朽木祥のレビュー一覧
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繁内理恵さんの『戦争と児童文学』でくわしく紹介されていて、まだ読んだことがなかったので。
さまざまなバージョンがあるようなのだけど、単行本に2編足したこちらの電子版を読みました。
その日に起きることはだれもが知っているけれど、そこにはひとりひとりの事情があり、状況があり、けれどもそれがすべて「○十万人」という数字で述べられるだけの圧倒的な暴力の前になぎ倒されていく。すさまじいことだ。
生きのこった者がまるで加害者のように自分を責め続ける「水の緘黙」がいちばん胸に迫ってきて何度も涙がこみあげた。
「あなたでも私でもよかった。焼かれて死んだのも、鼻をもがれたのも、石に焼きつけられたのも。あな -
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以前からお友だちに勧められ、いつか読もうよもうと思いながら、ようやく読む機会が到来しました。
こんな素敵な作品を、スルーしなくて良かった!!!!!
ひとりぼっちの河童八寸と、お母さんをなくしたさみしさを、父の手前うまく表現できずにいる女の子麻。
麻はお母さんからもらった愛でできている、とっても素敵な女の子。何が大切なのかたぶん誰よりも知っているけど、そのことを麻自身はまだきづいていないね。
八寸は、家族がある日消えてしまい、その帰りを信じて待っている、たった8歳のこども河童。沼で生き残っていくために、猫の姿になって人間の世界に修行に出された。
この2人の出会いの前に、情けない顔のラブラ -
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5年教科書掲載本
恥ずかしながら、「被爆」と「被曝」の違いを知りませんでした。
ヒロシマ、そして原爆のことだけでなく、戦争そのものについても書かれていたので、一人でも多くの人に読んでほしい本。
息子を特攻で失くした母親から、息子が好きだった女性の娘さんへの手紙ー
「どうか、あなたたちの世代が生きる世界が平和でありますように。自由な心を縛る愚かな思想が、二度と再びこの世界に紛れこみませんように。健やかに成長され、生を全うされますように。」
そして、ホロコーストの研究者たちが訴え続けているという言葉ー
「加害者になるな。犠牲者になるな。そしてなによりも傍観者になるな」
自分にも -
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ネタバレ鎌倉を舞台にした歴史がらみのファンタジー。
鎌倉ならあり得るかもと思わせてくれる。
代々伝わる古い屋敷での親元を離れた夏休み、と大枠は非常に古典的。というか、あちらの世界との行き来や導き手である謎の白猫も含めて、舞台設定は全体的に古典的かもしれない。でも、何か心をつかまれて、最後のほうは一気に読んだ。
謎に迫っていく過程もかなりぐるぐるしていて、けっして鮮やかとはいえないし、大おじさんがいろいろ知ってそうなら、もっと早くきいてみればいいのに、なんて言いたくもなったけれど、夢か幻のようなことを正面切って訊くには、それなりの人間関係ができなくてはならない。バカにしないで話を聴いてくれる人だとい -
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ネタバレ亡くなった方を「悼む」とはその人のことをいつまでも忘れずに、ずっと心に想い、伝えていくということ。
この本は、中学生の主人公の希未(のぞみ)とともに、あの日ヒロシマで無残に命を奪われた無辜の民(天災を受けた罪のない人々)に想いを馳せる物語です。
美術部員として、あの日の記憶を作品に込め語り継いでいこうとする希未は、あまりの悲惨さに口をつぐみ、心を閉ざした周囲の被爆者の声にふれることになります。
献辞文の「世界中の小山ひとみさん」とは、ある日突然、大切な我が子を失くしてしまった世界中のお母さん達のこと。そのやり場のない悲しみと一生癒されることのない悲しみを想うと涙が止まらなくなります。 -
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ネタバレ美術部に入っている希未は、お墓参りの帰りに、顧問の吉田先生の姿を見かけます。学校で見る先生とは違った後ろ姿だったのが気になりました。後日、先生の婚約者がピカに合い、遺骨は見つからず、櫛だけが残った話を聞きます。
そして自分の周りには、知らない話がまだあることに気づきます。
美術部で一緒の俊と、文化祭で「あのころの廣島とヒロシマ ~聞いてみよう、あなたの身近な人のあの日のことを~」のテーマで作品を作ることにします。
希未は、吉岡先生の婚約者聡子の物語やお母さんの昔好きだった人との思い出。俊は原爆ドームをモチーフにした絵と、子どもが被爆して帰って来なかった須藤さんの物語の彫塑に。友人の耕造は、先