あらすじ
村雲達6人のクルーメンバーは、そう裕福でない日々の中で捻出した費用で、念願の新艇を手に入れる。早速、三日月島をスタートに開催される外洋ヨットレースへの参加を揚々と決める。小笠原諸島近くのその島には申し分ないサービスを提供するホテルがあり、ヨット乗りには夢のような島だった。盛り上がる「大きな少年」たちを、時に辛辣な言葉をかけながらも温かく見守る家族や恋人たち。唯一の懸念は、きな臭い世情不安だけだった。メンバーの一人である諸橋は物理学を専門とし、政府のあるプロジェクトに加わっていたのだ。独身を通してきた村雲は、お礼セーリングに美しい女性輝喜を互いの愛犬二匹とともに連れてきた。若くてフリーターの洋平はシングルマザーとの交際を真剣に考え、ベテランの相原は自分の体力と人生の限界を感じていて、メンバーそれぞれがそれぞれの思いとともにレースに向かおうとしていた。準備のために三日月島に先入りしていたメンバー、しかし合流するはずの諸橋や家族たちが当日になっても到着しない。本人たちの携帯も通じない。やがて一切の通信も凍ってしまい……。世界で何が起きているのか? ――切ない、心に迫る、ディストピア小説。
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Posted by ブクログ
公開されている粗筋と、途中途中で挟まれる不穏な世界情勢のニュースで、結末は予測できた。が、好きなことに打ち込む一人一人と彼らを取り巻く家族を知るにつけ、そんなはずはないと、そんな結末でいいはずがないと、ページをめくる手が鈍る。
現実の世界と重なり、自分たちの未来を見る思い。どこでどうすれば避けられるのだろう。もうターニングポイントは過ぎてしまったのだろうか。
Posted by ブクログ
読まなきゃ良かった、と思うほど現実的な恐さのある話だった。
もし同じような状況に陥ったとしたら、きっと首を振った老人のように家から動かずここで終わりたいと思うだろうな。
それから人々がどうなったのか、わからないままページが終わるけど、少しも良い未来は想像できなかった。これから嫌でも関連のニュースや話題が目につくんだろうなぁ
Posted by ブクログ
前半と後半で全く気持ちが変わる。反転だ。
平和ボケじゃないのか?!と、どやしつけられた。
出来れば、前半のストーリーが最後まで続けば良かったな
Posted by ブクログ
ミサイル攻撃がなくても、地震国に暮らしている以上、常に危機にはさらされているはずなのだけれど、どこか他人事のように感じている(そうでなければ生きていけないとも思うけれど)。
「我々がやってきたことの報いだな…歴史にも学ばず、警告にも耳を貸さず、現実に起きていることに目を閉ざしてきた、その結末ということか」
"この世にはまだ―よりよいことを選択しながら生きて行く可能性が残されている"
「―結局、我々は『よりよいこと』を選択せずに、ここまで来てしまったのだ。」
地震のような不可避のことはともかく、戦争のような人的なことで世界が滅ぶことのないように、と改めて思いました。
Posted by ブクログ
今の世に警鐘を鳴らしたかったのかなあ。
これはこれでよかったけれど、何も起こらず、ただ単純にヨットレースをする彼らの物語を読んでみたかったかも。
Posted by ブクログ
問題意識が大きすぎて・・・
楽しいヨットの話かと思ったら・・・
途中、ひっかかるところがいくつもあって「あれっ」って感じではあったのだけれど、
最後が厳しすぎて・・・
後は自分で考えろってことか・・・
小説としてはもう少し違った終わり方はなかったんだろうか。
Posted by ブクログ
船と海に魅了された男たちと、世界情勢。
ヨットレース出場に向けてそれぞれが日程を調整しながら、日々準備を進めていく6人。
自営業の村雲、最年長の相原、公務員の三好、研究者の諸橋、IT企業の研人、ヨットニートの洋平。
それぞれの家族と共に、思い出深いヨットレースになるはずだった離島で知ったのは、
突然おきた核兵器による攻撃で壊滅的被害を受けた日本、
混乱する世界と途切れる情報。
大好きな船と海と、希望を抱えて本土に向かう決意。
まさか核攻撃受けちゃうとは、平凡なヨットレースの話だと思ってたら、あらまあ。
危機感の薄い平和ボケしている身としては、
最後があまりにも唐突に感じたけど、未来は誰にもなんとも、ね。
Posted by ブクログ
事が起こるまでが長いというか、事が起きてからが短いというか、事が起きそうな部分からがもう少し膨らんでいると、もっとリアリティがあるような気がしました。それでも怖さは伝わりました。
Posted by ブクログ
紹介で「デストピア小説」と聞いていたので、分かった上で読み進める。へー、こういうのをデストピア小説というのか。
風景描写が丁寧で、登場人物の海とヨットへの愛が良く分かる。一人ひとりは、感情移入するほど描かれているわけでもないが、魅力的に書かれており良いチームだな、と思わせる。村雲と女性(名前忘れた)については綺麗過ぎるというかできすぎてるというか、そんな二人なかなかいないでしょう、というかで、なんだか現実味もなく小説の中でのおさまりも悪いのでは?と思ったのは私が意地悪いのでしょうか笑。
最近書かれた小説だからか、今の日本の状況に合っていてあり得ない事ではない、という点でも興味持って読める。テンポも良く、登場人物の会話も楽しく、たまにこういう本もいいな、と思った。