敗因
良いミッドウェー山口→現場が上司より「専門性」を有していたことが勝因
悪いレイテ栗田→「判断ミス・勘違い」が敗因
したがって、命令違反が許容されるケースというのは -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ確かに例が長めだけれど、内容的にも分析の切り口が面白いし、とても納得感のある分析結果だった。確かにおすすめ。軽めなのでさくっと読める。
上海出張でたまたま出会ったIさんから薦められた本で、アジャイル開発におけるチームビルディングの考え方の論拠になる、という形での推薦だったけど、それもさることながら、システムズアプローチのシステム思考の哲学や場作りの論旨などに近いものを感じて、ちょっとしたアハ体験をした。
自分の理解では、全体として題のとおり組織論が論旨にあり、効率と利益の2軸について人間は完全合理性ではなく、限定合理性を持つ不完全なものであるという前提をもって「行動経済学」と「法の経済」の論理 -
Posted by ブクログ
現・慶應義塾大学商学部教授の菊澤研宗による戦略論。
【構成】
序章
第1章 旧陸軍将校・山本七平と孫子の思想
(1)旧日本軍は 戦略的に誤っていたのか
(2)『孫子』の本質
第2章 「戦略の不条理」発生のメカニズム
(1)戦略研究とは
(2)経営の世界から見える世界の変化
(3)ポパーの多元的世界観
(4)多元的世界と「戦略の不条理」
第3章 クラウゼヴィッツと物理的世界の戦略論
(1)クラウゼヴィッツの生涯
(2)クラウゼヴィッツの戦略思想
(3)物理的世界の経営戦略と「戦略の不条理」
第4章 リデル・ハートと心理的世界の戦略論
(1)リデル・ハートの世界観と人間観