『黒死館殺人事件』で有名な名探偵・法水麟太郎。法水麟太郎物の短編を発表順にすべて集めた短編集。
衒学趣味ってどういう事なのかいまいちつかみ切れていなかったのですが、この本を読んで何となく理解できた気がします。
他の方々も書いている通り内容は難解ですし、トリックや動機もそんな事ある? と驚くものば
...続きを読むかり。「そうはならんやろ」「なっとるやろがい」という懐かしのネットミームが頭をよぎりました。
とはいえ、お寺や礼拝堂、劇団などを舞台にした様々な事件の数々は神秘的でとても心惹かれます。詩的な幻想怪奇の世界に溺れるような雰囲気を楽しむくらいでも良いのかも。
メインとなるトリックや動機の中に、病気や障害、精神疾患や信仰などのセンシティブな要素を大胆に組み込んでいる所は現代の小説などではほぼ無くなっている事だと思うので、そういった部分は時代を感じて興味深いです。
1つ困ったのが、事件の見取り図について。細かな図面に手書き(手書き風?)の雰囲気ある説明が書いてあるのですが、細かすぎる上画数の多い漢字+雰囲気ありすぎる独特な文字のせいで字が潰れてしまい読み取れない箇所があります。
せっかくの素敵な図なので、もう少し大きく載せて欲しかったです。
ちなみに、一番最初の事件が一番難解で、徐々に読みやすくなっていくので、いっそもう逆順に読むのもアリではないかなと個人的には思いました。