山口周のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
リーダーシップに対する考え方が大きく変わった。
本書では、リーダーシップはリーダー個人の能力や資質ではなく、周囲との関係性の中で生まれる社会現象だと捉えている。また、その意味づけは行為そのものではなく、文脈(コンテキスト)によって大きく左右されることを、さまざまな事例を交えながら考察している。
リーダーシップとは、他者を支配して動かす技術ではなく、他者との関係の中で一緒に物語をつくり上げていく営みなのだという考え方が印象に残った。
また、AIが苦手とするアジェンダ設定や仮説構築についても触れられており、これからの時代のリーダーに求められる役割を考えるきっかけとなった。リーダーシップを新たな視点から学びたい人におすすめしたい。 -
Posted by ブクログ
視座を高めてくれる良書でした。
本書の根幹〜
リーダーシップの発揮は、能力や「何をしたか」ではなく、場のコンテキストやその流れをいかに読むかにかかっている、という事。
前半部分はその論理的説明です。後半は、コンテキストを読んで適切なタイミングで手を打って成功、または逆に読み誤って失敗した企業や国家が例示される、いずれも興味深く読み進めました。
以下、トピック。
リーダーシップは、行為ではなく、前後の状況や背景、上司と部下のこれまでの関係といったコンテキスト、部下による「行為の意味付け」によって現れる。
「任せる」と「丸投げ」の違いは、コンテキストの違いから生じる。
リーダーシップは、能力やスキルといった個人の内側に生まれるものではなく、周囲との関係性のあり方から生まれる現象で、高度に社会的なもの。
小説を読む時、登場人物の行為や言葉の背景にある感情や動機を想像し、無意識に「もし自分ならどう感じるか」「この人物はなぜこのような行動をするのか」と、自分なりに物語を補完する。文学は「他者の物語を借りながら、自分自身の物語を豊かに編み直す」行為。現実世界において人を理解し、関係を築き、状況を動かすための最も重要な力の一つになる。
組織に問題があるときは、必ずリーダーのマネジメントに問題がある。組織はリーダーの写像であり、リーダーの抱える世界観や人格上の問題が、すべて組織の問題として現れる。
マネジメントの本質は、特定の行動ではなく、「コミュニケーション」にある。リーダーは自分の言葉で語る事で、部下の持つ現状認識に影響を与えることが求められる。言葉のセンスが必要。
ある研究によると、人が他者に影響を与える要素は、言葉7%、声の調子38%、表情や仕草55%。言葉と非言語的表現を一致させる必要がある。
リモートワークが多くなると、コンテキストの共有が難しくなる。リーダーは、直接会える時間をコンテキスト共有のための貴重な時間資本と考える事が大切。時間を自分の経営資源と捉える。
キャリアというものは、個別の専門性を高めていく(スペシャル)前半期と、全般的な領域に通じるマネジメント(ジェネラル)を身につけていく後半期とで、全く異なる種目をするゲームといえる。
なぜ組織にビジョンが必要か?それはリーダーの時間資源は限られているから。リーダーは全ての現場を回って逐一指示命令はできない。組織構成員に権限委譲しながら組織が一つの方向に向かって動くためにビジョンが必要。
人は「信頼してない人」のビジョンには動かされない。リーダーシップの発揮において最も重要な要件は、土台となる「人間としての信頼」。
社会心理学社のエドウィン・P・ホランダーは、リーダーシップを、集団の中で「信用=Credit」が徐々に蓄積されることで結晶のように現出する動的プロセスと考えた。
1. 新しく組織に加わったメンバーは、当初は既存のルールに従い、協力的に行動し、有能さを示す必要がある。
2. 一定期間それらを示すことで、主要の貯金が蓄積されていく。
3. 信用の額が一定量に達すると、新規の提案をしたり、規範を一時的に破ったりすることが、むしろ期待されるようになる。
・クロノス=スケジュール的な時。
・カイロス=好機、時宜。
組織の文脈を読み、「今こそ」(カイロス)という瞬間を見抜き、決断と行動を起こせるかどうかが、リーダーに求められる最も重要な資質。
じっと待つ=カイロスを捉える
イノベーションは、ある課題のボトルネックを解消する事で、他の課題へとボトルネックのシフトを促してきた。AIは情報の収集、分析、出力のボトルネックを解消すると考えられる。そうすると次のボトルネックは、
・有意義なアジェンダを設定する事
・多くの人を束ねるリーダー
に移ると想定できる。人はここに注力すべき。
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Posted by ブクログ
ひさしぶりに新書を読んだが、新鮮で刺さることが多かった。いかに読書メモ。
日本はKPIを重視し、計測可能な指標だけをひたすら伸ばしていく一種のゲームみたいな状態に陥っている。
井深大がしたためたソニーの設立趣意書、何をやるべきか、やるべきではないかという意思決定の際に準拠すべき基準は、面白いのか?愉快なのか?という軸、つまり、理性よりも感性。これは私が研究をやる上でも通ずるところがある。ソニーについては今後も本を読んでみたい。
もし経営における意思決定が徹頭徹尾、理論的かつ理性的に行われるべきでなのであれば、それこそ経営コンセプトとビジネスケースを大量に記憶した人工知能にやらせればいい。これも研究の課題設定に通ずる。
なにをしないのか決めるのは、何をするのか決めるのと同じくらい大事だ。会社についてもそうだし、製品についてもそうだ。スティーブ・ジョブズ。これは分かったようで理解しきれていない。これをもっと理解したい。
ビジョンについて。アジアで売上トップに、などは目標であり、人を共感させるような真善美が含まれない。これは私が独立した際、どういうビジョンをかかげるかにも通ずる。私自身、明確なビジョンがない。
デザインとテクノロジーはコピーできる。ストーリー性だけは、コピーされてもオリジナル価値が揺るがない最後の価値。濱口秀治,デザイン思考を超えるデザイン思考。これは読みたい。
世界の国は罪の文化と恥の文化に二分され、日本は恥の文化に分類される。これは本当にそうだと思った。
セルフウェアネスの重要性。自分の状況認識、自分の強みや弱み、自分の価値観や志向性など、自分の内側にあるものに気づく力のこと。これは伸ばしたい。
美意識を鍛える方法。絵画を見る、哲学に親しむ、詩を読む、など、これは取り入れていきたい -
Posted by ブクログ
世の中的に知られている事象を事例に解説されていて、分かりやすい。
ワークショップデザイナーのコースで学んだ内容なども出てきて復習にもなった。
リーダーシップとコンテキストの関係 組織や会社の状態によって使い分けられるリーダーがすぐれたリーダーだと感じた。(自分の得意なマネジメントのタイプ以外をどう身につけるか。というところは課題(本書の中ではリーダーシップの研修で演技の研修がある理由にされていたのは確かに。と思った)
コンテキスト(文脈)を読み取る力はメタ認知、メタ思考の考え方にも似ているなと感じた。
自分のチームの今の状態を把握(コンテキスト)し適切なかかわりができるようにしたい -
Posted by ブクログ
勝てるプロジェクトを見極める
目的が不明確だとポシャる。手段ではなく、目的
成否の半分は人選。人選が先、計画が後
危機対応用に、人の質と量は多めに
成功も失敗もリーダーの評価
関係者の期待をコントロール。最初にメンバー増員を交渉。借りを作らせることにもなる
目標は、合理的計算とビジョンとワクワクの三つのかけ合わせ
プロジェクトの意義をメンバーと共有
ハイリスクな案件は初めて何かを試す、ことがないようにする
プロジェクトオーナーを明確に
メンバーの懸念と期待を聞く
簡単な仕事は優秀な人に、難しい仕事は自分がメインで優秀ではない人をサポートに
横同士のコミュニケーションをとってもらう。価値観の共有が必要
上位役職者とな生意気なやり取りは高評価になる
仮説に固執しない。目的は変えない
行動ではなく目的を伝える
慕われるだけでも恐れられるだけでもなく、両方必要なのがリーダー
トラブルはリーダーの本質を暴く
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Posted by ブクログ
・行為が理解を生み出す(Enactment):状況は受動的に観察するだけでは捉えられず、行動によって初めてその輪郭が浮かび上がります。行動と学習を結びつけるこの対話の繰り返しによって、組織全体のコンテキスト理解は徐々に揃っていきます
・観察・解釈・行動の3つのステップは単なる単純作業ではなく、リーダーとメンバーが対話を通じて共通の物語を育てるための循環です。この循環を意識的に回し続けることが、組織におけるコンテキストの共有を可能にするのです。言い換えれば、リーダーとは単なる意思決定者ではなく、「意味を作る存在=Sense Maker」であるべき
・リーダーは「コンテキストをマネジメントする存在」でなければならない。メンバーがリーダーの行為や発言をどのように意味づけるかという解釈の土台にまで働きかけることが求められる
・アクティブ・ノンアクション:表面的には忙しく働いているけれども、本質的に重要なアジェンダには取り組んでいない
・ビジョンがワークする条件
ビジョンに戦略合理性があり、メンバーが共感できるものであること
現状の延長線上には未来がない、という健全な危機感が醸成されていること
そのビジョンを打ち出したリーダーが組織構成員から信頼されていること
・いかに素晴らしい理念や構想であっても、コンテキストと合致しなければ、それが有効に機能することはない
・信頼の貯金
新しく集団に加わったメンバーは、当初は既存のルールやしきたりにしたがい、協力的に行動し、有能さを示す必要がある
一定の期間、協力的な態度や有能さを示すことで、新しく参加したメンバーに「信用の貯金」が蓄積されていく
信用の額が一定量に達すると、新しいメンバーは、新規の提案をしたり、規範を一時的に破ったりすることが、むしろ期待されるようになる
・戦略フレームは単なる分析の道具ではなく、人々に「自分たちの仕事が企業全体にとってどのような意味を持っているのか」を意味づける「編集の装置」でもあります。フレームを通してコンテキストが再解釈され、そこから行動の方向性と意味が導かれる。まさにフレームは、戦略とナラティブをつなぐ橋渡しとして機能するのです
・環境を選ばず、どんな状況でも力を発揮できる「万能の人材」は存在しません。むしろ、自らの強みや特性が最も活かされる土壌を見極め、そこに身を置くことができる人こそが、結果的に最大の成果を上げるのです
・無印良品:それまでのマーケティングでは、商品の内実に大きな変化がないにおmかかわらず、ブランドやパッケージやコミュニケーションの操作によって価格を上昇されるという手法が頻繁に用いられていました。この風潮について否定的な疑問を持っていた堤氏は、「消費と記号」の関係について考えを巡らせ、記号性をむしろ削ぎ御斎していくことによって、ブランドを生み出すことができないか、と言うアイデアに思い至ります。最終的に無印良品を「アンチブランドとしてのブランド、反対性としてのブランド」として位置づけた
・優れたリーダーシップとは、技術そのものを発明すること以上に、テクノロジーがもたらす文脈の変化を誰よりも早く検知し、それを物語や戦略に編み込む力だ
・コンテキストでは「スピード」よりも「カイロス」が重要になります。これはつまり、「ただ単に早ければいい」ということではなく、コンテキストを読んで、適切なタイミングを捉えることが重要だ、ということです
・長期のマクロトレンドとしてみれば、先進国の社会全体は否応なく「超低成長の社会へ」向かわざるを得ない
・ビジネスが、成長に伴って「より大きく、より簡単な問題」を必然的に求めるのに対して、社会に残存するのは「より小さく、より複雑な問題」担っていくのです。これが多くのテクノロジー・イノベーションが起きているにも関わらず、経済成長率が鈍化している構造的な要因です
・問題:ありたい姿と現状の差分。したがって、ありたい姿が定義できなければ、問題は原理的に設定できません。問題は現状の中に内在しているわけではなく、私たちが認知的に新たに生成するもの
・ビジネスの社会運動化:ビジョンやパーパスに顧客や市場という概念が含まれていない(テスラ、パタゴニア、グーグル、Airbnb)
・イノベーションとは、生産性を均等に押し上げるものではなく、ボトルネックの位置を移動させるもの、生産工程の効率化のあとに残るボトルネックは市場の欲求
・アジェンダの設定とは、単に問題を解くことではありません。むしろ、誰もが当たり前だと思いこんでいる前提に疑問を投げかけ「そもそも何を問うべきか」を定義する営みです。ここで求められるのは、正解を導く知性ではなく、違和感を言語化する批判的思考であり、価値観や直感に根ざした人文学的な判断力です。
・リーダーがエピソードやハプニングに意味づけすることで、周囲にいる人々に「私たちはどんなコンテキストの中にいるのか」を腹落ちさせることができる。特に、大きな組織、多くの人々をうねるのように動かしていくためには、「多くの人が腹落ちする架空の物語」を生み出していく力が必須のものとなります
・AIの強みはあくまでもデジタル空間上に存在する二次情報を扱う領域にあります。つまり、未だ文字になっていない一次情報「五感を通じてしか得られない情報」を収集・分析・統合することはできないのです。この点を踏まえると、私たち人間が自らの身体を通じて獲得する一次情報の価値は、むしろAI時代において増していくと言えるでしょう