岡崎京子のレビュー一覧
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これは持てるものと持たざるものの話だ。
一世を風靡するスーパーモデルりりこは全身整形の秘密を持ち、カメラの前では視聴者の理想通りの偶像を演じるが、ひとたびプライベートになれば付き人を性的に虐待し周囲に当たり散らすタチの悪い女。
何故彼女がそうなったのかがストーリーの進行と同時に紐解かれていくのだが、美しさを失うことに終始怯え続けるりりこの劣等感の根は深い。
美しさを失うのが怖いのは、それが偽物だとわかっているから。自分は賞味期限付きのパチモノだと痛いほど理解しているから。
後半、りりこの対比となる「正統な美」を生まれ持った若いモデルが登場するのだが、彼女のセリフがまた素晴らしい。
こずえは生ま -
購入済み
大好きな漫画です
もう30年近く本棚の一番いい場所に飾ってある漫画です。
ちなみに漫画や本は5万冊ありますが。。です。
何が面白いのかと言われると困るのですが。
読んでいると人生の懐かしさを感じるオムニバス形式の漫画です。
20歳の頃は、この漫画、藤子不二雄先生に訴えられたりしないのかしら。。
みたいなことを考えてました。 -
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"平坦な戦場"ってものすごくしっくりくる言葉だな。
学校でくだらないお喋りをして、なんとなく恋人を作ってみる。平坦な毎日だけど、毎日が戦い。
生き延びるために、何かを探したくて死体を宝物にしたり。
ギリギリのところで保たれてた何かがふいにぷつっとキレる瞬間が恐ろしかった。それもいつか忘れてなかったことになるけど、戦いは終わらない。
登場人物みんなの心情が描かれていて、誰かしら、または全員に共感できるはず。
読後の気持ちは重い。そしてうまく言えないけど、岡崎京子さんの作品を読んだ後の、漫画の登場人物たちはどこかで生きていて、わたし自身も間違いなく今戦いながら生きているんだ -
購入済み
乙女でゴーカイで一途な二人
港野ヨーコと森田セーコが真実のラブを求めていく作品。
この二人は「チワワちゃん」収録の「夏の思い出」にも登場します。
似てるようで違う二人の友情とラブの物語。
安野モヨコのハッピーマニアは確実にこれを意識してると思う。 -
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岡崎京子が描く女の子はいつだってリアルだ。
「自然体で」「私らしく」「ありのままで」なんて、最近よく聞く耳ざわりのいい、でもどこか空虚なコトバも、岡崎京子にかかれば一刀両断だ。
「バーカ!! なわけねーだろ!!」
「あたしがどんな思いで 今の体重をキープしてるか」
「お腹すかせて目が冴えて眠れなくて スイミン薬飲んでも眠れないとか」
「どんだけ時間とお金をかけて この白い肌を守ってるかとか」
「あんたたちに分かってたまるもんか!!」
りりこは自分が使い捨ての商品だということを知っている。しかも消費期限は恐ろしく短い。身も心もぼろぼろになりながら、それでも彼女はチキンレースから降りようとしな -
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岡崎京子さん好きー。
「幸せなんて、当然じゃない」
そういってのける主人公が格好いい。
「女の子ってどーしてこーゆーフリルのついたぼーりょくを振るうんだろう」
激しく同感。
結構前のお話なのに、身につまされるようで。
愛と資本主義のお話らしい。
彼女の見た資本主義と、今の資本主義は一緒かな?
かわいーもののために、オンナノコは働く?
今は、生きるために働くオンナノコが結構多い気がするな。
かわいーもの、キレーなもので自分を固めたってさ、
ほしーもんは、もっと強欲に、執着して、ブン取らなきゃ、手に入んない。
そのウラまでもう明るみにされて、
それでもキレーに着飾ん -
購入済み
「チワワちゃん」は有吉佐和子の「悪女について」からヒントを得たのだろうか。
1人の女性が死に、彼女を知る人の証言のみで進んでいくという手法が全く同じ。
他の作品は、岡崎作品でありがちというか、他にも似たようなのあったなって感じ。 -
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ネタバレ短編集。
表題作と「3つ数えろ」が好きです。
暴力と純粋。
暴力的、快楽的なSEXは、必ずしも欲望どおりではないということ。行為だけをとらえて、汚らわしい、いやらしいという人は、"SEXに過剰な期待をしすぎている”。
受け入れること。拒むこと。
そのせつなさとここちよさ。罪悪感と幸福感。
時にはかさぶたをはがされた皮膚のように無防備で痛い。
「3つ数えろ」は、こんなふうに生きて死ねたらと思う。いらないものはすべてこの手で殺して、やすらかに、ほしかったものだけに囲まれて、死ねたらと思う。
臭いものには何度でもフタをして、そのフタの上で、満ち足りて死ねたらと思う。 -
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この漫画は、自分が上京するきっかけとなったひとつです。
当時、10代も終わりを迎えようとしていた自分は札幌へ進学したばかりで、まばゆい北の大都市での生活に浮かれている最中でした。そんな日々の中で愛読していたオシャレ感度抜群の雑誌『cutie』の連載でこの作品に出会ったのです。あの頃の『cutie』は、今よりずっととんがった雑誌でした。
初めて見る岡崎作品は衝撃的でした。連載が楽しみでしょうがなかったし、コミックスが出るのが待ち遠しくて、購入後は何度も何度も読みました。今も初版を大事に持っています。
主人公である札幌在住のサカエちゃんは、同じ札幌で遊び呆ける私を差し置いてプラスティックメトロ -
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血まみれ白雪姫 in 20th century。
pink はお姫さまの好きな色。
お姫さまのしあわせの色。
やさしかったお母さんの爪の色。
経血と精液が混じりあう色。
働き者のお姫さまは売春します。
「お金でこんなキレイなもんが買えるんなら
あたしはいくらでも働くんだ。
よし! 明日もがんばるぞ!」
どんなにつらいことがあっても
お姫さまはくじけません。
「それは頭が悪いせいと
目の前の事しか考えないから」
考えないのは
考えたくないから。
考えたくないのは
考えたら壊れるから。
昔のひとも言っています。
『自由と独立と己れとに充ちた現代に生れた我々は、
その犠牲としてみん