堀井憲一郎のレビュー一覧
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近年クリスマスへの参加意欲が活発化してきている。自分は本書で言うところの、「古代の神の祭りを受け継いで、異教徒なれどもばか騒ぎを続ける」日本人そのものだ。
いきなり結論から述べると、本書ではそうしたクリスマスに浮かれる日本人を全く責めていない。むしろ、宣教師を送り込んで世界を統べようとするキリスト教の侵食をうまくかわし、日本独自のホリデー・シーズンの過ごし方を編み出した歴史に敬意を表しているようにも見て取れる。
尖っていた頃は「外国からの借り物の習慣で非キリスト教徒なのに、何であんなにはしゃいでいるの…」と訝しんでいたが、これで腑に落ちた。
「日本のクリスマスの受容の動きは、『西洋文化を取 -
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2023/12/14
日本とキリスト教の関わり方の歴史から、日本におけるクリスマスの形の変遷について考察した本で、内容がとても興味深く面白いと思いました。
安土桃山時代のキリスト教宣教師による布教に対する日本のスタンスや、その先の時代における為政者とキリスト教との関わり方の変化の理由、クリスマスが現代のように「恋人と過ごす日」のような雰囲気に形作られるまでの変化が、とてもわかりやすくまとめられていてとても歴史の考察本だけどそれほど硬くもなく読みやすかったです。
所々に入る著者のツッコミのような部分も、確かにそう思うよなーと言う気持ちととても重なるものが多く、端的ですが的を射た表現で各章が構成さ -
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とても面白かった。
キリスト教と日本の歴史的な考証が素晴らしい。
前半、現在のクリスマスと、戦国時代に日本で行われていたキリシタンの生誕祭には断絶があるということが考証される。この頃のキリスト教は、めちゃくちゃ怖い。キリスト教徒でなければ人にあらず、キリスト教の文化でなければ全て邪教の文化、破壊して、キリスト教式に塗り替えるべきということが書簡などから透けて見える。
一神教だから、日本の大らかな多神教では無理な感覚。日本なら、キリスト教も、いくつもある宗教の一つ。そんな神様もいるんだって感じだが、キリスト教を信じるってことは、それ以外の神様を一切否定する、また、それにまつわる習俗にも迎合しな -
購入済み
堀井さん、流石です
膨大な寄席の経験とディズニーやスキーの調査能力を元に、また面白い本を出してくれました。感謝です。江戸の範囲を分かりやすく見せてくれたのも良いし、長屋の貧乏の説明も判りやすかったです。
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よい、よいぞ…膨大な数の登場人物の紹介、さくいん、家系図(!!)、各巻ごとの人物相関図もある。各地の地図も載っていて各巻の生活の様子がよりくっきり目に浮かぶ、垂涎。あらすじも人物紹介も、とても丁寧に触れつつネタバレには配慮している様子が伺える。
一番好きなのは、あえて「何度も登場しないが、印象に残る人たち」項を設けているところ。
好きな人物を索引で探すも良し、地図や人物相関図を改めて眺めながらストーリーをおさらいするも良し。最新刊が出るたびに毎回一巻から読んでいてそれも骨太さが再確認されて良かったのだが、途中からでも人物について索引で探せるようになったのはさらに素敵。 -
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堀井さんの新刊は、ディズニーデートでのどうして?と思っていたことや、あるある話がてんこ盛りで、とても興味深く面白い内容でした。
今回は横書きじゃなかったです(笑)
混んでるし疲れるしで、ケンカしてるカップルや家族連れはよく見かける光景。それを長年にわたるTDRの調査結果を交えながら明快に読み解いていき、また楽しくランドとシーをまわれるおすすめプラン(超納得)が色々提案されていました。
男は全アトラクション制覇とか、効率&攻略ばかり考えてしまうけど、女は自分がかわいい姫になってる気持ちを楽しんでるのです!
楽しく過ごすには、理解不可能だけどそこのところお互いに譲り合って過ごせという…(笑)
確 -
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堀井 憲一郎さんのファンなので、また買ってしまいました。前回から新しいアトラクション情報が加わっていますが、まあ今ではネットで何でも事足りる状況なので、この本に限らずガイドブックとしての必要性は感じないですね。
でも相変わらず切り口が面白いです。TDLを聖地として崇拝する私のような信者にはこうした辛口な分析は、色々考えさせられ歯止めになっていますww
読み物としてもとても面白くて興味深いです。
原作映画の完全紹介コーナーが好きです。どのアトラクションにもディズニー映画の原作がありますから、それを知って遊ぶのと知らずに遊ぶのでは面白さが段違いです。インする前に映画は必ず観るべきだと思ってます。 -
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自分は著者とは世代が異なりますが、ここ20年ほどのあいだにもやもやと感じていたことがちょっとすっきりしました。
ああ、自分が感じていたもやもやはそこからきていたのか…と。
20世紀後半(終盤)から現在に至るまでの世相というか、時代の雰囲気と流れをおもに若者の行動や考え方を中心に概観しています。
良きにつけ悪しきにつけの暴力の時代、父性と母性が共存して居た時代から非暴力、母性優位の時代へ。
表面的には「やさしい」時代になったのだけれど、その裏でかくされながら様々なものが消えていっていた。
私自身が深く関わっているサブカルな部分に関しては、どうしても外から見た方の評論だなーというところもありま -
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「クリスマスが恋人のものになる」「みんながディズニーランドに行くようになる」「みんなが携帯を持つようになる」といった出来事をいろんなデータを集めまくって、著者の体験と実感混み込みで語っている素晴らしい本。
一番面白いのは2章のクリスマスと3章のディズニーランドの話。80年代以前が想像できないくらいライフスタイルが変わっている感じがするんだな。
同時代を象徴する人物は、この本では描かれていないけど、島耕作だよね。島耕作が課長になったのが1983年で、クリスマスを島課長は上司と居酒屋で過ごしたりしている。1980年代後半には授業参観で「将来の夢はディズニーランドになることです!」という児童が -
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ネタバレ江戸時代の価値観で現在を見直してみると、意外に面白い。
落語を聞いていて、どうしても現代の感覚からするとピンと来ない場合があります。
ちょっとしたことだと移動の距離感や貨幣価値、労働環境など。
そうしたこのと知識も得られて楽しいのですが、
中でもおもしろいのは「公」と「個」に関する観念の違いでした。
例えば「左利きの侍はいない」という話。
現代の我々の感覚では当然左利きの武士だっていただろうと思ってしまいます。
しかし、いない。日本刀の扱いはすべて右利きを前提に定められており、例外は認められないのです。
なぜなら生存をかけた争いが激しかった時代においては、少数派の存在を考慮する余裕がない。 -
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「今は大変な時代だ」というのは、人である限り、普通に考えることだ。
東北で大地震があったから、原発事故があったから、ではない。
それとは無関係に人はいつだって、いまは大変な時代だと答えてしまう。
なぜならこれは、「自分が特別だ」「選ばれた」と思いたい自己愛の発露であるから。
しかし頭の奥底では、「そうとも言えないぞ」という視点、内なる他者性ももっておいたほうがいい。
いろいろ便利だし、時にはラクだし、ほんとに大変な時にはそれがまた有効な考えである、ということに気づかせてくれる本である。
「今は大変な時代だ」とはペテン師の常套句でもあるのだよ。
以下目次
第1章 歴史は繰り返し美しく歪めら -
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北田暁大「嗤う日本のナショナリズム」で確か引用されていたので気になっていた。堀井憲一郎というと、僕には「テレビおじゃマンボ」でつまらないクイズコーナーを担当していた人、くらいのイメージしかなかったので、まさかそんな本に引用されるなんて思ってなかった。
読んだ。とても面白かった。良かった。別にアカデミックに裏打ちされた何かがあるわけではない。文体も軽快で、コラムみたいなものだ。ただ、1989年生まれの自分にはわかりえない生前から幼少期にかけての時代の「雰囲気」みたいなものはひしひしと伝わる。
クリスマスやディズニーランドが神聖化されていく渦中にいた人間の体験記として、平成生まれの人間が読んでおい -
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著者は、1958年生まれのコラムニストで、週刊文春にて「ホリイのずんずん調査」を連載中とのこと。本書は、その連載をもとに、80年代から90年代にかけての若者と社会を論じたものです。
雑誌やテレビを丹念に調べ上げることから浮かび上がってくる事実と、実際に見聞きしたこととを重ね合わせながら、時代の風景や空気感をリアルに浮かび上がらせていくのが堀井氏の手法です。日常の些細な出来事の集積から、その底に流れる大きな潮流をつかみとっていく手口は見事です。一見、とるに足らないように見える情報もデータベースにして分析してみると、こんなに社会の実相を捉えることができるものになるのかと目が覚める思いがします。