三木義一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
是非たくさんの人に読んでほしいです!
税金に関係する日々のニュースについてのコラムと、その説明という構成。
コラムがまたうまい!
著者には本著で初めて触れたので、はしがきを読んだときはちょっと親父ギャグっぽいくて大丈夫かな、と一抹の不安を覚えたのですが、それは杞憂でした。
固有名詞をうま〜く言い換えてお見事!と唸るくらいハイクオリティのギャグです。ギャグ…ではないか。
見たこと聞いたことないのに、このたとえは雑かもしれないですが、落語のような、綺麗なオチがある感じがしました。
お気に入りは「石橋=石破氏」です。
税金についての政府や企業の問題について報道されて、税金を有効活用できていない!と怒っても、その実、制度なのか人なのか、何が問題なのか細かいところはわからず、どこを改善すれば良いのか建設的な意見を持つことも出来ず、ぼんやり怒り続けていたなと本著を読んで気付きました。
税金を無駄遣いされ続けている!とさらにムカつくこともあれば、たまーに改善の動きをとろうとすることがあったのを知ったときは、ちょっと嬉しくなりました。
是正しようとしてくれる人がいることはとても勇気づけられます。
小難しい税金問題について、人だけの問題ではなく法など制度自体の問題もあれば各役所のパワーバランスや長く続く悪習など色々絡んでるのだと知りました。
政府にばっか怒ってきましたが政府だけでなく、役所…とかも問題なのかと思ったのですがそもそも政府がどこまでを指しているのかも今、私わかっていないと気付きましたTT
何に怒るのか、何が問題なのか、こんなに曖昧な認識ではだめですね。
色々と気付かされる良い読書の機会となりました。
専門的な用語は知識がなく、理解に時間がかかりますが、全体を通して読みやすく、とてもおすすめです。 -
Posted by ブクログ
もうかなり以前の話になるが、ある人気タレントが税務調査を受けた際、当局が高額の所得隠しの指摘し、それに従い修正申告と追徴税を支払った。その会見の際、彼は植毛治療を経費にしていたと弁明したが世論はそれを受け入れず、彼の芸能生活は事実上の終焉を迎えた。私は彼の人柄が好きだったので同情的だった記憶がある。
彼の弁明と報道とは多少の齟齬はある。マスコミの報道では架空発注すら行っていたと言う。
そのため割り引かないといけないが、作り上げたイメージを保つために容姿の維持が必要な芸能人にとって、植毛の費用は経費と当人は考えるのは無理のない発想だし、税理士もそこに異議を唱えなかったので長年経費として申告してきたのではないだろうか?
このケースから、日本の税の問題点を本書に依拠することによって指摘することができるのではと思う。
まずはこの報道を行ったマスコミを含めて日本の納税者の多くは給与所得者であり、彼らは源泉徴収と年末調整により、勤めている会社が申告を行っているため、税に対する問題意識を育むことが困難な事である。
給与所得者は所得控除の額が年間所得額によって決まっており、何を経費にするかということに意識を割かなくて良い。そのため、このケースにおいて単純にこのタレントの金銭感覚はせこいと断罪するだけで終わってしまいかねない。
次に税法の条文で書かれている日本語が難しすぎて、専門家でも条文の理解が及ばないケースがあるということだ。そのため国税局の通達?(こっちは実務的)によって実務家は経費になるかどうか判断するが、それでもそれに従うことによって常に完璧な申告をすることが出来るという訳では無い。
まだまだあるがもう1つ指摘すると、当局と意見が食い違っても、争うとなるととてつもないハードルがあるということだ。単純に裁判所に行けば対応して貰えるという訳では無いのだ。
端折って言うと、まず当局に異議を申し立てないといけないが、そこでそれを問題だと判定するのは大部分が税務職員であり申立てが受理される可能性も高くない。詳しく書く能力が無いのでその辺は本書を読んで欲しい。さらに負けると延滞税もかかり、これが高額である。
このため彼が争うことは損得勘定から判定すると明らかに損であり、全面的に当局の指摘に従った方が穏便に済むのだ(結果的に彼の失うものは大きかったが)。実際に争う方たちは本人の意地でやっているケースが多いらしい。
このように行政に極端に有利な税制度を利用して、一芸能人の芸能活動を終焉させたというのは我々にとって不都合なことではないかと思う。
要するに行政に歯向かったら後で何されるかわからないぞということである(別に彼が反権力的だったという訳ではないだろうが)。彼らの裁量で自分の社会的地位が追われるとなればどういう行動を芸能人はしているかと想像するのは容易だろう。
本書の序章において国民主権の日本において税の所有権者は我々国民であり、自分の所有物は自分で決めることが出来る権利を持つと述べられている。しかし実際は選民意識を持つ行政官や一部の政治家が密室で税制のあり方が決められている。国民主権の国で生活する我々市民が税の問題に正面から向き合うことは必須だ。財政が逼迫して久しい現状の日本で暮らす我々が本書を読むことによって得られる知見は大きいだろう。 -
Posted by ブクログ
難しそうだけど身近な税のことを、わかりやすく書いている。著者の東京新聞コラムも楽しく読んでいるが、単にわかりやすくではなく、面白く書くのは著者の癖なのだろう。素晴らしい!
【宗教法人】
宗教法人も収益事業は課税が発生
収益事業以外も課税したら、利益が出ないよう経費を使うのでどうせ税収は増えない→経費を使えば経済は活性化する
固定資産税は理屈から言って課税の必要はない。宗教法人の不動産は当該宗教法人しか使えないので、評価額はゼロ。(→疑問を持った。浅草寺は固定資産税払わなくて良いので土地を売らずに保有し続けて借地料収入を得ている。谷中もお寺の土地ばかりで借地物件が多いと聞く)
【政治団体と税】
パナマ文書に日本の政治家が出て来なかったのは、日本の方が政治家にとってタックスヘイブンだから。小渕優子は政治団体が事業を引き継ぐことで、1億2千万円を無罪で相続。
税制が政治家に都合良すぎることが多い。税制を開催するのは議員だが何人も自己の審判官たり得ない。政治家ではない学者たちの検討委員会で法案を作らせ、議会に承認させるべき。
【暴力団への課税】
そもそも違法な所得への課税の理屈を明文化するのはすごく違和感あった。結局、違法所得(用心棒代など)の存在を公式に認めることになっているではないか?税収を得るためにそれで良いのか?
【必要経費】
前にも著者の本だったかで読んだ、サラリーマンの所得控除の話。税務署の「家事費」の考え方は本書がわかりやすかった。「家にいても食事はする」の理屈で、ランチ代はまだしも、シングル母が働くためのベビーシッター代まで業務の直接の経費ではなく私的生活のための「家事費」としか認めないとは。個人事業主であれば必要経費として認められるはずだが、「認められない」と考える税理士が圧倒的に多い。給与所得者は収入に応じて一定の額が控除されるため、必要経費の控除が認められていないので、事業所得者にも認めるべきでない、と言う。しかし本来、給与所得者にも必要経費が認められるべきだし、不利に扱われている人に合わせて皆を不利にする発想はおかしい。
【交際費】
交際費は事業活動において必要な費用だが、損金に算入できない。(1人1回五千円未満は算入できる。さらに資本金1億円以下の中小企業は年間800万円まで算入できる)話は1954年に遡る。朝鮮戦争特需で日本企業が潤い、多額の交際費で繁華街は賑わっていたが、政府は今の日本には資本蓄積が必要と考え、3年の時限措置で交際費の損金算入を規制したが、なぜか65年経った今もそのまま。
【印紙税】
お礼状に確認の意味で料金を記載していたら領収書と認められ、3年分8万1000通の印紙税2700万円を払わされた葬儀業者、セミオーダー下着の「お客様控え」を作ったばかりに、「請負契約書」とみなされ、印紙を貼っていなかったことを指摘されて過怠税3200万円を納付したワコール。。。印紙税が日本で採用されたのは明治6年。オランダ、ふらんす、イギリスに倣って始まる。農民に偏っていた税を商工業者にも負担してもらうために考案されたが、範囲が不明でトラブル絶えない。電子契約書なら課税されないが、文書にすると、メモでもベニヤ板に書いた場合でも課税の可能性がある。契約書が作成される場合、何らかの経済的利益が生じているというのが、政府税制調査会の説明だが、所得税や消費税で課税されているはず。経済界からは毎年廃止要望があるが、自動車重量税並の税収を占めるため、廃止には踏み切られていない。
【固定資産税】
自治体の税収の4〜5割を占める固定資産税は課税ミス続き。複雑すぎるのでAIにやらせた方が良い。バブル崩壊後も固定資産税収入は伸びている。時価は建前で、バブル期に固定資産税が安すぎてみんなが土地を所有したがるから上げることになり、急激にではなく徐々に上げている。家屋の評価額は明らかにおかしい。(高い)
朝日の記者は、隣家との固定資産税の違いに気づき、市担当者と数回にわたり交渉。最新の測量図より公図を優先していると言われる。測量図は法務局に届けられていることを証明でき、固定資産税と都市計画税が年間計約6000円安くなった。
【酒税】
2016年5月27日の参議院本会議で、酒税方改正案が、与党野党全会一致で可決。反対した議員は1人だけ。販売免許を盾に安売り規制とも言える独禁法違反まがいの法案。
酒類販売業免許制が導入されたのは昭和13年。国家総動員法が制定され、戦時経済統制法制が本格的になった時期。あらゆる小売業に免許制を導入するのが課題だった。
不当廉売の定義を考えさせられた。仕入値を下回る価格、当該商品では利益を出さず、他の商品で稼ぐやり方はご法度。
【特別措置】
日本の裁判制度は憲法裁判制度ではなく、司法裁判なので、権利が侵された当事者でなければ違憲性を争えない。フランスでは合理的理由なく、特定層を優遇する制度があれば、自身の権利を侵害されていなくても違憲訴訟ができる。
【源泉徴収】
徴税事務を企業に負わせている。取りすぎがあれば企業に不服を申し立てるようになっていて税務署に都合が良い。「ちゃんとやればお金が返ってくる」確定申告と違って「愚民化」につながる。雇用主に副業収入や家族の健康状態などプライバシーが知られるのでフランスでは、雇用主には税率だけが伝わる仕組みになっている。
【国境】
タックスヘイブンは金持ちの牢獄。脱税のために海外で暮らすのは幸せなのか。 -
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税金の徴収方法は、公平ではない。
税制の複雑怪奇さも、政策目的ありきの挙句だ。
しかし、逃げ道を塞ぎ正しく創り上げようとしても、その正しさの裏側をすり抜ける道もまた、同時に生まれてしまう。
万人への公正かつ平等は非常に困難だ。やっかいだ
故に時限的な税制度で「短期的に」やりくりしている。
やりたい事と出来る事の、理想と現実にもがいている。
『毎年の税制改正の大半は、この特別措置の新設・延長を巡る攻防戦といってよいと思われます。』
大局的には、政治家も官僚も、分かり易く効果的な制度を考えるてるはずが、気が付くと、「効果を図りつつ、時限立法」のやりくりに追われ、いつの間にか、誰も望まない、複雑怪奇な塊が出来上がる。
総論賛成、各論反対。
それが日本だけではなく、世界の民主主義の最大の弊害になってきているのが、税制度の話だけでもよく理解出来た。
とはいえ、今後も、「時限的なはずの特別措置が作られ、継続させるための努力」が、永遠に繰り返されるしかないのだとも感じた。
もっと一人一人が税金に近づくこと。
これしかないはずだが、それが一番、近くて遠い・・・。
高率な源泉徴収をした後、年末調整を廃止し、確定申告の制度だけにする。
それがシンプルでいいと、やっぱり思うなー。 -
Posted by ブクログ
所得税の章は、転職したいと思えるほど刺激的だった。サラリーマンの必要経費実額控除や住宅を控除対象として見るかの議論(利益を生んだものは控除対象となるので賃貸に出せばリフォームなどの経費が認められる)が分かりやすかった。酒税の章は哲学的だった。「酒税が酒をつくる」「酒造の隣に税務署が作られてきたほど、酒と税は密接」などの名言がちりばめられていた。終章の「税金問題こそ政治」はほとんど「詩」だった。著者の魂が込められた詩。「なぜ減税が正義の主張なのだろう。おそらく、税を支払ったことによる恩恵を実感ができない政治がおこなわれているからであろう。」「ロビンフッドが生きていたら反税闘争ではなく約束を守らない富裕層に対して増税闘争をする。」
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Posted by ブクログ
日本の税金の仕組み、現状を知るにあたり、とてもよい本だと思います。
戦後、今の日本の税制の大枠が決まったわけですが、その後は、時代や環境の変化に合わせようとして、つぎはぎを重ねて現在に至ったため、税制はいろいろと疲弊を起こしています。
しかも、かつては一国の問題として考えても、さほど問題がなかった税制ですが、ヒトもモノもカネも世界中を行き交う現代では、国内だけを考えた税制は、脱税ルートがたくさん。
しかも、富裕層ほど、脱税しやすい始末。
日本の税制の抜本的な見直し、しかも、海外の税制ともバランスのとれた税制の確立は、日本の喫緊の課題ですね。
政治家や官僚には、こういう課題の解決こそ、期待したい。