岡崎京子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
岡崎京子の本の中でも大好きな短編集。
『虹の彼方に』『I wanna be your dog』が特に好きです。20代の不安定な「女の子」の恋。自分の傷が見えてるくせに,見えないふりをして。でも,やっぱり自分が1番知っている,「好き」ということ。
まさにこれは,『I wanna be your dog』で書かれているように「例えば私 そしてあなた あなたがた」の物語でもある。誰もが一度はこんな気持ちになるんじゃないかなぁと思います。
恋をして感じるそのまんまの空しさを,虚飾しないで漫画にできているのがスゴイ。
あーもーどうして!!?となってる女の子に読んで欲しい一冊。 -
Posted by ブクログ
普通に暮らしている人が何かちょっとしたことで墜ちてしまうあたりの話。
堅い家庭の人と結婚することになった途端に両親が離婚してしまうとか、
怪我をして仕事を辞めて寝たきりになった商社マンの父を捨てて
男と駆け落ちした母親が、父とラブホテルに入るときに、
妹をみかけるとか、そんな感じのありえないようでいて全然ありえそうな話。
輝いていた親友ができちゃった結婚をする相手を紹介したら、
その男に手をだしたり、監禁してしまって親友を不幸のどん底に落とす話とかも。
岡崎が描く普通の人が誰でもふりかかる可能性のある不幸や狂気は
とても興味深く、共感できる描き手だ。 -
Posted by ブクログ
何度も振られてもずっと好きな男性に言われるままに犬奴隷と化し、
彼の友人に輪姦され、暴力を振るわれても、まだ彼が好きなホシ。
優しい男性には冷淡で、暴力を振るう男性を泣きながら追いかけ続ける女性、
自分を欲しがる人の欲の部分への不快さから暴力を振るい、
あげくには殺してしまう男女がお互い相手にだけは愛情を示す・・・
ペーター・ギュルテンを思わせる倒錯した愛情など、
さまざまな形のいびつな愛が描かれていて、読み応えがありました。
いろいろなニュース、事件を見ていると、ここに描かれてることが
現実にとても身近な人は相当数いるんじゃないかという気がします。