岡崎京子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
岡崎さんの漫画の話になると、「リバーズ・エッジ」や「ヘルタースケルター」がよく出てくるけれど、私はわりにこの作品が好きです。オムニバス集です。いくつかの話は各登場人物ごとにフォーカスされています。
「カトゥーンズ」なんてモロそのタイプですね。岡崎さんならではだと思います。
さっきまで主人公だったキャラクターが最後にすれ違ったぜんぜん関係無い人にお話が続いていく、そういうのがなんか好きで。
・・・・UNTITLEDの話じゃなくなりましたね。まあ、岡崎モノに惹かれるのです。あの事故のことはどうにも言葉に出来ないけれど、それでも私は岡崎さんが何かしらの形で「発する」事をいつまでもいつまでもいつまでも -
Posted by ブクログ
「お母さんが良く言ってたわ シアワセじゃなきゃ死んだ方がましだって」
「お母さんは?」
「····· そのとおりに死んだわ」
本作を語るうえでまず外せないのが、とにかくワニです。「スリルとサスペンス」のワニ。ジャングルを夢見、力強いその顎でなんでも噛み砕いてしまうワニ。生きてるのが窮屈そうだから、殺されて鞄にされてしまったワニ。浅い読みかもしれませんが、やはりワニとユミちゃんは表裏一体で、ユミちゃんがあってこそのワニ、ワニがいてこそのユミちゃんだったのでしょう。
·····いや、なにもワニに限った話ではありません。愛だって同じようなもの。人生だって同じ。みんなみんなみんな、最終的には窮屈な -
Posted by ブクログ
作者の絵が上手い下手で賛否両論分かれがちだが、このある意味で現代を風刺する、底抜けに明るく愚かで痛ましくもおかしい話に、ゆるゆると脱力した線はよく合っている。
欲しいものは欲しい、手に入れる為なら体を売ることも辞さない。昼はOLとして商社で働き夜はホテトル嬢としてカラダを売る主人公は、自宅で飼うワニに愛情を注ぐ。
ワニは肥大する物欲のメタファーであると同時に、けっして満たされない渇望を象徴している。
後半でワニのモノローグが挿入されるのだが、ワニもまたふるさとへの郷愁に駆られ、常にここではないどこかを求め続けている。
ワニのように貪欲な主人公を取り囲む家庭環境は複雑だ。反りの合わない継母と天