【感想・ネタバレ】光のうつしえ 廣島 ヒロシマ 広島のレビュー

あらすじ

真夏の夜、元安川に、人々は色とりどりの灯籠を流す。光を揺らしながら、遠い海へと流れていく――。68年前の8月6日。広島上空で原子爆弾が炸裂した。そこに暮らしていた人々は、人類が経験したことのない光、熱線、爆風、そして放射能にさらされた。ひとりひとりの人生。ひとりひとりの物語。そのすべてが、一瞬にして消えてしまった。朽木祥が、渾身の力で、祈りをこめて描く代表作!第63回小学館児童出版文化賞受賞作。

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自分が被爆何世なのかは分からない。
それほど時間が経ってしまっているということがわかる。
そのような現代において、【被爆二世】の話を読むことは、意味のあることのように感じた。

【被爆】と【被曝】

【被爆二世】と【被曝者】

文化祭というきっかけから、子供達が自分なりにまとめていこうとする姿は、心に響くものがある。
作者もまた、被爆二世。
そこが、またリアリティをかもしだしている。

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2022年08月07日

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5年教科書掲載本

恥ずかしながら、「被爆」と「被曝」の違いを知りませんでした。

ヒロシマ、そして原爆のことだけでなく、戦争そのものについても書かれていたので、一人でも多くの人に読んでほしい本。


息子を特攻で失くした母親から、息子が好きだった女性の娘さんへの手紙ー

「どうか、あなたたちの世代が生きる世界が平和でありますように。自由な心を縛る愚かな思想が、二度と再びこの世界に紛れこみませんように。健やかに成長され、生を全うされますように。」


そして、ホロコーストの研究者たちが訴え続けているという言葉ー

「加害者になるな。犠牲者になるな。そしてなによりも傍観者になるな」


自分にも周りにも言い続けたい。

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2020年12月28日

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ネタバレ

これは映画にしてほしいなぁ。ヒロシマの高校生が身近にいる大人の痛みにふれて成長していく物語。大人たちも高校生の表現に癒されて、新しい歩みを進めて行く様子が清々しい。読みながら、いろいろな情景が描けて、私の大切な一冊になりました。

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2019年08月28日

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ネタバレ

亡くなった方を「悼む」とはその人のことをいつまでも忘れずに、ずっと心に想い、伝えていくということ。
この本は、中学生の主人公の希未(のぞみ)とともに、あの日ヒロシマで無残に命を奪われた無辜の民(天災を受けた罪のない人々)に想いを馳せる物語です。
美術部員として、あの日の記憶を作品に込め語り継いでいこうとする希未は、あまりの悲惨さに口をつぐみ、心を閉ざした周囲の被爆者の声にふれることになります。

献辞文の「世界中の小山ひとみさん」とは、ある日突然、大切な我が子を失くしてしまった世界中のお母さん達のこと。そのやり場のない悲しみと一生癒されることのない悲しみを想うと涙が止まらなくなります。

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2019年07月16日

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ネタバレ

美術部に入っている希未は、お墓参りの帰りに、顧問の吉田先生の姿を見かけます。学校で見る先生とは違った後ろ姿だったのが気になりました。後日、先生の婚約者がピカに合い、遺骨は見つからず、櫛だけが残った話を聞きます。
そして自分の周りには、知らない話がまだあることに気づきます。
美術部で一緒の俊と、文化祭で「あのころの廣島とヒロシマ ~聞いてみよう、あなたの身近な人のあの日のことを~」のテーマで作品を作ることにします。

希未は、吉岡先生の婚約者聡子の物語やお母さんの昔好きだった人との思い出。俊は原爆ドームをモチーフにした絵と、子どもが被爆して帰って来なかった須藤さんの物語の彫塑に。友人の耕造は、先生をしていた澄子とその生徒6人の物語を。

文化祭当日、美術部以外にも公募した作品が並びました。希未たちは、原爆を受けた人たちに色々な物語があることを改めて知ります。真に悼むこと「大切な人の死を受け入れて見送ること、心に刻むこと」を続けていこうと思うのです。

文中に出てくる短歌は、愛する人を失った気待ちに沿うものて、同じ想いを抱いている人が他にもたくさんいたことを、知らせます。

吉岡先生が言うように、私たちは子どもたちに、この事実をきちんと伝えなくてはいけません。この本のように、当時のことを静かに、でも決して繰り返してはいけないという強い想いを伝えてくれる人は、周りからどんどんいなくなっています。私自身、祖父母や両親から聞いた話をきちんと伝えられるかは、わかりません。
だからこそ、こういった本を読んで欲しいと思うのです。

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2014年09月09日

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鎮魂の書であり、戦争を知らない世代にも平和への思いを強くさせてくれる本。これは読み継がれなければいけない。

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2014年01月24日

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朽木さん、またヒロシマの本を書かれたのだな、と思い手にとる。
前読んだのはその当日のおはなしだったが、
今回はあれから25年。
被爆2世の時代のはなし。

希未は毎年の行事である灯篭流しの夜、1人の老婦人に声をかけられる。
あの日、多くの人が、一瞬で消えた。
誰かを探している人が広島にはたくさんいるから、という言葉。
お墓参りでみかけた美術の先生。
いつものように起きて、ご飯を食べて、学校に行って、家族のいる家に帰る。そんなあたりまえの日常が、ある日突然途切れてしまった人たちが
自分のすぐそばにいるのだと、気がついた希未たち。
平和学習として、知識として知るんじゃなくて、実感としてあの出来事を
受け止めていく中学生たちが、どうか忘れないように、という祈りとともに描かれている気がする。

日本人は哀しみを1人で抱え込んでしまいがちなんではないかと思う。
自分がどう思うかと、人に伝えるのが下手、というか。自分の感情を
表に現すのは恥ずかしい、というような。
それに、あまりに恐ろしすぎて伝えていいのか分からない、というのもあるのかも。
そうして忘れて、水に流してしまえばなにもなかったようになる。
それは、いい面もあれば悪い面もあって、戦争に関してはきっと悪い面が
でてるんじゃないかと思う。
忘れてしまえば、なかったことになってしまえば、もう一度、同じことが起きるかもしれない。
そうならないために、忘れるな、忘れるな、と、誰かが言い続けなければならないんだろう。
美術や音楽は役に立たないから、先に死ね、と言われるような、
国のために、大切な人を守るために、という、綺麗な言葉にくるまれて、
若い命が犠牲になるような、そんな時代がもう一度やってこないように。

作中の短歌は、実際にあの当時詠まれたものみたいだ。
巻末に、作者もしくはご家族の方に連絡を頂きたいという一言が添えてあって。ああ、本当に、そんな気持ちで戦後を生きた
たくさんの、吉岡先生や須藤さんや堀田さんがいらしたのだろうなあ、と。

加害者にも被害者にも、そして傍観者にもなるな、か。
はあ、そうだ。傍観者もだめなんだよ。
でもなあ、実際、なにをどうすればいいのか。
秘密保護法なるものもあっという間に国会をとおってしまうし。
通る前はぎゃーぎゃーいってたマスコミも通ってしまえば、その後の
報道は殆どないし。まあ、あの自民圧勝の時に、こうなることは
分かっていたと思うのだが。なぜああもみんな雰囲気に流されるのか。
美しい国、とか政治家が口にするとなーんか胡散臭いんだよなあ。
とりあえず選挙には欠かさず行ってるんだが、
いまだかつてあの流れに打ち勝てたことがないような気がする・・・・。

当たり前の日常が当たり前に続いていく。
そんな未来があればいいのだが。
いや、願うだけでは、だめなのか。

とりあえず、この本は読むべし。

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2013年12月19日

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ヒロシマ、その後の物語。かの地に住む人たちの思い、感覚、垣間見られて良かった。中学生たちの素直な気づきと優しさにほっとする。

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2021年04月29日

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図書室に新しく買い入れた一冊だったので、試し読みのつもりでページをめくったのに、途中で本を置けなくなり、最後まで読んでしまった。
同じように原爆をテーマにした『八月の光』も読んだが、こちらもとても感動した。
文章表現が豊かで、情景が本当に美しく思い描かれることのできる、稀有な作家さんだと思う。

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2019年09月13日

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戦争や原爆の様々な側面をうまく取り上げながら読みやすい話に仕上げている。子どもにもよく伝わると思う。

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2014年09月16日

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心にしみわたるような物語だった。この物語は「事実」から織られた物語で、悲しみや痛みは隠れていてなかなか見ることや知ることはできないけれど、「戦争」という行為は戦い自体が終わる事はあっても、そこから生まれてしまったもの(悲しみや痛みや憎しみ)はどれほど長い年月がたっても癒えるものではないのだ、ということでしょうか。けれども、それは人の思いによって救われることもある、という部分に、暗闇の中に浮かぶ燈籠の光を感じました。戦争はいけません、絶対に。

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2013年11月02日

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『加害者になるな、犠牲者になるな、そしてなにより傍観者になるな。』
とても難しい言葉だ。みんな何かに当てはまるんじゃないか。そう、大多数が傍観者に…。そして無辜の民は戦争に巻き込まれていく。ヒロシマだけじゃない、世界のあちこちで。やはり歴史を知ることは大切だなあと強く感じた。

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2022年12月03日

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主人公の学校で原爆について発表することになった。担任の先生が長い間いなくなった。原爆の病気になったんじゃないかと思った。原爆はいけないと思った。

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2016年11月23日

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戦後25年経った広島の話。
「もはや戦後ではない」時期ではあっても、人々の心には深い傷跡が残っている。
第二世代が生まれ育つ中、戦争を体験した人々の記憶を、どう受け継いでゆくのか。
身近な人の、知らなかった悲しみや後悔。
戦争を繰り返してはいけない。

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2016年07月13日

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朽木祥の作品は、原爆を描くものと、そうでないものにわかれるが、そうでない方ができが良いように感じる。
被爆二世として原爆のことを若い人に知ってほしいという気持ちは通じるし、その姿勢も立派だと思う。
でも、実際に被爆した原民喜や峠三吉ほどの胸を貫くような痛み、苦しみ、悲しみは感じない。
やはり「二世」だから、伝聞という感じ。主人公が原爆の犠牲になる『彼岸花はきつねのかんざし』ですら、どこかよそよそしい感じがした。
『八月の光』もこれも、読むに値する作品だとは思うけれど、これを読んだだけで、反戦の意思を強く持たせるほどのものでもないように思う。
反戦より、毎日を後悔しないように生きよう、というメッセージの方が伝わる。それはそれで悪くないが。
日本人も加害者だったことを考えれば、手放しで「無辜の民」と言えるのだろうか。
朽木さんには直接原爆を書かずに、読み手が心の底から反戦・反核を決意するような作品を書いてほしい。

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2014年09月15日

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広島の中学に通う美術部の生徒たちが、文化祭に出展する作品にまつわる物語。
生徒たちは、戦争、原子爆弾を経験した身近な人々に刻まれた物語を知ることになる。今日、その人と別れるときに「今日も明日も元気で帰ってくると信じとるけえ、きついこともいえる訳じゃ」 そして、そのまま別れてしまったひとたちは、「今でも待ってとる、いうことじゃ」
原爆のみ反対という物語では無い、戦争反対と声高に言う物語でもない。そういうことは、人々に永く続く悲しみを残すだけと静かに語りかけられているような気がする。中学生の頃、同じ目線のころ本書を読んだら、あの頃どう思っただろうかな?と思った。
「今日も明日も元気で帰ってくると...」戦争でなくても、それが儚いものだとわかっているなら、ただ生きるな 善く生きよ。

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2013年11月20日

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