堀井憲一郎のレビュー一覧
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落語が好きなので、「江戸の気分」というものを知っておきたいと購入した次第。堀井さんの本は「落語論」「いつだって大変な時代」(ともに講談社現代新書)を読みましたが、いずれもためになる作品でした。
で、「江戸の気分」は、というと、これが現代人にもためになるのですね。
たとえば、江戸の人は、「病い」を「引き受ける」と考える。ただ、どうしようもないから諦める。「それが幸せとはいえない。でもどうにもならないことを、なぜ、私が、家族がこんな目に、と考える苦しみはそこにはない」と著者。
江戸の気分とは直接関係ないですが、本書によると、「キツネ」はかつて身近な存在だったのですね。1965年といいますから、私が -
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TBSのラジオ番組「小島慶子のキラ☆キラ」の火曜日のパートナー、堀井のおっちゃん。
落語が好きでディズニーランドも好きな京都の人。
というイメージ、最初から好感しかありません。
物々しい見た目のわりに気の抜けた文章でほっとしました。
ラジオで喋ってるまんまだな!
この独特の喋り口調に、慣れてない人にはきっと読みにくかろう。
今まで自覚はしないままなんとなく不自然さや無理さを感じていたことに「それってこういうことだからじゃないの」と答えをもらったような内容でした。
すでに知ってる人にとっては「それが今さらなんなの」というようなことかもしれないし、これだけが唯一絶対の答えだとも思わないけれど。 -
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ある日突然「落語の国」に迷い込んでしまったビギナーにとって、この一冊はなかなか便利な「道しるべ」となっている。
ここでは落語の歴史やあらすじ、おすすめの噺家などが紹介されるかわりに、落語に登場する人たちー 熊さんや八っつぁん、長屋のご隠居や与太郎といった魅力的な人物たち ーのことばや動きの背景をなす「感覚」について、「時間」「金銭」「結婚」「恋愛」「酒」「死」といったキーワードを通して語られる。
たとえば「時そば」という有名な噺(はなし)の下げ(オチ)は、「九ツ」と「四ツ」という江戸時代の時間の数え方を知っているか知っていないかでその面白さがずいぶんとちがってくるように思えるし、現代よりも -
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ネタバレ新書としてはべらぼうに軽くて読みやすい。
恋人と過ごすクリスマスをはじめ、バレンタインデーのチョコレート、デートスポットとしてのディズニーランド、携帯電話、マンガ、月9ドラマ、単位が「来る」という表現などといった、今の若者を取り巻く仕組みが、いつから、どのようにして生まれてきたのかについて、当時のドラマや漫研の資料、雑誌などを用いて解説している。
ただ、もっと突っ込んで欲しかった部分も多い。例えば、「内にこもるな。外へ出でよ。仲間と遊べ」というスローガンはどこから出てきたのかとか。
「こういう時代があった」という事実関係を楽しむ本としての性格が強い。 -
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いつだって大変な時代なのだ。
事後に大変だと塗り替えられることもあれば、突き詰めていくと実はぜんぜん違うものがみえることもある。
著者は、あれ?と思ったことをなぜ?に置き換えて、思索を続けるているのだろう。
梅雨入り宣言なんて大きなお世話だし、歴史的な転換点など当事者にはわからない。
いつのまにやら個人が尊重されていると錯覚してしまったことで世の中がねじれちゃった。
無縁社会を嘆くのはナンセンスでそれは団塊の世代が望んだことじゃないのか。それをいまさら大変だとは。
社会で起きていることへの人々のカンチガイを指摘する。
とはいえ、東日本大震災のときにツイッターは役に立ったかというくだりは、明ら